狂気の作品『ハンドレッドライン』は“育てるIP”へ――小高和剛氏が語る拡張構想とプレイヤーへの呼びかけ

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『ダンガンロンパ』を手がけた小高和剛氏が、自身の率いるトゥーキョーゲームスの完全新作『ハンドレッドライン』に関し、将来的な拡張とユーザー参加型の展開を示唆する内容をXで投稿しました。本作はルートごとに異なる世界観を持つ構造が特徴であり、小高氏は「無限の物語が生み出せる」とその可能性を語っています。さらに、ユーザーの意見を取り入れた展開や、バトル要素の追加にも意欲を示しています。ドキュメンタリー映像では、制作の裏側やシナリオ設計の苦闘も明かされており、IPを“長期的に育てていく”という強い覚悟が感じられます。

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小高氏のポストが示す『ハンドレッドライン』の未来

「無限の物語が生まれる」――ルート分岐構造への自信

小高氏は、『ハンドレッドライン』が「各ルートごとに異なる世界観を持つ設計」であることに着目し、「無限に物語を生み出せる」と語りました。例えば『ダンガンロンパ』のような「連続殺人事件」や、『ZERO ESCAPE』のような「デスゲーム」といったジャンルがエンディングごとに展開されることも可能だとし、シリーズ化やスピンオフの余地を強調しています。実際、本作には100種類のエンディングが用意されており、いずれにも意味を持たせる構造が目指されています。

【原文】
I’m serious. I want to expand the story of Hundred Line and create an overwhelmingly huge labyrinth of scenarios. Something truly unique. Since this game is designed with different worldviews for each route, endless stories can be created. For example, there could be a series of murder cases like in Danganronpa, or a death game like Zero Escape — anything is possible. Not only the story, but we might also add something in the battles. It might be a good idea to survey the users as well. Hundred Line is an original IP by Tookyo Games, so we want to nurture it for a long time. Players, please support us. Feeding on your support, this monster will grow.

【翻訳】
本気です。『ハンドレッドライン』の物語をもっと広げていきたい。そして、圧倒的に巨大で入り組んだシナリオの迷宮を作りたいと思っています。これまでにない、まったく新しいものを。

このゲームは、各ルートごとに異なる世界観を持つ設計になっているので、無限の物語を生み出すことができます。たとえば、『ダンガンロンパ』のような連続殺人事件があったり、『極限脱出』のようなデスゲームが展開されたり――あらゆる展開が可能です。

物語だけでなく、バトル面にも何かを追加するのは良いアイデアかもしれません。

ユーザーの皆さんにアンケートを取ってみるのもいいかもしれないですね。

『ハンドレッドライン』はTookyo Gamesの完全オリジナルIPです。だからこそ、長く大切に育てていきたい。

プレイヤーの皆さん、どうか応援してください。皆さんの支援を糧に、この“モンスター”はどんどん成長していきます。

出典:小高和剛氏Xアカウント

この設計思想は、公式YouTubeチャンネルで公開されたドキュメンタリー映像(YouTube: Behind the Scenes of Hundred Line)でも詳しく語られています。映像では、プロットの複雑さを可視化するために巨大なフローチャートが用いられている様子や、「すべてのエンディングが意味を持つこと」が至上命題であったことが紹介されています。

シナリオ拡張だけでなく、バトル要素にも新展開?

小高氏は「シナリオだけでなく、バトルにも何かを追加するのも良いかもしれない」と発言しており、今後のアップデートやDLCでゲームプレイの拡張を視野に入れていることがわかります。ユーザーの反応やアンケートに応じて調整を加える構想もあり、進化し続けるIPとしての地盤を固めようとしています。

「このモンスターを育てていく」――IPとしての育成宣言

「Hundred LineはTookyo GamesのオリジナルIPなので、長く育てていきたい」と語る小高氏は、スタジオ独自の財産としてこの作品に深い愛着を持っていることを示しています。「皆さんの支援を餌にして、このモンスターは育っていきます」という比喩表現からは、プレイヤーの声が今後の展開を左右する双方向的な構想が読み取れます。

さらに、別の投稿では「ハンドレッドラインをもっと有名にするため、これからも全力を尽くします」との意思を明言。必要な改善を施しながら、今後10年間売れ続けるゲームに育てたいと意気込みを語っています。また、「キャラクターのコスプレも、どうぞ自信を持って!」と、ファンとの距離を縮める発言も見られました。

発言の背景とスタジオの現状

Tookyo GamesのIP戦略と財政状況

『ハンドレッドライン』は2025年4月に発売されたばかりの新規IPでありながら、シナリオ量600万文字超・エンディング100種という大規模な構成で注目を集めました。一方で、開発元のTookyo Gamesは制作費確保のために借金を背負うなど、財政的にはまだ安定していない状況です。このような状況下であっても、ユーザー参加型の成長モデルを打ち出す姿勢は、スタジオの独立性と覚悟を示すものといえます(GamesRadar+)。

「狂ったポイント」が必要と語る制作の裏側

ドキュメンタリー映像では、制作の裏側にある「狂ったポイント(Crazy Point)」の重要性についても触れられています。これは小高氏が、ゲーム作品における独自性や驚きを生み出す要素として意識しているものであり、『ハンドレッドライン』ではルートごとの世界観の振り幅や構成の異常なまでの緻密さに反映されています。

また、人間の手で600万文字超の分岐物語を組み上げた点について、「人間の力だけで作ったゲームの価値」や「開発の無謀さ」にも言及。スタジオの挑戦が、同時に“信念の塊”であることが伝わる内容となっています。

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