ソニーがPlayStation独占タイトルのXbox / Switch展開を加速か—求人情報から判明

かつてはPlayStation専用だったソニーの主力タイトルが、さらに多様なプラットフォームへと展開される可能性が高まっています。PC展開に続き、今後はXboxやNintendo Switchといった競合コンソールへも拡大する兆しが、最近の求人情報から明らかになりました。

ソニーの求人から読み解くマルチプラットフォーム戦略

ソニー・インタラクティブエンタテインメント（SIE）は、「マルチプラットフォーム＆アカウント管理担当シニアディレクター」というポジションの求人を公開しました。この役職は「PlayStation Studiosソフトウェアタイトルのグローバル商業戦略をPlayStation以外のハードウェア上で展開する」ことを主要任務とし、「Steam」「Epic Games Store」「Xbox」「Nintendo」「モバイル」が対象プラットフォームとして明記されています。

求人広告によれば、この役職には「タイトルの収益最大化」や「クロスファンクショナルな連携」、「マルチプラットフォームに特化したチームの統率」といった責務が含まれ、PlayStation以外のプラットフォームでの中長期的な収益成長戦略を監督することが求められています。

Helldivers 2のXbox参入—PlayStation発の新境地

こうした戦略変化を象徴する出来事が、人気タイトル『Helldivers 2』のXbox Series X|S版発表です。Arrowhead Game Studiosが開発し、SIEがパブリッシングを手がけるこの協力型TPSは、2024年2月のPS5/PC版発売から12週間で1,200万本を突破し、PlayStation Studiosタイトルとして史上最速の販売記録を樹立しました。

Xbox版は2025年8月26日に発売予定で、PC版やPS5版とのクロスプレイにも完全対応します。興味深いことに、同日はマイクロソフトの『Gears of War: Reloaded』がPlayStation 5に登場する日でもあり、かつてのライバル企業間で相互に重要タイトルが供給される新時代の幕開けを告げています。

Arrowhead Gameのミカエル・エリクソン氏は「ゲーマーたちの長年の要望に応える形でXbox展開が実現しました。より多くのプレイヤーを迎え入れることで、今後数年にわたって予定している多彩なコンテンツを通じてさらに豊かなストーリーが紡げるでしょう」と期待を寄せています。

変わるゲームビジネスの収益構造

PlayStation Studios代表のヘルメン・ヒュルスト氏は過去のインタビューで、自社IPの他プラットフォーム展開について「非常に慎重に判断する必要がある」と述べ、PlayStation独自のエコシステム価値を損なわないバランスを重視していました。

しかし業界全体で開発費が高騰し、大作ゲーム制作の長期化が進む中、収益源の多様化は経営課題として浮上しています。WindowsCentralの報道によれば、ソニーは投資家に対して利益率向上を約束しており、その達成手段として既存IPの販路拡大が検討されています。

現代のゲーム市場では、プレイヤーはいったん選んだプラットフォームから他に移行することに消極的な傾向があります。数千万人規模のXboxユーザーコミュニティには、『Days Gone』や『Ghost of Tsushima』といったソニーの評価タイトルを未体験の層が広く存在し、新たな収益機会となる可能性があります。

プラットフォーム間の垣根が低くなる業界潮流

ゲーム産業では、かつての厳格なプラットフォーム独占の壁が次第に崩れつつあります。ソニーはすでに多くの主力タイトルをPC向けに移植し、『LEGO Horizon Adventures』のNintendo Switch展開も実施しています。

マイクロソフト側も積極的な動きを見せており、『Hellblade 2』の8月PS5発売や『The Outer Worlds 2』の10月PlayStation版リリースなど、従来のXbox独占タイトルを競合プラットフォームに提供し始めています。

現代のエンターテイメント市場では、Netflix、TikTokといった巨大プラットフォームや、『Fortnite』『Roblox』などの常に進化し続けるライブサービスゲームが消費者の時間を奪い合っています。WindowsCentralは「あらゆる場所とデバイスに同時に存在することが、大衆の注目を獲得する最も効果的な戦略になりつつある」と分析しています。