『The Elder Scrolls』シリーズ初期作の精神的後継作と紹介される『The Wayward Realms』が、開発エンジンの大きな方針転換を発表しました。開発元のOnceLost Gamesは2025年12月1日、Unreal Engine 5(UE5)から完全に離脱し、独自エンジン(プロプライエタリエンジン)を構築することを明らかにしました。これに伴い、Kickstarterバッカー向けのビルド提供は2026年6月を新たな目標としています。
UE5離脱の経緯と新エンジンへの移行理由
OnceLost GamesはSteamの公式投稿で、「コミュニティから寄せられた多くのコメントを検討した結果」としてエンジン移行の決断を報告しました。「より良いゲーム(a far better game)を届けるために必要なコントロールと柔軟性を与えてくれる」と、独自エンジンへの移行理由を説明しています。
次の映像は、UE5で制作中だった当時のゲームプレイトレーラーです。
本作は『The Elder Scrolls: Arena』や『The Elder Scrolls II: Daggerfall』の精神的後継作とされ、シリーズ初期を支えたテッド・ピーターソン氏らが開発を主導しています。共同設立者で「Daggerfallの父」とも呼ばれたジュリアン・ルフェイ氏は2025年7月22日に逝去しましたが、プロジェクト自体は現在も継続しています。
新エンジンでは低スペックPCでの動作やMod対応を重視する姿勢が示されており、これらの要素がエンジン移行の判断に影響した可能性があります。
新エンジンの性能目標と今後のスケジュール
開発チームは「10年前の専用GPUを搭載していないノートPCで30fps以上」、さらに「初代Nintendo Switch相当のマシンでもほぼ30fps」の動作を達成可能だと主張しています。Linuxのフルサポートも予定されています。
ロード性能についても具体的な数値が示されており、マンハッタンの約4倍の広さを持つという静的マップ「Eyjar」を「1秒未満でロードできる」と主張。さらに、エンジン全体の起動時間は約300ミリ秒としており、これにより開発イテレーション速度が2倍以上に向上したと説明しています。



また、C#にインスパイアされた公開スクリプト言語を採用することで、公式にMod対応を進める方針も明かされました。これは、『Daggerfall Unity』コミュニティへのトリビュートでもあると説明されています。
エンジン移行の発表とあわせて、開発スケジュールの変更も明らかにされました。以前は「年末まで」としていたビルド提供目標は達成できないとし、新たなロードマップとして「2026年6月にKickstarterバッカー向けリリース、その数カ月後に一般向けEarly Access」を予定していると発表しました。なお、2025年12月3日にはライブAMAの開催が予定されており、新エンジンや今後のロードマップについて開発チームに直接質問できる機会が設けられています。




