小島監督が新作『Death Stranding』の開発状況やノーマン・リーダスなど俳優起用の理由などについて語る

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4月19日から30日にかけてニューヨークで開催されたイベント「Tribeca Film Festival」において、基調講演を実施した小島監督が、現在開発中の新作『Death Stranding』について語りました。

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小島監督キーノートより

ノーマンやデル・トロを起用した理由について

僕らの作るものはCGで、言うならばゼロから作り上げる人工物。アニメーションと同じで、キャラも仕草も動きも画作りも、頭の中でイメージしたものを追求して作るだけなので面白くない。そこに、俳優の演技や動きなど予想しきれない要素を取り入れることでライブ感を出したかった。CGなら100%思い通りだが、俳優を起用すれば、僕のイメージを超えるもの、予想の付かないもの、当然ハプニングも起こりうるが、そういうものを入れ込みたい。

実写映画で言うと、外でロケーションした時に、雨じゃないシーンで突然雨が降ったりして、それが逆に良かったりする。ゲームの場合は、雨を降らすも止ませるも自由自在。そういう意味でライブ感が欲しくなった。

ライブ感を表現できるだけのテクノロジーというかスペックをゲーム機が持ち始めた。

今回の主人公はノーマンにやってもらうことを前提に作ったのか

普通はまずキャラを作り、それに合う俳優を探すが、今回の主人公に関しては、ノーマンに演じてもらうということで、ノーマンをイメージしながら書いている。

ティザートレーラーでノーマンが裸で出てくるのも、裸のノーマンから入るというか、皆さんに見てもらう。これから色々な服装とか髪型とか装備とかが出てくるので期待して。

ストーリーテリングについて

30数年前のファミコン時代は、ゲームがすごく面白かったんですけど、物語がない、それ以上に世界観というか目的、キャラクターたちがなぜ戦うのかというのがほとんど描かれていなかった。なので、物語やドラマ以前に、キャラの背景などをちゃんとしたかった。。

例えば僕の大好きなスーパーマリオでは、クッパがピーチ姫をさらう理由が分からない。それを配管工のマリオが助けに行く理由も分からない。そういうゲームがたくさんあったが、そうではなくて、クッパがピーチをさらう理由、そして赤の他人のマリオがなぜ助けに行くのかという背景や世界観を作りたかったというのが、最初のゲーム作りの動機。

キャラ設定や背景が出来たら、その次がドラマ。キャラクターが背負っているものなどを、ゲームをプレイさせながらプレイヤーにどう伝えていくのか。今、主流なのはカットシーンもしくはプレイヤーキャラがゲーム中で喋ったり、無線機でサブストーリーを話したりといった手法だが、もっと他の方法があると思うので模索している。今のやり方が正しいとは思っていない。

『Death Stranding』開発状況について

PS4で実際に動いている。全体の企画、プロット、キャラ設定とかは全て当然ある。Decima Engineでゲームのシステムやキャラクター、環境など実機を使って様々な実験している。非常に良い感じ。成功したものの中にはやり方を変えなければいけないものもあるため、それを精査しながら、もっとプロットを細かく、シナリオを修正している。ゲームのシステムも含めて。

具体的に言うと、Decima Engine上でニューヨークを作って、ニューヨークに見えるのか、広さはどれ程なのかを実験しているところ。ゲームにニューヨークは出てきませんよ(笑)で、イタリアンレストランに入ります。そこで誰と会って、どういう話しをして、何を食べるかは決まっている。今やっているのは、その前後を考えながら、どういうテーブルでどういうセリフを言って、どういう料理を並べていくか、どういう順番で食べるかなどの細かな調整をしている感じ。

クリエイティブプロセスについて。今と昔では作り方は変わったのか

作り方は10年前とあまり変わらない。最初は文章で書くのが一番早いので、最初はテキストで書く。それはスクリプトではなくて、ゲームのコンセプトから全部、どんな曲が鳴って、どういうものを見せて、プレイヤーに何を与えるか、どういうキャラがどういう服装をして、そこで何を喋らなくてはいけないかといった情報が時間軸に沿って書かかれている。で、当然それは毎日書き直しが起こる。並行してキャラクターのデザインとストーリーボードをやりながら、プログラムを実験して、修正しながら、そこまでがOKになるとスクリプトの部分だけ取り出して、台本に書き直す。

カットシーンの部分はおそらく映画作りと同じだと思う。パフォーマンス・キャプチャーを行う前にプリビズを作るが、プリビズ(※プリビジュアライゼーション:仮素材を使って制作されるCG映像のこと)の前にビデオコンテをするんで、僕がノーマンをやったりしながら、それを簡単なCGに起こしてプリビズにする。僕らのスタッフでビデオコンテにするんで、俳優じゃないんで演技が下手なんです。ちゃんと喋れず噛んだりする。僕のシナリオが悪いかどうか分からないんで、そこを修正したりするんですけど、そこはあまりよろしくないですね。

(どれくらい書き直すのか?)イメージは変わらないしストーリーラインも変わらない。プログラム上で表現できないことや、メモリ不足など細かな部分を修正していく。

コジプロ内で完結するようにしているので無駄のない作り。キャラの設定を作り、新川洋司と一緒にデザインしてCG化するが、もし不都合があればその場で直せるため毎時間毎分修正できる。外注ではこうはいかない。

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