スクウェア・エニックスより発売が予定されている『ファイナルファンタジーXV』が、ボタンを押しっぱなしにするだけで攻略できてしまうようなカジュアルユーザー向けゲームになってしまったのではないかという不安がゲームユーザーの中で巻き起こっていましたが、それについて、本作の新たなディレクターである田畑端氏が疑問に答えるという形式で丁寧に説明してくれました。
■結局、2013年のE3トレーラーは嘘なの?あんなふうにプレイできないの?
E3トレーラーの都庁前でベヒーモスと戦っていたシーンのように戦うことができる。TGS2014バージョンだと2013年E3トレーラーに比べて、技や機能など仕様が欠けているように見えたと思うが、それは2013年E3の時点でゲームを動かしていた「エボニー」という仮の環境から、「ルミナス」という本番の環境に移行している段階だったから。「ルミナス」はもともと「ルミナスエンジン」という汎用エンジンだったが、今はそこに仮環境で実装していた機能をどんどん移行している最中。全てを移行するには時間がかかる。ただ、それなりにゲームが動いていたし、TGSという大きな舞台でもあったので、少しでも動いているところを見せたいと思った結果、不安を産んでしまった。申し訳ない。
E3トレーラーは基本型。あれをより発展させていくのが目標。どうかあれ以上のものを期待してほしい。
どんなゲームになるかは仮の環境で一度作っている。本番環境においては、これから開発をするのではなく、仮の環境で作っていたものをどんどん移行していくものと理解してもらえば正しい。
■押しっぱ問題を詳細に教えてよ
押しっぱなしなんてそんなことはない。アクションRPGなので。防御ボタンがあり、防御ボタンを押していると、基本的に敵の攻撃を自動でガードしたり回避したりする。ただし、MPを消費する特殊行動なので、無限にできるわけではない。どのタイミングで回避するのか、攻撃に転じるのかを考えながらプレイするのが基本システム。
基本ガード以外にも敵の攻撃を受け流すシステムや、テクニカルなガードの方法など多彩なものがある。
ガードボタンを押していても避けられない状況も出てくる。そういう時に、敵の攻撃に対してテクニカルなガードアクションが必要になる。
ナンバリングのFFなので、操作そのものが複雑にはならないように、なるべくシンプルな操作にする。一方で、ゲームとしては歯ごたえのあるコアなゲームにという事を考えての設計なので、「押しっぱなしで攻撃が避けられる」というようなネガティブに捉えるのではなく、是非楽しいものを期待して欲しい。こういう面白さがあるんだなというものを提供しようと思っている。
攻撃ボタンを押していると、基本のコンボが出る。これはあくまでも基本操作。ボタンを押して、方向キーを押していると、その方向の敵に向かってアクションを発動する。方向キーとボタンの組み合わせで発動するアクションが異なる。
ガードアクションしながら、あるタイミングで攻撃に転じると攻撃が変化したりする。タイミングと入力方向、周囲の味方との位置関係や装備している武器によって、アクションが色々と変化していく。
ゲームの序盤で色々な要素が一気に提示されると、面白さの前に分かり難さが先に立ってしまう。入り口はなるべくシンプルにし、プレイヤーの操作習熟にあわせて色々な要素を開放していく。
■キャラクターの切り替えについて
キャラクターの切り替えはできなくなった。攻撃・防御・連携という3つの要素を駆使して戦う「AXB(アクティブクロスバトル)」というものを突き詰めていった結果、より面白くするためには、キャラの切り替えがあると難しいと判断した。新しくかつ面白いバトルを作り上げるための決断。これによって生まれる新しい『FFXV』に期待して欲しい。
■ジャンプはどうした?
ジャンプ操作あり。専用ボタンにアサインされている。環境移行の途中という関係上、ジャンプを含めた空中挙動全般は移行順序が後ろに配置されているので、現状は仮のジャンプが実装されているだけ。あまりかっこよくない。そのため、トレーラーや実機プレイでは、ジャンプを使わないようにした。
■フリーランが楽しみだったんですけど
フリーランもある。2013年E3のバトルPVはプロトタイプなので、現バージョンにはキャラ切り替えを除いて全て入っている。さらに新しい仕様も加わって、より面白くなっている。フリーランは障害物や人を自動的に避けてくれたりするシステム。ファンが気にしているのはそれではなく、E3トレーラーでベヒーモスにかっこいいアクションを仕掛け、そこから空中戦に繋がっていた、あのシーンのことだと思うが、それもちゃんとある。色々な強敵に対して、専用のかっこいいフリーラン攻撃が用意されている。追って紹介する。
■ショートワープってどうなったの?
ちゃんとある。ノクトの周囲を剣がずらっと囲んでいる状態(ファントムソード)では、移動が全てワープ(正式呼称はシフト)になって、高速バトルが可能となる。ちょうど仮の移行が終了したので、実際にファントムソードを使う映像を用意した。
■武器の選択はできないの?全部自動なの?
武器はバトルの事前にセッティングしておく。一発目で使う武器や、コンボに使う武器、連携に使う武器、反撃に使う武器を設定。たくさん武器を集めるので、武器ごとにどのアクションに使うのかをセッティングする。それで戦いの中で色々な攻撃を繰り出していく。武器のセッティングの数だけアクションの選択肢が出来ていくようなシステム。どいういうシチュエーションで、どういう戦い方をするのかを考えながら、FFらしいセッティングの面白さを味わって、そこでセッティングしたものを実際にアクション操作の中で繰り出してくという2段階の面白さになっている。
装備している武器の中から1つだけメイン武器を決める。メイン武器は、バトル中でも切り替えられる。メイン武器には技がついている。バトル中に任意のタイミングで発動可能。基本アクションを行う“アサルトボタン”とは別に技ボタンがある。
■KH風とか零式風とかよくわからん。結局どっち?
ヴェルサスの頃から、プレイヤーの挙動に関しては、『KH』のようなアクションの設計をしていた。それは継承している。『零式』という言葉を引用して説明したのは、ボタンを押していると基本コンボが出るという共通点があったため、そのように話した。バトルシステム全体で考えると、『零式』風でも『KH』風どちらでもない。プレイヤーキャラの設計には、『KH』をかなり参考にしているが、バトル全体で考えると、より敵との駆け引きや連携を組み込みながら戦闘を組み立てるなど、『FFXV』独自の「AXB」らしいバトルになりつつある。
■カジュアルユーザー向けに超簡単になっちゃったの?
もうアクションRPGじゃないの?
明確にアクションRPGなので、FFを遊びたいと思っている人は安心してほしい。ただし、ナンバリングFFなので、ユーザーに対して間口を広げたい気持ちはある。誰もがコントローラーを触ってすぐに遊べるような操作にしたい。ゲームの中身自体をカジュアルなものにするわけではなく、面白さには深みも幅も必要なので、コアなゲームになっている。だからこそ、操作はなるべくカジュアルにして、プレイヤーのスキル向上に伴って、奥行きや幅を選び遊んでいけるようなデザインにしている。
シナリオクリアだけを考えれば、時間をかけてレベルを上げ、良い武器を揃えればエンディングには到達できるよう作っている。
ダンジョンの敵は超強力。ステータス攻撃もバンバンしてくる。RPG的な工夫も必要だし、強さに格差のある敵との溝をアクションテクニックで埋めていく必要がある。ダンジョンの攻略はコアゲーマーは凄く楽しめる。
■体験版で意見が出たら考慮してくれるの?
体験版ユーザーの意見は開発の参考にしていきたいと考えている。その方法については検討中。
ここからは田畑ディレクターからの情報発信。
■「連携は連鎖・発展する」
連携は単発技ではなく、連鎖していく発展していく。継続的に連携攻撃が続いていく。
連携にはオート発動と任意発動がある。
オートも発動自体は自動だが、どのキャラと連携したいか、どの武器を装備してどの連携を出したいのかというプレイヤーの考えが反映される。
■「受け流し=パリィの概念」
敵の攻撃を弾き返して強力な連携につなげていくことが可能。押しっぱなしではなく、タイミングなども考慮したテクニカルな操作が必要。失敗すると大ダメージを受けるリスクあり。鉄巨人の攻撃をノクトが弾き返すあれ。
■ファンへのメッセージ
『ヴェルサス』の頃の構想のどれぐらいかはなんとか形にしないといけないと思って頑張っているが、でもそのいくつかは変更してしまっている部分もある。逆にもっと洗練されて組み込まれているものもある。XVになるにあたって、もっと面白く遊んでもらうために日々頑張っているので、どうか期待して待っていて欲しい。ユーザーの意見全てに向き合っていく。どんどん意見して。