『ボーダーランズ4』のPC版最適化問題をめぐり、開発元GearboxのCEOランディ・ピッチフォード氏が「プレミアムゲームはプレミアムゲーマーのためのもの」と発言し、ゲームコミュニティで激しい批判が巻き起こっています。韓国メディアGameyの報道によると、公式推奨スペック(RTX 3080)を満たすユーザーでさえ1080pで安定したフレームレートを維持できず、PC Gamerの検証では最高級のRTX 5090でも4Kネイティブでは40fps程度との結果が報告されています。
公式推奨スペックと実情の深刻な乖離
Gameyによると、Gearboxは最小要件をRTX 2070、1440p・60fps中設定の推奨要件をRTX 3080と提示しています。しかし実際には、推奨要件を満たす環境でも1080pでの安定動作が困難な事例が相次いでいるとのことです。
PC Gamerが掲載したNVIDIA作成の最適化設定ガイドでは、RTX 40シリーズで2倍、RTX 50シリーズで最大4倍のフレーム生成技術使用が推奨されています。1,000ドル以上するRTX 5080でさえ1440p・60fps達成には画質向上技術(DLSS)と大幅なフレーム生成の併用が示されており、従来のハイエンドGPU向けゲームと比較して異例の高負荷要求となっています。
PC・コンソール版ともに深刻な性能問題
PC Gamerの性能検証では、RTX 5090と最新CPUを組み合わせた最高スペック構成でも、4Kネイティブ(DLSS・フレーム生成なし)では平均40fps程度との結果が報告されています。画質向上技術を適用して80fps程度に向上するものの、断続的なカクつきが発生するとのことです。
PC版だけでなく、PS5およびPS5 Proでもメモリリークと推測される性能低下が時間経過とともに悪化する問題が確認されており、プラットフォームを問わず最適化不足が指摘されています。
「4Kこだわり派」発言で批判が激化
こうした性能問題に対するユーザーの批判に対し、ピッチフォード氏はXで反論を展開しました。同氏は「『ボーダーランズ4』はプレミアムゲーマーのためのプレミアムゲームです」「最も一般的なハードウェアは4年前のものだ」と述べ、「モンスタートラックをリーフブロワーのモーターで運転しようとすれば失望するでしょう」と比喩を用いました。
特に物議を醸したのは4K解像度でのプレイを希望するユーザーに対する発言です。Gameyによると、同氏は「2〜3年前のハードウェアで4Kウルトラマックス設定に完全にこだわっている。好きにすればいい。ただし4Kにこだわらないなら1440pを考慮してみてほしい」と述べ、さらに「満足できない体験になるくらいならSteamの返金機能を利用してください」と開発会社CEOとして異例の返金推奨まで行いました。
統計データと実情の大きなギャップ
その後、ピッチフォード氏はカスタマーサポートの統計を根拠に反論しました。GamesRadarによると、全プレイヤー(インストール数ベース)の約1%がサポートを利用し、そのうち0.04%がPC性能問題を報告したと説明しています。これらの報告のうち0.009%が有効な問題として分類され、0.037%は設定指導で改善したとのことです。同氏は「有効な性能問題は全体の0.01%未満」と主張し、オンライン上の批判を過大評価だと一蹴しました。
しかし、Steam評価は同氏の主張と大きく異なる実情を示しています。Gameyが報じた発売直後は15,000件のレビュー中69%が肯定的評価でしたが、現在では約29,000件のレビュー中63%が肯定的評価にとどまり、「賛否両論」の評価となっています(2025年9月18日確認)。
レビュー数の増加とともに肯定的評価の割合が低下している傾向が見られ、現在では37%にあたる約10,700件が否定的評価となっています。これはピッチフォード氏が主張する「0.01%未満」という数値と大きく乖離する結果です。
Gameyはゲームコミュニティの厳しい反応も伝えています。Xでは「数十万円する最高級グラフィックカードでもまともに動かないゲームを作っておいてユーザーのせいにするとは何事か」「DLSSとフレーム生成に依存するのは最適化ではなく最適化放棄宣言だ」といった批判が相次いでいるとのことです。韓国のゲームコミュニティでも「いくらプレミアムといってもこれはひどすぎる」「ゲーム会社が顧客にこのような発言をするのは正常なのか」という反発が強く、「むしろ『申し訳ない、パッチで対応する』と言っていれば理解できたのに」と、ピッチフォード氏の対応姿勢を批判する声も上がっていると伝えられています。
回避策の存在と根本的課題
PC Gamerは、NVIDIAコントロールパネルでシェーダーキャッシュサイズを100GBに設定することでカクつき問題が大幅に改善されると報告しています。また、特定のグラフィック設定を下げることで性能向上が期待できるとのことです。
パッチについては、PC Gamerがデイワンの2.7GBパッチでクラッシュがある程度軽減されたと報じる一方、Gameyは初回PCパッチが性能を多少改善したもののクラッシュ問題をより多く発生させる副作用も生んだと報告しています。
業界専門家からは「ゲーム最適化は開発会社の基本的な義務」とし、「『プレミアム』という名目で基本的な最適化をおろそかにすることは、ゲーム産業全体に悪しき前例となる可能性がある」との懸念が示されています。現在のところ、Gearboxからの包括的な最適化パッチのリリース予定については明らかにされていません。
出典:
PC Gamer、GamesRadar+、Gamey、Steamストアページ(2025年9月18日確認)




