ロール制がドラマを生むPvPvE『The Duskbloods』宮崎英高氏インタビュー公開

フロム・ソフトウェアがNintendo Switch 2向けに発表した完全新作『The Duskbloods』。2026年の発売に向けて開発が進められている本作のディレクター・宮崎英高氏のインタビューが、任天堂の公式サイトで公開されました。ここでは、その内容を掻い摘んでご紹介します。

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デビュートレーラー

タイトルと開発経緯

  • タイトル『The Duskbloods』の意味:
    「黄昏の血族」。人類の黄昏に召喚され、始まりの血を巡って争うプレイヤーキャラクターたちの総称。

意味としては「黄昏の血族」ですね。 先ほどもお話しした、人類の黄昏に召喚され、始まりの血を巡って争う血族たち、 彼らを「黄昏の血族」と呼ぶイメージです。 言うなれば、ユーザーさんに操作していただくキャラクターたちの総称ですね。

  • 開発プラットフォーム: Nintendo Switch 2
  • 開発経緯:
    • 宮崎氏が任天堂との雑談で話した「妄想のようなアイデア」が発端。
    • 当初はNintendo Switch向けに小規模開発を開始。
    • 開発規模拡大のタイミングでSwitch 2の話があり、オンライン要素も重視した新ハード向けに仕切り直した。

これはかなり前の話になりますが、たまたま任天堂さんとお話しする機会がありまして、 その時、本作の原型となるようなアイデアをお話しさせていただいたんです。 具体的な企画案というよりは、とりとめもない私の妄想のような話でしたし、 我々が手掛けてきたタイトルとはまた違った形式のアイデアだったのですが、 任天堂さんはとても積極的に話を聞いてくださり、興味を持っていただけました。 それが、このプロジェクトの契機です。宮崎: 最初はNintendo Switch向けのタイトルとして小規模に開発を始めたのですが、 ゲームの骨格が見えてきて、開発の規模も大きくしていこうかというタイミングで Switch 2 の話をいただきまして、改めてそちら向けに開発を仕切り直したのです。 本作のアイデアをしっかりと実現するために、 オンライン要素も重視した新ハードは、とても魅力的でしたので。


ゲームジャンルと特徴

  • ジャンル:
    • PvPvE(プレイヤー vs プレイヤー vs 敵)
    • 最大8人によるオンラインマルチプレイ。

形式としては「PvPvE」※2になるかと思います。 オンラインマルチプレイをベースとし、プレイヤー同士の戦い、プレイヤーと敵との戦い、どちらもあるタイプのゲームです。

  • PvPvEへの関心:
    以前から、面白く、ゲームデザインの幅があり、フロム・ソフトウェアのノウハウ(手応えのある敵を作る経験など)を活かせると考えていた。

以前から、PvPvEという形式は、とても面白く、ゲームデザインの幅もありそうだと思っていました。 また、我々フロム・ソフトウェアが今まで培ってきたノウハウ、手応えのある敵を作る経験などが、しっかりと活かせそうな形式であることも魅力的でした。

  • フロム・ソフトウェアの方針:
    本作はオンラインマルチプレイベースだが、今後も従来のシングルプレイメインのゲーム(例:Switch 2版『ELDEN RING Tarnished Edition』)も積極的に開発していく。

本作はオンラインマルチプレイをベースとしたタイトルですが、 これは、我々が今後、そうした方向性に大きく舵を切っていく、ということではありません。 Switch 2 版の『ELDEN RING※3』も発表されましたが、ああいった、我々の従来の方向性、 シングルプレイメインのゲームも、引き続き積極的に作っていくつもりです。 その点は、ここで明確にさせてください。

世界観とキャラクター

  • プレイヤーキャラクター:
    • 「血族」
    • 特別な血の力で人間を超える力を得た一族。
    • 一般的な吸血鬼とは異なり、ホラーの怪物ではなく、ロマン的な側面を抽出・拡大解釈した存在。

本作の主人公というか、ユーザーさんに操作していただくキャラクターは、「血族」と呼ばれる存在です。 彼らは、特別な血の力によって人間を超える力を得た一族で、一般的な概念でいうと吸血鬼のようなものですが、いわゆるホラーの恐ろしい怪物のイメージではありません。 吸血鬼あるいは「血」というワードから、特にロマンの側面を我々が勝手に抽出して、 それを拡大解釈したような存在が、本作の「血族」となります。

  • 目的:
    「始まりの血(ファーストブラッド)」を巡る争い。
  • 舞台:
    特定の場所・時代ではなく、様々な場所・時代の「人類の黄昏」(人類の時代の終わり)。ゴシック/ヴィクトリアン風のマップや、近代末期風のマップなどが存在する。

血族たちは「始まりの血(ファーストブラッド)」と呼ばれる存在を巡って争っています。 そして「始まりの血」は、人類の時代が終わろうとする時、「人類の黄昏」に流れます。 血族たちは、さまざまな場所、そして時代の「人類の黄昏」に召喚され、 「始まりの血」を巡って争うことになる、という訳です。 なので、本作の舞台は特定の場所、そして時代ではありません。 ゴシックあるいはヴィクトリアンの雰囲気を持った王道のマップもあれば、動画トレーラーでもちらと映っていた、列車などが走る、近代末期といった雰囲気のマップもあります。

  • キーワード「血」:
    • 物理的なダメージ表現より、概念的な側面を重視。
    • 蓄積する歴史、継承される力、刻まれる運命、人を超える者たちの永遠の営みの象徴。

一言で「血」と言っても、ゲーム的なダメージ表現などを含む、物理的な意味での血よりは、より概念的な側面を重視しています。 そこに蓄積する歴史、継承される力、刻まれる運命といったもの、人を超える者たちの永遠の営みの象徴としての「血」が、本作のキーワードのひとつです。

アクション要素

  • 特徴:
    • 血族の超人的な力を反映し、過去作より大胆でダイナミック。
    • 大ジャンプや空中での動きなど、ストレスの少ない基本アクション。
    • 武器や特技の数々も想像の幅が大きい。

血族は、特別な血の力によって人間を超える力を得た一族であるということで、そのアクションは、我々の過去作と比べても、より超人的で、大胆なものになっています。 かなりの高さまで跳べる大ジャンプや、空中を蹴り、駆けるような動きなど、 基本アクションについても、ダイナミックでストレスの少ないものになっていますし、 血族たちの使う武器、そして特別な技の数々についても、想像の幅が大きいものになっていると思います。

  • 遠距離攻撃:
    銃器が普通に存在し、全キャラクターに何らかの遠距離攻撃手段が用意されている。

銃器が普通に存在する世界観であり、 すべてのキャラクターに、何らかの離れた場所への攻撃手段が用意されていることも、 我々の過去作と比べ、本作の特徴になるかと思います。

キャラクターとカスタマイズ

  • プレイアブルキャラクター:
    複数(10を大きく超える数)の固有キャラクターから選択。それぞれ名前があり、個性的なデザインや武器を持つ。

本作には複数のキャラクターが存在し、その中から適宜操作キャラクターを選択することになります。 それぞれのキャラクターは、名前のある固有の存在で、全部で10を大きく超える数が用意されます。

  • カスタマイズ: 各キャラクターをある程度カスタマイズ可能。
    • カスタマイズ要素は「血の歴史、運命」。
    • 「血の歴史、運命」を解析・改変することで、能力、技、見た目、内面的な特徴、世界における役割、関係性などを任意に変更できる。
    • これにより、存在の深いところまでカスタマイズ可能。

またプレイヤーは、それぞれのキャラクターをある程度カスタマイズすることもできるので、自分だけのキャラクターを作り上げていく楽しみもあると思います。宮崎: はい。それぞれのキャラクターの「血の歴史、運命」を解析し、また改変することにより、そのキャラクターの能力であったり、技であったり、見た目あるいは内面的な特徴であったり、世界における役割であったり、関係性であったりを、任意にカスタマイズすることができるわけです。 カスタマイズ要素として「血」あるいは「血の歴史、運命」にフォーカスすることで、 より存在の深いところまでをカスタマイズ領域にすることが、本作の主人公を「血族」とした理由のひとつですね。

ゲームサイクルと勝利条件

  • ゲームの流れ:
    1. 「拠点」で操作キャラクターを選択・カスタマイズ。
    2. 最大8人のオンラインマルチプレイに参加。
    3. 勝敗が決まったら「拠点」に戻る。
    4. 得た報酬でキャラクターをカスタマイズし、再びマルチプレイへ。

本作には、いわゆる「拠点」にあたる場所があります。 ここで操作キャラクターを選択し、あるいはカスタマイズしてから、オンラインマルチプレイに参加する流れになります。 オンラインマルチプレイについては、参加するプレイヤーは最大で8人です。 ここで、最終的に勝利するか、あるいは敗北するかという結果を迎えたら「拠点」に戻ってきます。 その時、最終的に勝利していないケースを含めて、何らかの報酬を得ている可能性が高く、それを利用して再びキャラクターをカスタマイズして……、というサイクルになります。

  • 勝利条件:
    • 基本は唯一人の生き残り(PvP)。
    • 状況により変化し、特定の強大なボスを協力して倒す(PvE)ことや、より特殊な状況も勝利条件になり得る。

オンラインマルチプレイの勝利条件は、基本的に唯一人の生き残りですが、状況によりこれが変化することもあります。 特定の強大なボスを協力して倒すことが勝利条件になることもありますし、より特殊な状況も起こり得ます。

  • 成長要素:
    PvP/PvEを通じてプレイヤー自身が学習し、上達していく楽しさがある。PvEボスも手応えと達成感のあるものを用意。

PvPであれPvEであれ、プレイを続けていく中で学習し、成長する楽しみというのは、しっかりとあるように考えています。 なので、PvEのボスについては、しっかりと手応えと達成感のあるものを用意するつもりです。

PvPvE以外の楽しみ方

  • 立ち回りの重視:
    • 「勝利点」の概念があり、最終的な勝敗はこれで決まる。
    • 直接戦闘以外(例:漁夫の利を狙う)でも勝利点を獲得可能。
    • 各自が召喚できるパートナー的な存在もおり、戦い方・勝ち方の自由度が高い。

勝利点の概念を導入しており、最終的な勝敗はそれで決まります。 勝利点を得るために、直接戦闘はもちろん大きな意味を持ちますが、それだけではなく、直接戦闘によらず勝利点を得ることも可能です。 なので、例えば直接戦闘はできるだけ避けて漁夫の利を狙う、といった戦略で挑むこともできるわけです。 また、各自が召喚できるパートナー的な存在も用意しておりますので、 戦い方、勝ち方の自由度は、かなり高くなっていると思います。

  • 変化要素「イベント」:
    • 繰り返しプレイを単調にしないための要素。
    • 特定の敵の登場、追加ミッション/ボーナス発生、環境やゲームへの影響、報酬の変化などを引き起こす(例:トレーラーの巨大な黒い石の顔)。
    • 常に発生するわけではなく、適度な刺激となることを意図。

例えば、本作にはイベントと呼ばれる要素があります。 それは、ゲーム全体に影響を及ぼす特別な要素で、特定の敵が登場したり、追加のミッションやボーナスが発生したりします。 空に浮かぶ巨大な黒い石の顔のようなものがトレーラーに映っていたかと思いますが、あれの登場も特別なイベントのひとつです。 あれが現れることで、環境とゲームに影響を及ぼし、また報酬なども変化するわけです。 戦いを捧げるべき対象が、あれに変わってしまうというか。 なお、イベントはずっと起こり続けるものではなく、 繰り返しプレイの適度な刺激になれば、と思っています。

  • 物語の楽しみ方:
    • 断片的に世界と物語を語り、それを読み解く、あるいは空白を想像する楽しみがある。
    • 断片はカスタマイズ要素「血の歴史、運命」を通じて提示される。

我々、というか私がディレクションした作品の特徴であった、 断片的に世界と物語を語り、それを読み解く、あるいはその空白を想像する楽しみは、本作にもあると思います。 ただし、そのための断片は過去作とは少し異なります。 本作における断片は、先ほども少し触れたカスタマイズ要素となり、それは「血の歴史、運命」です。 本作では、キャラクターの「血の歴史、運命」をカスタマイズし、それにより世界と物語を断片的に語るわけです。

  • ロールプレイ要素「ロール」:
    • オンラインマルチプレイでプレイヤーに特別な役割、ミッション、関係性を与える。
    • 例:「宿命の仇敵」(特定の他プレイヤーを倒す)、「運命的な伴侶」(特定の他プレイヤーと絆を結ぶ)。
    • 血のカスタマイズにより任意に設定可能で、ドラマ性を感じられるようにしたい。テーブルトークRPGに近いかもしれない。

ここまで触れてこなかった要素を1つ挙げるとすると、「ロール」でしょうか。 それは、オンラインマルチプレイにおいて、プレイヤーに特別な役割とミッションを与え、時にはプレイヤー間に特別な関係性を発生させるような要素です。 (中略) 例えば、プレイヤーが「宿命の仇敵」といったロールを持っていれば、 他のプレイヤーの中に仇敵が存在し、それを倒すことが全体的な勝利とは別の個別目標になります。 例えばプレイヤーが「運命的な伴侶」といったロールを持っていれば、 他のプレイヤーの中にいる対象を探し出し、絆を結ぶことで、特別な報酬が得られます。 こうしたロールは、血のカスタマイズにより、任意にキャラクターに設定できますので、 字義的な意味でのロールプレイを楽しんでもらえれば、と思いますし、 そこにドラマ性を感じられるようなものにしたいですね。

  • 対人戦が苦手な人への配慮:
    立ち回りの重視や、個人的な目標達成による報酬など、直接戦闘が得意でなくても楽しめる作りを目指している。

そうですね。私自身も、あまり対人戦が得意なほうではないのですが、 そうした方でも楽しめるゲームにしたいと思っています。 本作は「始まりの血」を得るという、全体的な勝利以外にも、 個人的な目標が存在し、それを達成することの報酬も別途ある、という作りですので、 そういった意味でも、楽しんで頂きやすいものになっているかと思います。

その他

  • 拠点キャラクター: トレーラーに登場した翼の生えたネズミのようなキャラクターは、『DARK SOULS』シリーズの火防女のような役割。拠点で主人公に助言し、導く存在(ただし、実際はお爺ちゃん)。任天堂ハード向けに「愛らしさ」を狙ったとのこと。

あれは『DARK SOULS』シリーズでいえば火防女のような役割を担うキャラクターです。 拠点にいて、主人公に助言し、導くような存在ですね。 まあ、任天堂さんのハードでリリースするということで、我々なりに任天堂さんらしさを意識したというか…… 愛らしい、くらいを狙ってみたというか…… 実際にはお爺ちゃんなんですけどね(笑)。

宮崎氏からのメッセージ

  • 本作はPvPvE形式やそれ以外にも新しい挑戦をしているタイトル。
  • 超人的アクション、戦い方の自由度、変化とドラマのあるゲームプレイ、血族のロマンを感じる美術、キャラクターカスタマイズ、世界と物語の断片的な語りなど、様々な魅力、楽しみのあるタイトルを目指している。多くのユーザーに楽しみにしてもらいたい。

本作は、PvPvE形式のタイトルであることもそうですが それ以外でも、我々なりにいろいろと新しい挑戦をしているタイトルです。 超人的なアクション、戦い方の自由度、変化とドラマのあるゲームプレイ、 あるいは、血族のロマンを感じる美術、キャラクターカスタマイズ、世界と物語の断片的な語りなど、さまざまな魅力、楽しみのあるタイトルにしていきたいと思っていますので ぜひ、多くのユーザーさんに、楽しみにしてもらえればと思います。

情報元:任天堂

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