『Ghost of Yōtei』のクリア後を巡り、ファンの間で「もっと戦わせろ!」という声が噴出しています。最高の戦闘システムと評価される一方、周回プレイ(NG+)がなく、一度制圧した地域には二度と敵が現れない仕様に不満が集中。「物語の完結性」を重視する擁護意見も現れ、海外コミュニティで議論となっています。
なぜファンは「もっと戦いたい」のか? 高評価の戦闘システムが抱えるジレンマ
この論争の根底には、皮肉な事実があります。それは、『Ghost of Yōtei』の戦闘があまりにも面白いということです。「God of War以来、最高の戦闘」とまで称賛される剣戟アクションに、多くのプレイヤーが夢中になりました。しかし、敵の拠点を制圧し、物語を進めるほどに、その最高の戦闘を繰り広げる相手が世界から消えていくのです。「地域を制圧することが、楽しいことを減らしている」――このジレンマこそが、ファンが「最高の戦闘を作っておきながら、なぜ使う対象をなくすのか?」と叫ぶ理由です。

求められる「NG+」と「無限のコンテンツ」―過去作から学ぶ解決策
ファンが求める解決策は、主に二つです。一つは、全てのスキルや装備を引き継いで物語を再体験できる「NG+」の実装。苦労して手に入れた力で、もう一度無双したいという純粋な願いです。 もう一つは、クリア後も戦い続けられる「無限のコンテンツ」。例えば『Red Dead Redemption』のように、倒したはずの敵拠点が復活したり、新たな賞金首が次々と現れたりする仕組みです。物語が終わっても、いつでもあの剣戟の快感に浸れる世界をプレイヤーは求めています。

「シングルゲームは終わるもの」―物語の整合性を重んじる声も
もちろん、この流れに異を唱える声も少なくありません。「敵を討伐した地域に平和が訪れるのは、物語として当然の帰結だ」という意見です。彼らにとって、倒したはずの敵が何度も復活する世界は、没入感を著しく損なう「ご都合主義」に他なりません。 さらに、「物語には終わりがあるべきだ」という、より本質的な意見も存在します。「全てのゲームが無限に遊べる必要はない。クリアしたら次のゲームへ移ればいい」という考え方です。これは、開発陣が安易な自動生成コンテンツに頼らず、手作りの体験の質を優先した結果を尊重する声とも言えるでしょう。

NG+は後日実装が通例? 前作『Tsushima』や他のPSスタジオ作品の事例
実は、NG+が発売日に実装されないのは、ある意味で「お決まりのパターン」かもしれません。前作『Ghost of Tsushima』をはじめ、『Spider-Man 2』や『God of War: Ragnarok』など、近年のPlayStationスタジオ製大作の多くが、NG+を後日アップデートで追加してきました。 この背景には、発売後も話題を持続させるマーケティング戦略があるのでは、と見るファンもいます。今回の『Ghost of Yōtei』の状況も、その通例に倣ったものなのでしょうか。ファンの熱い声が開発を動かすのか、それとも計画通り数ヶ月後に実装されるのか。Sucker Punchの次の一手に、世界中のプレイヤーが注目しています。





