『世界樹の迷宮』や『セブンスドラゴン』、『Fate/EXTRA』、『ドラゴンクエストビルダーズ』といった作品を手掛けたゲームクリエイター新納一哉氏。昨年8月、TYPE-MOONによる新設スタジオ「studio BB」のスタジオディレクターに就任した同氏へのインタビュー記事が公開されました。
studio BB スタジオディレクター 新納一哉氏 インタビューより
- studio BB設立発表時の反響の大きさに驚いた。初めて個人名でTwitterにトレンド入りしたり、あちこちで知り合いから声をかけられたり、TYPE-MOONのファンの多さを改めて実感した。期待に応えるゲームを作らなければとプレッシャーを感じている。
- (TYPE-MOONとどんな繋がりがあった?)アトラスで『世界樹の迷宮』を作り始めた頃(13年前くらい)、開発に携わりながらも次に制作するゲームも模索していて、個人的にファンだった『月姫』関連の作品を作らせてもらえないかとお願いに行ったのが最初の接点。その時は『Fate』関連作品の開発時期と重なってしまい願いは叶わなかった。
- その後、イメージエポックに在籍することに。そこでもまたTYPE-MOONの世界観のRPGを作りたいと思い、当時『月姫』よりもリアルタイム感のあった『Fate』関連のRPGを提案した。そして生まれたのが『Fate/EXTRA』シリーズ。ちなみに、企画のかなり初期段階から『Fate/EXTRA CCC』の計画も提案していた。
- 「Studio BB」の“BB”は、『Fate/EXTRA CCC』に登場するキャラクター「BB」が由来という理解で良い。自分としてもすごく馴染みある言葉であり、新しい挑戦をする時にBBという言葉に見守ってもらえるような気がした。
- (studio BB 設立の経緯)スクエニ第三開発事業本部に在籍していた時、ボスの吉田直樹さん(FFXIV プロデューサー兼ディレクター)に「TYPE-MOONと一緒にゲームを作りたい」と提案したのがきっかけ。吉田さんも興味を持ってくれたが、会社としてのタイミングや編成の問題で、すぐに始めるのは難しいという結論に。40歳を過ぎ現役の時間は長くないことから、本当に作りたいゲームを一直線に作りたいと考えており、それまで待つことができなかった。そんな時、TYPE-MOON代表の武内さんが「それなら、うちでやるのが早いのでは」と提案してくださり、急遽スタジオを立ち上げることが決定した。
- (TYPE-MOONはそもそも開発を行っているので、なぜ新スタジオなのか)TYPE-MOONは同人サークルからスタートして20年近く、ほとんどメンバーの変動もなくやっている会社であり、独自の文化がある。その中にコンシューマゲームの開発者という文法の違う会社員が溶け込むのは難しいという武内さんの意見、そして「TYPE-MOONとして力を貸すし,一緒に仕事はするけど,開発自体は(新スタジオを立ち上げて)独自にやったほうがいいのでは」というアドバイスを頂いた結果。
- stuio BBでは、TYPE-MOONとは別軸で、TYPE-MOON関連タイトルを開発していく。
- 5,6年後ぐらいを目標にTYPE-MOON本体とstudio BBが総力戦で作る大型タイトルを思い描いており、武内さん奈須さんとも話している。
- studio BBは現在3本の企画を考えている。そのうち1本は既に開発がスタートしており、他社と共同で制作する中規模のタイトル。また、studio BB内で完結できる小規模のタイトル1本を2020年の頭から動かす予定。
- いずれのタイトルも先に述べた大型タイトルへ向けて、TYPE-MOONが持つ世界観の実現の追求や、stuio BBの実力をつけるためのものと捉えている。
- また、もちろん奈須きのこさんの描く世界観に基づいたタイトルになるが、既存タイトルの単純な続編やスピンオフとは違うかもしれない。ほぼ新作のようなゲームもある。2020年夏までには何らかの具体的な発表ができると思う。
- (限られた開発期間の中で、これだけは「すごく良い」を目指している要素は?)BGMは、ゲームに気持ちが乗るかどうかがかかっているため重要視している。良曲でもゲームに合わなければ不採用。ハマったと思うまではリリースできない。BGMやSEの鳴らし方ひとつで、ゲームが面白くなったり、遊びやすくなったりするため影響力は大きい。
- studio BBの規模は自分を含めて現在7人。内訳は、ディレクター、プランナー、シナリオライター、プログラマ、2Dアート、3Dアート、プロジェクトマネージャーの各1名。プログラマはあと3人くらい増やしたい。
- (開発タイトルのプラットフォームは?)多くの人に遊んでほしいので、あまり決め打ちせず広くやっていきたい。現状ではPS4/Switch/PCを予定しており、Xbox Oneやスマホ、クラウドなども検討中。
- (studio BBでの新納さんの立ち位置はプロデューサー兼ディレクター?)ひとまずは兼任でやっていくが、徐々に若い子にバトンタッチし、任せられる部分は任せていきたい。個人的にはとにかく企画が書きたいので、そこに集中できる体制にしたい。憧れは堀井雄二さん。
Source: 4Gamer.net