ソニーとAMDが共同開発プロジェクト「Project Amethyst」で次世代ゲーム機向けの新技術を発表したことを受け、PlayStation 6(仮称、以下PS6)の発売時期が2027年で確定している可能性が高まっています。信頼性の高いハードウェアリーカーのKeplerL2氏は、ゲーム業界フォーラムNeoGAFで「2027年発売は単に検討段階にあるのではなく、予期せぬ遅延がない限り実行される確定した計画である」と明言しました。Yahoo!ニュースの多根清史氏も同様に、ソニーが2027年発売の計画を「完全に固めている」と報じています。
2027年発売は「確定した計画」──信頼性の高いリーカーが断言
KeplerL2氏は、NeoGAFのスレッドで「2027年発売は単に検討段階にあるのではなく、予期せぬ遅延がない限り計画通りに進んでいる」と述べました。The Game Postでは、同氏がNeoGAFのコメントで「単に検討段階にあるのではなく、確定した計画である」と強調していると報じています。KeplerL2氏は過去にPS5 Proの性能を事前に正確に予測したほか、Nintendo Switch 2の搭載チップ名やスペックを的中させた実績があります。
ソニーとAMDの共同発表では「数年以内に発売する次世代ゲーム機」という慎重な言い回しにとどめていましたが、KeplerL2氏のリーク情報によれば、実際には1~2年後の発売を見据えた準備が着実に進行しているようです。また、未発表ゲーム機のリークで知られるYouTubeチャンネル「Moore’s Law is Dead」も、PS6の製造が2027年半ばに始まり、同年秋ごろに発売されると報じていました。
ソニーは過去にPS3を2006年に発売し、7年後の2013年にPS4を、さらに7年後の2020年にPS5を発売するなど、7年サイクルでPlayStationの新世代化を行っています。PS5発売から7年が経過する2027年にPS6を発売する流れは、このサイクルに沿った自然なタイミングと言えます。
Project Amethystが明らかにした次世代技術──Neural Arrays、Radiance Cores、Universal Compression
ソニーとAMDが公開した「From Project Amethyst to the Future of Play」と題する約9分間の動画では、PS5のリードアーキテクトであるマーク・サーニー氏と、AMDのシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのジャック・ヒューン氏が、次世代コンソールハードウェアの設計について説明しました。The Game Postによれば、この動画で紹介された技術は以下の3つです。
Neural Arrays(ニューラルアレイ)は、GPUコアのグループが連携してデータを共有し、AIツール(アップスケーラーやデノイザーなど)をリアルタイムで実行できるようにする技術です。これにより、より大規模で高度なAI処理が可能になります。Yahoo!ニュースの多根清史氏は、KeplerL2氏の発言を引用し、次のように報じています。「ワークグループクラスタリング」や「グローバルスクラッチパッド共有」は、NVIDIAのデータセンターGPUでは既に採用されていますが、ゲーム機向けとしては今回が初めてです。
Radiance Cores(レイディアンスコア)は、レイトレーシングやパストレーシングの処理を担当する次世代RTコアです。The Game Postによれば、数百万の光線を追跡し、通常のシェーダーコアがシーンの描画に集中できるようにすることで、反射、影、ライティングをパフォーマンスを落とさずにクリーンに処理します。Yahoo!ニュースの多根清史氏は、現行のBlackwellコアより多機能で、ハードウェア圧縮・復号機能「Universal Compression」も備え、メモリ帯域のボトルネックを解消し、性能と効率を大幅に向上させると報じています。
Universal Compression(ユニバーサルコンプレッション)は、テクスチャだけでなくあらゆる種類のデータをメモリに送る前に圧縮する技術です。The Game Postによれば、これにより「実質的な帯域幅の増加」を実現し、より高いディテールと安定したフレームレートを無駄なく実現します。
Yahoo!ニュースが報じた詳細スペック──RDNA 5、Zen 6、GDDR7を搭載
Yahoo!ニュースの多根清史氏の報道では、過去のリーク情報を総合したPS6の推定スペックが明らかにされています。APUはAMD製セミカスタム「Orion」チップ(TSMC 3nmプロセス)です。CPUはZen 6cコア7~8基と低消費電力Zen 6 LPコア2基の合計9~10コア構成となっています。LPコアによる分担でメイン処理性能が約20%向上する見込みです。
GPUはRDNA 5世代で52~54コンピュートユニット(52CU稼働)、2.6~3.0GHz駆動、10MB L2キャッシュを搭載します。性能は約34~40TFLOPS(PS5 Pro比で2.5倍以上)です。メモリはGDDR7 32Gbps、160ビット幅、最大40GB、帯域幅640GB/sで、消費電力は160W前後(PS5 Proの200~240Wより低く、冷却効率が向上)とされています。製造開始は2027年中頃、発売は2027年秋の予定です。
性能面では、ラスタライズ性能はPS5比で約2.5~3倍(PS5 Pro比で約2倍)、レイトレーシング性能はPS5比で6~12倍、RTX 5090クラスに達します。パストレーシング時にはPS5で約10FPSだったものがPS6では60~120FPSを実現する見込みです。AIアップスケーリング(FSR4/PSSR 2)にも対応し、高画質と高フレームレートを両立します。PS4とPS5の互換を維持する予定です(PS3互換は不明)。
多根清史氏は、PS6を「レイトレーシング表現で数十万円クラスのグラフィックボードに匹敵しながら、PS5ほど熱くならない(冷却性能的に筐体を小さくできる)」とまとめています。
The Game Postが報じたリーク情報──コードネーム「Orion」とRDNA 5の詳細
The Game Postが報じたリーク情報では、PS6のコードネームが「Orion」で、CPUには8コアのZen 6(またはそれ以降)、GPUにはRDNA 5アーキテクチャーを採用した40~48コンピュートユニット(3 GHz以上で駆動)を搭載する予定とされています。メモリはGDDR7で、ソニーは160ビットまたは192ビットのバス幅を検討しています(256ビットを超える可能性は低いとされています)。総ボード電力(TBP)は約160Wで、PS5の消費電力より低くなる見込みです。
性能目標は、ラスタライズ性能でPS5の約3倍、レイトレーシング性能では大幅に向上し、4K解像度で120FPSを多くのゲームで実現することに焦点を当てています。後方互換性はPS4とPS5をサポートする予定です(PS3については言及なし)。RDNA 5アーキテクチャーを採用し、RDNA 4と比較してコンピュートユニットあたりのラスタライズ性能が約5~10%向上します。
また、AMDのチップレット設計(AT2/AT3デスクトップ派生)の可能性もありますが、ソニーがこれに確定したかは不明です。全体的な設計目標は、最大コンピュートユニット数によるラスタライズ性能よりも、高いレイトレーシング性能と効率性に焦点を当てています。
PS6ハンドヘルドのリーク情報──コードネーム「Canis」
The Game Postによれば、PS6のハンドヘルド版(コードネーム「Canis」)についてもリーク情報があります。CPUは4×Zen 6cコア(3nmプロセス)、GPUは12~20 RDNA 5コンピュートユニット(1.6~2.0 GHz)、RAMは16GB LPDDR5X-7500+(128ビットバス)、推定消費電力は15Wです。
性能目標はPS5のラスタライズ性能の約半分ですが、RDNA 5の改良によりレイトレーシング性能は強化される見込みです。後方互換性はPS5とPS4をサポートし、PS5の「Low Power Mode」により性能マッチングが改善される予定です。ストレージオプションはMicroSDスロットとM.2 SSDスロット、ディスプレイはタッチスクリーン、デュアルマイク、ハプティック振動、USB-C(急速充電とビデオ出力対応、テレビでのドックプレイが可能と推測)を搭載する予定です。
2027年秋の発売が濃厚──自然な世代交代のタイミング
Yahoo!ニュースの多根清史氏によれば、過去に発売されたPlayStationシリーズが例年10月や11月など秋の終わりに発売されているため、2027年10月または11月発売となる可能性が濃厚です。また、PS6という名称発表に関しては2026年秋頃に行われ、ハードウェアなど詳細に関しては2027年1月のCESを皮切りに徐々に発表されていくスケジュールになると考えられています。
もし2027年秋に発売されるとすれば、PS5からちょうど7年後となり、世代交代としても自然なタイミングです。ソニーとAMDが次世代機能について公然と語り、信頼性の高いインサイダーが2027年の目標を確認している今、次のPlayStationはそれほど遠くない未来に登場するかもしれません。
[脚注]
本記事の情報は、Yahoo!ニュース(多根清史氏、2025年10月11日)、The Game Post(2025年10月9日)、およびリーカーKeplerL2氏のNeoGAFでの発言に基づいています。公式発表ではないため、今後変更される可能性があります。
出典
- The Game Post:PlayStation 6 Release Locked for 2027, “Not Just on the Table, It’s the Plan,” Says Leaker Following Sony and AMD’s Project Amethyst Showcase
- KeplerL2氏の発言:NeoGAFフォーラム
- Yahoo!ニュース:PlayStation 6の発売は2027年に確定か ソニー社内で「完全に固めている」とのリーク情報
- ソニーとAMDの共同発表:「Project Amethyst」動画
- 当サイトの関連記事:「ソニーがPS6向け3つの革新技術を公開、2028年発売の可能性が浮上」(2025年10月10日)




