5pb.より今冬発売が予定されているPS4/PS Vita向けサイエンスビジュアルノベル『アノニマス・コード』。本作の開発を手掛けるCHIYOMARU STUDIOを率いる志倉千代丸氏が、肝となる特徴的なシステム「セーブ&ロード」、そして科学アドベンチャーシリーズでおなじみ「○○トリガー」を踏襲した「ハッキングトリガー」について解説しています。
セーブ&ロードについて
RPGやADVなどで、失敗したらセーブポイントまで戻ってやり直すという行動は普段、皆さんもゲームの中ではおなじみだと思いますが、これがもしリアルな私たちの世界でできたら素晴らしいと思いませんか?
会社や学校、様々なシーンで嫌な予感がする直前に人生をセーブしておけるなんて、最高ですよね!僕もできることなら、青春時代にセーブデータを残しておけばよかったなぁと……(笑)。
まぁ簡単に言うとそれを登場人物であるポロンが、彼らにとってのリアルな世界で可能にしてしまうというものです。
たとえば、主人公であるポロンが重要なハッキングに失敗し、誰かが不幸になってしまったり、時には命を落としたりしてしまうような場面。もし事前にセーブデータを残しておけばやり直しが可能となるわけです。
ADVゲームの中でも、僕は“ループもの”と呼ばれるジャンルが好きで、それもあって 『シュタインズ・ゲート』という作品が生まれたのですが、『アノニマス・コード』の主人公ポロンが持っている“セーブ&ロード”の能力は、タイムトラベルやタイムリープとは明らかに違うものです。
「何が違うのか?」を一言で言うと、“セーブ&ロード”とは宇宙規模の巻き戻し機能なので、いわゆるタイムパラドックスが生じないのです。これは同じ“ループもの”でもタイムトラベル系のそれとは、物語を作る上でに大きな差が出てきます。
ハッキングトリガーについて
科学ADVシリーズでは毎回おなじみの“〇〇トリガー”ですが、今作シリーズでも踏襲しています。
主人公であるポロンが“ハッカー”であるということもあって、今回は“ハッキングトリガー(仮)”を採用します。これはプレイヤーがある種の神となり、主人公に“ロードしますか?”や“セーブしますか?”などのシステム画面を、ゲームの世界に任意でインサートし、それを見た主人公がどうするかを決めるというものです。
プレイヤーが“ハッキングトリガー”を使って“ロードしますか?”の画面を投げ込んでも、ポロンがそのセーブデータをロードするとは限りません。そこはポロンの判断によるところが大きいですね。
逆にプレイヤーが意地悪をして“ロードしますか?”の画面を投げ込まなければ、BADエンドルートなんてこともあるでしょうし、タイミングが間に合わず、主人公が死んでしまいゲームオーバーということも有り得ます。ここはかなりゲーム性も高く、難易度の調整については現在、慎重に検討を重ねています。
また、ポロンたちの世界にも私たちと同様に“オートセーブ”という謎の機能が存在します。これは、プレイヤーではない“誰か”が何らかの意志でセーブしているポイントだと考えてもらえればいいと思います。
ポロンたちの世界のセーブデータと、私たちプレイヤーのセーブデータは、同一のシステム画面で共有するのですが、この辺りの不思議な“仕様”は本作の大きな特徴を言えると思います。
ゲーム中の登場人物が、そのゲーム自体のシステム画面に干渉してくるというのも中々珍しいですよね? 詳しい話は避けますが、それ自体がギミックになったり、物語の一部になったり色々とおもしろい仕掛けを考えています。
ハッキングトリガーについて最後にもう一つ補足をすると、“ロードカウント”というものが存在します。これは、ポロンが物語中に行ったロード回数と、プレイヤーがロードした回数の累計でカウントされています。
この回数がどんな形で物語にかかわってきて、どんなリスクにつながっていくのかはゲームをプレイしてからのお楽しみということで。
キャラクターアニメーションについて
今回のキャラクターはただの立ち絵ではなく、E-moteというシステムを使ってアニメーションします。
以前、僕らが作った『ロボティクス・ノーツ』というタイトルでは、ポリゴンキャラをつかってアニメーションをさせていたのですが、今作のイラストのテイストに合わせて、2Dのイラストをそのまま動かすことができるE-moteを選択しました。どんな感じで動くのかはこちらの動画をご覧ください。
キャラクター
最後に
今作は科学ADVとは違うシリーズという位置付けですが、現状社内では“サイエンスビジュアルノベルシリーズ”と呼称しています。つまり科学のビジュアルノベル……方向性としては科学ADVと大差ないということです(笑)。
実にさまざまな、気になるキーワードが絡み合っていて情報量はとても多いのですが、最終的には地球規模の最も大きなテーマへと物語が収束していきます。
システム回りやユーザーインターフェイスも、より直感的で分かりやすく、またゲームとしての難易度調整も、物語のスピード感やおもしろさの邪魔にならないよう、細心の注意を払って調整しています。とは言えこれまでのADVゲームよりは、もしかしたら難易度高めかも知れませんが……。
とにかく発売予定の“冬”まで、息切れしないようにスタッフ一同頑張っています。少なくとも、科学ADVシリーズのファンの皆さんの趣味には間違いなくヒットすると思いますので、引き続きご期待ください!