インディースタジオが声優をAI音声に置き換え全員解雇?声優が怒りの主張

インディーズゲームスタジオSerene Questworksが開発中のアドベンチャーゲーム『Castle of Secrets』を巡り、声優たちから同スタジオのAI技術使用に関する批判が表面化しています。この問題は、スタジオが声優の声をAIで加工し、1人の声優の演技から複数のキャラクターの声を生成しようとしたことが発端です。

声優のMika Neridaさんは、Xに投稿したメッセージで自身の経験を明かしています。彼女は『Castle of Secrets』に出演予定だったものの、スタジオが彼女の録音したセリフにAIツールを適用し、複数のキャラクターの声を作り出す計画を立てていたと主張します。具体的には、4000行以上のセリフをAI生成の声で補おうとした結果、彼女を含むすべての声優がプロジェクトから外されたと述べています。Mika NeridaさんはXで次のように書いています

「声優のみなさん!ビデオゲームに出演する直前だったのに、開発者があなたのテイクをAIで訓練した声に置き換えて、4000行以上のセリフをAIにやらせようと決め、結局あなただけでなく雇っていた全声優をクビにして、他の才能ある人も受け入れなかった経験があるなら、ちょっと反応してみてください。ねえ、そういうことですか。」

また、別の声優であるIan Mitchellさんも同様の問題を指摘しています。彼はMika Neridaさんが共有したスクリーンショットが自身のものだと認め、その中でSerene Questworksが使用を計画していたAIツールについて説明しています。Ian Mitchellさんによると、このツールは単なる声の加工フィルターではなく、声優の声を「完全に別人の声」に変えるもので、複数の声優を雇うコストを削減する目的で導入されたとのことです。彼は「オーディションを受けた声優は幅広い声の演技が可能だったにもかかわらず、スタジオはAIに頼ろうとした」と主張し、声優たちが「自分たちに演じさせてほしい」と訴えたが受け入れられなかったと付け加えています。さらに、彼は『Castle of Secrets』のSteamコミュニティフォーラムでこの問題を提起したところ、「プロジェクトへの個人的な敵意と自己の立場を押し付けた」としてフォーラムから追放されたと述べています。

Steamでは、ゲーム開発者が提出する作品に生成AIを使用しているかどうかを明示するルールが設けられています。このルールに違反した場合、ゲームがストアから削除される可能性があります。『Castle of Secrets』のSteamページを確認すると、「Sometimes generated voice acting(時々生成された声優の声)」という記述があり、AI音声の使用が公式に記載されています。この点において、Serene Questworksは、Steamの規約を遵守している形跡があります。

現時点でSerene Questworksは、この問題に関する声優たちの主張に対し、公式なコメントや声明を発表していません。声優たちが提起したコスト削減のためのAI導入や、声優をプロジェクトから外した経緯について、スタジオ側からの説明が待たれる状況です。

情報元:Game Developer

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