足音で世界が変わる──ゲーマーが語るサウンドデザインの真価

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Redditのゲームコミュニティで、ある投稿が注目を集めています。テーマは「足音のサウンドデザイン」。グラフィックやゲームプレイについては盛んに議論されるのに、足音が話題になることは少ない──と投稿者は指摘しました。この問題提起に多くのコメントが寄せられ、地面の材質によって変わる音やキャラクターの重量感を伝える響きなど、小さなディテールがゲーム体験に与える影響について、さまざまな声が集まっています。

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グラフィックは語られても足音は語られない

投稿のきっかけは、『Skyrim』での違和感でした。岩の上を歩いているはずなのに、土の上と同じような足音が聞こえる。一度気づいてしまうと、世界観への没入が途切れてしまう。投稿者は、「良い足音は世界をリアルに感じさせ、悪い足音は雰囲気を壊す」と述べ、この小さなディテールについてもっと語られるべきだと呼びかけました。

この問いかけに対し、コミュニティの反応は大きく二つの方向に分かれました。一つは「競技シューターでは足音が勝敗を分ける」という実用面からの意見。もう一つは「シングルプレイ作品でも没入感を支える重要な要素だ」という体験面からの声です。以下では、この二つの軸に沿って、プレイヤーたちが挙げた具体例を整理します。

競技シーンでは足音が生死を分ける

『Counter-Strike』や『Valorant』など、対人戦を主軸とするシューターでは、足音はよく話題になります。敵がどこにいるのか、何人いるのか、どの方向から近づいているのか。視界に入らない情報を音で補うため、足音の精度が立ち回りや勝敗に大きく影響するからです。

複数のユーザーが『Overwatch』を例として挙げています。このゲームでは、キャラクターごとに足音が異なり、十分にやり込んだプレイヤーであれば音だけで「誰が来たか」を判別できると述べています。また、敵の足音は味方より大きく聞こえるよう調整されていると指摘する声もあり、混戦の中でも脅威を聞き分けやすい設計になっていることがうかがえます。『Rainbow Six Siege』も同様に高く評価されました。地形や距離によって反響や強さ、明瞭さが変化し、「ステルスが本当に機能する数少ないPvPゲーム」「音が命のゲーム」といったコメントが見られます。

そして、足音サウンドの代表例として名前が挙がり続けていたのが『Hunt Showdown』です。「材質、方向、距離がすべて分かる」「42年ゲームをしてきたが、足音に関してこれを超えるタイトルはない」といったコメントが寄せられていました。こうした声から、足音の情報量がこのゲームの緊張感や駆け引きを形作る大きな要素になっていることが伝わってきます。

没入感を支える「地面との対話」

競技性のないシングルプレイ作品でも、足音は世界観を伝える重要な役割を担っています。コミュニティで繰り返し名前が挙がったのが、ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルドです。このゲームでは、身につけている防具に合わせて足音が変化します。あるユーザーは、BotWのサウンドデザインを紹介する動画を挙げたうえで「木や金属の装備をいろいろ付け替えながら、一日中足音の違いを録音しているスタッフを想像してしまう」とコメントしており、その作り込みの深さがうかがえます。別のコメントでは、BotWの足音を「AAAタイトルに膨大な予算が必要な理由が分かる好例」と評していました。

状況・環境にあわせて細かく変化する足音を堪能できる動画を紹介。一人称視点は、おそらく2021年に発見されたグリッチによって実現したと思われます。

意外な高評価を得ていたのが『Minecraft』です。ローポリゴンのシンプルな見た目に反して、葉っぱのカサカサ音からカーペットの柔らかい踏み心地、木や石の硬質な響きまで、ブロックの素材ごとに異なる足音が用意されていると指摘する声がありました。1998年発売の初代『Thief』を挙げるユーザーもいます。このゲームでは足音がステルスメカニクスそのものに組み込まれており、苔の矢を床に撃って足音を抑えるといった戦術が可能でした。「足音がゲームプレイの核心だった」「生き残るために音を聞き分ける必要があった」といったコメントが並び、当時として画期的なサウンドデザインだったことがうかがえます。

足音サウンドの未来──音から触覚へ

足音表現の次のステップとして語られていたのが、触覚との連携です。PS5の『ASTRO’s PLAYROOM』や『ASTRO BOT』では、DualSenseコントローラーのハプティクス機能により、足音を「聞く」だけでなく「感じる」体験が実現しています。Redditではデモ版の時点で「唯一、足音でここまで印象に残ったゲーム」といったコメントも見られ、砂利や金属、草といった地面の違いが振動として手に伝わる点が印象的だと語られていました。

グラフィックの進化に比べると、足音のサウンドデザインが大きく取り上げられる機会は確かに多くありません。しかし今回のスレッドが示すように、この小さなディテールに強いこだわりや違和感を抱いているプレイヤーは少なくありません。次にゲームを起動するとき、少しだけ足元の音に耳を傾けてみると、新しい発見があるかもしれません。

出典

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