韓国のゲームパブリッシャーである Kraftonが、Microsoftから日本のゲーム開発スタジオTango Gameworksを買収したことが話題となりましたが、この買収の背景や今後の展望について、Kraftonのコーポレート・ディベロプメントの責任者であるMaria Park氏が詳細を語りました。
買収の経緯
Park氏は、Tango Gameworksの閉鎖が発表された直後、Kraftonのチームは東京に飛び、スタジオの状況を確認。この時のことについて同氏は「創設者の三上真司氏の退社後も、スタジオの職人気質と創造性が継続しているかどうか不安でした。しかし、訪問してみると、ほぼ全員がオフィスで熱心に仕事をしており、プロジェクトの質の高さに感銘を受けました」と語っています。
買収の理由
Kraftonが Tango Gameworksを買収した主な理由は以下の通りです。
- 独自性のあるゲーム開発力:Tango Gameworksのこれまでのタイトルはすべて独自性があり、Kraftonの求める革新性と創造性に合致していました。
- 「Hi-Fi Rush」IPの獲得:マイクロソフトからIPを取得できる珍しい機会でした。
- 日本市場への進出:Kraftonは日本市場への本格的な参入を検討しており、Tango Gameworksはその足がかりとなります。
今後の展望
- 「Hi-Fi Rush」の続編開発:Kraftonは「Hi-Fi Rush 2」の開発を継続し、より高品質なゲームを目指す(※詳細は後述)
- 新規プロジェクト:Tango Gameworksは、オンライン協力プレイゲームなど、新しいジャンルにも挑戦する予定。
- クリエイティブの自由度維持:Kraftonは、Tango Gameworksのクリエイティブな自由度を尊重し、過度な介入は避ける方針。Park氏は「我々は単に成功したゲームを複製するのではなく、独自性のあるゲームプレイを見出すことに注力しています」と強調。
『Hi-Fi Rush 2』について
Park氏が初めてTango Gameworksを訪れた際、既に『Hi-Fi Rush 2』の開発は進められており、6ヶ月が経過していたとのこと。『Hi-Fi Rush』の開発チームはファンの期待を超えるものを作りたいと考えており、例えば『Hi-Fi Rush』のフィードバックとして寄せられた「工場をただ通り抜けるだけのように感じた」という意見を受け止め、『Hi-Fi Rush 2』では、オープンワールド的でダイナミックな環境での体験を提供したいと考えているそうです。また、リズムアクションにより高度な技術を適用し、さらにシンクロ感を得られる体験を目指しているとのことです。
なお、現在はIP取得が進行中のため、関連する全てのアセットとツールがMicrosoftからCraftonに移管されるまで、開発は一時停止しているそうですが、Park氏は「確実に続編の開発を継続する」と主張。ただし、続編を急いで市場に出すことはせず、続編が確実にコミュニティの期待を超える品質レベルに達するようにしたいと考えていると話してます。
『Ghostwire: Tokyo』や『サイコブレイク』など他IPについて
Park氏は、インタビュアーから、今回の買収に『Ghostwire: Tokyo』や『サイコブレイク』といった他のゲームがスタジオ買収を正当化する助けになると考えたか?という質問に対し、次のように回答しています。
「主に『Hi-Fi Rush』に焦点を当てました。これは戦略的な決定でした。すべてのIPを取得できれば理想的でしたが、チームは『Hi-Fi Rush 2』の開発に取り組んでおり、他のメンバーは『サイコブレイク』のアニバーサリーコンテンツを制作していました。MicrosoftのIP売却に関する方針を考慮し、この買収交渉で無理をしたくありませんでした。そのため、主に『Hi-Fi Rush』について協議しました。他の作品も含めると、交渉プロセスが複雑化し、全体の交渉期間が長引く可能性があったからです」