パイウェルの戦場を駆ける壮大な冒険
『紅の砂漠(Crimson Desert)』は、韓国のPearl Abyssが開発するオープンワールドアクションアドベンチャーです。プレイヤーは傭兵団グレイメインズのリーダー、クリフを操作し、広大な大陸パイウェルを舞台に戦いと探索を繰り広げます。2019年の初公開から注目を集めてきた本作は、Gamescom 2025で試遊デモが公開され、複数のメディアがその内容をレポートしています。本稿では、Insider Gaming、Gaming Boulevard、DEXERTOの試遊レポートをもとに、ゲームの特徴と期待されるポイントを整理します。戦闘の奥深さ、視覚的な魅力、未完成な部分を検証し、プレイヤーがどのような体験を期待できるかを探ります。
実際のゲームプレイ映像
IGNが公開したgamescom 2025出展ビルドの30分にわたるプレイ動画です。
物語と世界観:パイウェルの過酷な戦場
クリフはグレイメインズを率いるスコットランド系の戦士として、パイウェルの戦乱に身を投じます。DEXERTOによると、クリフの重厚な声はジェラルド・バトラーを彷彿とさせ、超人的な力で数百の敵を薙ぎ倒す姿が印象的だったとされています。試遊デモでは物語の詳細は限定的でしたが、複数のレポートによると、プレイヤーは大規模な攻城戦や味方の士気を高める任務に直面します。
DEXERTOは、パイウェルの風景を『ウィッチャー3』のヴェレンに例え、「荒涼かつ生き生きとした土地」と表現しています。戦場には兵士や攻城兵器が点在し、砲撃の煙が立ち込める様子は、プレイヤーに緊張感を強いるでしょう。この世界観は、戦闘や探索と密接に結びつき、物語が単なる背景ではなく、体験の中心となることを示唆します。
ゲームシステム:複雑かつ自由度の高い戦闘
複数の試遊レポートで、紅の砂漠の戦闘システムは「複雑だが魅力的」と高く評価されています。Insider Gamingによると、試遊デモでは、剣を使った近接戦闘に加え、Fire、Freeze、Thunderの3つのエレメントを活用した魔法スキルが紹介されました。プレイヤーはボタンコンビネーションで多彩なコンボや特殊技を繰り出し、敵の種類に応じた戦略を求められます。素早いがダメージの小さい小型の敵と、遅いが強力な一撃を放つ大型の敵が登場し、ボス戦ではスキルの熟練が不可欠です。
Gaming Boulevardは、戦闘を「振り付けを学ぶような体験」と表現し、軽攻撃や重攻撃、回避、空中技、魔法のバーストを組み合わせることで高い自由度を提供すると報告しています。たとえば、特定のボス戦では、倒壊した柱を魔法で持ち上げて叩きつけるといった環境を利用した攻撃が可能です。この即興性が、戦闘を創造的な場にしています。
DEXERTOは、遠距離攻撃用の弓に注目し、特にair strikeを呼び込む矢が大群の敵を一掃する爽快感をもたらすと述べています。プレイヤーは、敵を狭い通路に集めて一気に攻撃するなど、戦術的な選択を楽しめるでしょう。
しかし、操作の複雑さも指摘されています。Gaming Boulevardは、チュートリアルが充実しているものの、多数のボタン入力とタイミングの要求が初心者にとってハードルになると報告。DEXERTOも、戦闘システムの多層的なメカニクスに圧倒される瞬間があったとしています。プレイヤーは、戦闘の流れを掴むまで試行錯誤を強いられますが、習熟すれば報われる奥深さが感じられるでしょう。
移動と探索:天空を舞う自由
移動システムも本作の大きな魅力です。Insider Gamingによると、クリフはジャンプ、スプリント、登攀可能な表面を活用して移動できるほか、滑空能力を持っています。これにより、高所から広範囲を移動したり、戦場を俯瞰しながら戦略を立てたりできます。Gaming Boulevardは、滑空を「鷹の視点で戦場を見下ろすような感覚」と表現し、正面突破か空中からの奇襲かを選べる自由度が探索を生き生きとしたものにすると評価しています。この移動の選択肢は、戦闘や探索の戦略に直結します。
一方、馬を使った移動は改善の余地があるとされています。Insider GamingとDEXERTOは、馬の操作がぎこちなく、遅いと感じ、スプリントの方が効率的だったと指摘しています。広大なパイウェルを移動する上で、馬が主要な手段となる可能性が高いだけに、この点の改良が期待されます。
ビジュアルと演出:次世代の技術力
ビジュアル面では、Pearl Abyssが開発したエンジンが鮮やかな動植物に満ちた幻想的な世界を実現しているとInsider Gamingが報告。複数のレポートで、広大な風景が圧倒的だと評価されています。
Gaming Boulevardは、攻城戦での破壊表現に注目。砲撃で塔が崩れ、煙が戦場を覆う様子は、戦闘の流れを変えるダイナミックな演出として機能します。プレイヤーは、崩れた壁から新たな進路を見つけ、戦場を切り開く感覚を味わえるでしょう。
DEXERTOは、ビジュアルが期待通りの水準としながらも、際立って驚くほどではないとやや控えめな評価です。それでも、戦場の喧騒や環境音の自然な混ざり合いは、没入感を高める要素として機能しています。
ボス戦:知恵と技術の試練
ボス戦は、紅の砂漠の戦闘システムの集大成です。Gaming Boulevardは、装甲に覆われた巨大なボスが登場し、2撃で倒されるほどの脅威だったと報告しています。単なる回避や攻撃だけでなく、環境を利用した即興的な戦略が求められます。たとえば、魔法で柱を持ち上げて叩きつけることで、ボスの体力を大幅に削れます。
Insider Gamingも、ボスが「一瞬でプレイヤーを葬る怪物」と表現し、スキルの熟練が不可欠だと強調。プレイヤーは、ボスの攻撃パターンを読み、環境を武器に変える知恵を試されるでしょう。
DEXERTOは、ボス戦が「カオスだが楽しい」と評し、ボタン連打でも進められるが、システムを理解することでより深い体験になるとしています。
総合評価:未完成ながら輝く可能性
『紅の砂漠』は、野心的なビジョンと複雑なシステムで注目を集めています。複数の試遊レポートで、戦闘と移動の自由度、ビジュアルのクオリティが魅力だと共通して評価されています。プレイヤーは、剣と魔法を織り交ぜた戦闘や、滑空による戦術的な移動を通じて、パイウェルの戦場を自由に切り開けるでしょう。
一方で、操作の複雑さや馬の移動の不自然さは、さらなる調整が必要です。Gaming Boulevardは、この複雑さが即時の満足を求めるプレイヤーにはハードルだが、習熟すれば大きな報酬となると総括。Insider Gamingも、戦闘や世界観に注がれたディテールが、オープンワールドの完成度に反映されれば堅実な体験が待っていると期待を寄せています。
本作が注目される理由は、単なるアクションRPGの枠を超えた挑戦にあります。戦場での大規模な破壊、環境を利用した戦闘、自由度の高い移動は、次世代のオープンワールドを定義する可能性を秘めています。2026年第1四半期の発売に向けて、Pearl Abyssが操作性や物語の深化にどう取り組むかが、成功の鍵となるでしょう。プレイヤーは、パイウェルの過酷な戦場で、自身の技術と創造性を試される壮大な冒険を期待できます。
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