20年越しの伏線回収『キングダムハーツIV』はシリーズ完結に向かう物語 ─ 野村哲也氏インタビュー

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『キングダムハーツ』シリーズの生みの親である野村哲也氏が、シリーズの舞台裏や今後の展開について語りました。

野村氏によると、キングダムハーツの複雑なストーリーは基本的に野村氏一人で考えており、スタッフ全員が完全に理解しているわけではないそうです。野村氏は個人的なメモを取っているものの、それを全てスタッフと共有しているわけではなく、必要な情報のみをシナリオ中に盛り込んでいるのだとか。伏線の管理については、野村氏自身のメモの他、スタッフに覚えてもらったり、YouTubeのプレイ動画や考察動画を視聴したりして把握しているとのことです。野村氏は考察動画について「純粋に面白いと思って見ている」と述べており、ファンの考察力の高さに感心することが多いそうです。一方で、野村氏は「思っているほど複雑じゃない」とも述べており、ファンの考察が時に作品の意図を超えていることを示唆しています。特に、ファイナルファンタジーシリーズとの繋がりを指摘する考察については、シナリオライターが異なるため実際の繋がりはないと明言しています。

長期的な構想とアドリブの融合

野村哲也氏によると、『キングダムハーツ』の物語は完全な即興ではなく、ある程度の長期的な構想に基づいて展開されているとのことです。「一作目からこういう方向には行きたいというのはあります。次の次ぐらいまではまとめて考えて、そこに向かうように練っています」と野村氏は説明しています。ただし、細部については状況に応じて調整が行われているようです。「どうしても合わないところが出てくると、そこはその場でアドリブで考えます」と野村氏は述べています。

新作タイトルでの新たな試み

2024年にリリース予定のスマートフォン向けアプリ『キングダムハーツ ミッシングリンク』と、次回ナンバリングタイトル『キングダムハーツ IV』では、新規ユーザーの獲得を意識した取り組みが行われているとのこと。野村氏は「今回は『キングダムハーツ ミッシングリンク』『キングダムハーツ IV』共に、続編の側面より新作タイトルの側面を強くして作っています」と述べています。具体的には、シリーズに馴染みのないライターを起用し、新鮮な視点を取り入れる試みが行われています。また、『キングダムハーツ IV』ではロゴデザインを一新し、新規ユーザーの参入を促す狙いがあるとのことです。

20年越しの伏線回収

野村氏は、シリーズ1作目の冒頭でソラが語る「俺には よく 分からないんだ この世界が、本当に、本物なのか。」というモノローグが、最新作『キングダムハーツIV』の舞台「クァッドラトゥム」を示唆していたことを明かしました。「”クァッドラトゥム”という名称はその頃はないですけど、構想はありました。いつかここにたどり着くときが来るだろうという長い仕込みです(笑)」

新規ユーザー獲得への課題

長期シリーズ特有の課題として、新規ユーザーの参入障壁の高さが指摘されています。野村氏もインタビュアーに対して「教えていただきたい(笑)」と述べるなど、課題認識を示しています。この課題に対し、『キングダムハーツ III』のエンディングで一定のリセットを行い、『キングダムハーツ IV』を新たな起点とする狙いがあるということです。「『III』のラストを知っている方なら分かると思いますが、ソラがああいう感じで終わっているのは、ある意味(これまでのストーリーを)リセットするためだった」と野村氏は説明しています。

シリーズ完結の未来は見えている?

野村氏は『キングダムハーツIV』について、「完結に向かう物語というつもりで作っています」と述べ、シリーズの終焉が近づいていることを示唆しました。「夢のない話をすると、いよいよ僕も定年まで数年しかなく、もう定年が先か完結が先かみたいなことになってはいます(笑)」

情報元:ヤングジャンプ公式サイト

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