『サブノーティカ2』開発で前代未聞の混乱──Kraftonと旧幹部が退任・訴訟・報酬問題で激突、リリース延期も正式決定

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『Subnautica 2』を巡って、開発元Unknown Worldsの幹部退任、2026年へのリリース延期、2.5億ドルに及ぶ報酬トラブル、そしてKraftonとの訴訟にまで発展した一連の騒動が注目を集めています。
本記事では、これらの出来事を時系列に沿って整理し、各当事者の主張、開発状況への影響、機密情報のリーク、そしてシリーズの今後について、事実に基づいて詳しく解説します。

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『Subnautica 2』の開発に影を落とす体制変更と法的対立

深海探索をテーマにしたサバイバルゲーム『Subnautica(サブノーティカ)』は、独自の世界観と探索要素で高い評価を得たインディーゲームであり、シリーズは世界的な人気を獲得してきました。開発スタジオであるUnknown Worlds Entertainmentは、2021年に韓国の大手ゲーム企業Kraftonに買収され、続編『Subnautica 2』の開発が本格化します。

2025年には、Steamのウィッシュリストでも高い関心を集めるなど、ファンの期待も高まっていました。一方で、開発現場では幹部の退任、リリース方針を巡る対立、報酬制度に関する内部の不一致など、複数の課題が表面化。現在では、旧幹部とKraftonの間で訴訟が提起されるなど、開発体制に大きな影響を及ぼしています。

事態の発端:開発の中核を担った3名が電撃退任

2025年7月初旬、KraftonはUnknown Worldsの主要幹部3名がスタジオを退任したことを発表しました。報道が始まったのは7月2日から4日頃で、突然の発表により業界関係者やファンに大きな衝撃を与えました。

退任したのは以下の3名:

  • テッド・ギル氏(CEO)
  • チャーリー・クリーブランド氏(共同創業者・クリエイティブディレクター)
  • マックス・マグワイア氏(共同創業者・テクニカルディレクター)

この発表に業界は騒然。しかもこの発表には本人たちのコメントは一切添えられておらず、理由説明もなしという異例の形式でした(出典: Korea Herald)。

Krafton側は後日、「開発を放棄して他プロジェクトに注力したため」と一方的に説明。これに対し、当事者であるクリーブランド氏は後に「我々はプロジェクトを放棄したのではなく、外された」とSNSで強く反論しています。

“裏切り”と責任転嫁:Kraftonの公式声明の真意

退任発表の後、Kraftonはさらなる声明を発表し、元幹部たちが「Subnautica 2を放棄し、映画など他のプロジェクトに取り組んでいた」ことが開発遅延の原因だと明言しました(出典: PC Gamer)。

具体的には、

「彼らの不在により、開発方針が定まらず、プロジェクトは著しく遅延した。Early Access版は現在、想定よりもコンテンツが不足しており、準備が整っていない」

と述べ、リリース延期(2026年に延期)の責任が元幹部にあるとする立場を強調しました。

この発表の直後、Kraftonは『The Callisto Protocol』の元開発者である スティーブ・パプーツィス氏 を新たなUnknown WorldsのCEOに任命しています。

ボーナス問題の核心:2億5000万ドルは誰のものか?

この対立を決定的に泥沼化させたのが、総額2億5000万ドル(約392億円)のボーナス支払い問題です。

  • Bloombergの報道によると、Kraftonは2025年後半にこのボーナスをUnknown Worldsの開発チームに支払う予定でした(出典: IGN/Jason Schreier)。
  • このボーナスは、Krafton社内でも稀に見る巨額であり、元幹部たちはこれを100名以上の開発チームに公平に分配する計画だったとされています。

しかし、Kraftonが『Subnautica 2』のリリースを2026年に延期したことで、支払いの条件(一定の目標達成)が成立しないことになり、ボーナスそのものが「消滅」しました。

Kraftonはこの点について、次のように主張しています。

「90%のボーナス資金は、3人の幹部の取り分として割り当てられていた。彼らの行動は従業員の信頼を損なった。」

一方でクリーブランド氏は、

「ボーナスは私たちが創設したチーム全員にとっての報酬だった。これを不正に反故にされたことは、我々だけでなく開発者全体への侮辱だ」

と反発しています。

機密スライドのリーク事件──Kraftonの“異例対応”が波紋を広げる

7月10日頃、Reddit上にて『Subnautica 2』の開発状況を示すとされる社内資料のスライドが流出。内容は次のようなものでした。

  • 想定されていたゲームコンテンツの規模削減
  • 開発スケジュールの未達が累積
  • チームの指針に対する混乱が記録されている

この資料の真偽を巡って議論が起こる中、Kraftonは 異例の公式対応として「本物の社内資料である」と認める声明を発表。

「憶測の拡大を防ぎ、プレイヤーとの信頼関係を維持するために、透明性を最優先とした判断である」(出典: PC Gamer)

と説明しましたが、この対応がさらなる内部混乱と対立の深刻さを裏付ける形となりました。

そして訴訟へ──旧幹部たちがKraftonを正式提訴

2025年7月11日、旧開発幹部の一人チャーリー・クリーブランド氏は、X(旧Twitter)上でKraftonを契約違反で提訴したことを公に認め、その背景と決意を詳細に述べました。

「数十億ドル規模の企業を相手に公に訴えるなど、私の人生の計画にはなかった。だが、これは正されなければならない。Subnauticaは私の人生の結晶であり、私は決して自ら捨てたことはない」(出典:Xアカウント@Flayra

この訴訟は、単なる退職者による企業批判ではなく、契約内容の履行、報酬分配、公的評価と名誉毀損など、複数の法的争点を含んだ長期戦に発展する可能性が高いと見られています。

今後の焦点と『Subnautica 2』の未来

現在、Kraftonは新体制のもとで『Subnautica 2』の開発を継続中ですが、

  • 開発ビルドの完成度不足
  • コア開発陣の喪失
  • 社内外の不信感

といった重い課題を背負っています。

一方、コミュニティの多くは元開発者に同情的であり、「Kraftonの企業倫理」「報酬の透明性」「開発文化の尊重」に対して疑問の声が高まっています(出典: Reddit)。

誠実な開発体制が問われる新たなフェーズへ

『Subnautica』という人気IPを巡る今回の一連の問題は、ゲーム開発における創造性と商業的判断のバランス報酬制度の透明性、そして経営と現場の信頼関係といった、業界全体が直面する構造的課題を浮き彫りにしています。

『Subnautica 2』の今後の開発が順調に進むかどうかは、関係各社がこうした課題にどのように向き合い、対応していくかにかかっています。プレイヤーの期待にどこまで応えられるかが、IPの将来を左右する重要な要素となるでしょう。

参考・出典:

  1. IGN
     Ousted Subnautica 2 leadership files lawsuit against parent company Krafton
  2. Korea Herald
     Unknown Worlds leadership exits cause stir
  3. PC Gamer
     Krafton confirms Subnautica 2 leak
  4. GameRant
     Subnautica 2 development leak confirmed
  5. Reddit
     Subnautica 2 delay and financial implications
  6. Unknown Worlds公式
     Subnautica 2 coming 2026
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