Pearl Abyssが2026年3月19日に発売予定の『紅の砂漠』。ゲームメディアINVERSEのベテランジャーナリスト、ヘイズ・マドセン氏が2025年9月のPAX Westで約1時間プレイし、「これまで見た中で最も野心的なゲーム」と絶賛しました。このゲームの何が特別なのか、実際のプレイ体験から見えてきた魅力を詳しく解説します。
『Dragon’s Dogma 2』を思わせる冒険の予感
マドセン氏が最初に思い浮かべたのは、カプコンの『Dragon’s Dogma 2』でした。「これは最大限の賛辞です」と前置きした上で、両作品の共通点を語っています。様々な冒険が待っている世界、そして世界が本当に生きているように感じられる感覚——同じような感覚を『紅の砂漠』にも感じたと述べています。『Dragon’s Dogma』シリーズは、プレイヤーが自由な発想で問題を解決できる魅力を持っていましたが、『紅の砂漠』には明確な物語があり、主人公クリフの冒険を通じて世界を探索する構造になっています。

体験版では、キャンプで装備を整え、バリスタ(大型の投石機)で敵の防衛線を攻撃し、数百人の兵士が入り乱れる大規模な戦闘を馬で駆け抜け、最後は城の最深部で巨大な騎士とのボス戦に挑みました。これらすべてが約1時間に凝縮されていましたが、マドセン氏は「すべてを覚えているとは言い難い」と振り返るほど密度の高い体験でした。この複雑さは、世界全体の仕組みから戦闘システムのような細かな部分まで、あらゆる面に表れています。
格闘ゲームのような奥深い戦闘システム
『紅の砂漠』の戦闘は、見た目は『ウィッチャー』のようなファンタジーアクションですが、実際にプレイすると全く違います。剣、弓矢、盾での打撃といった基本攻撃に加え、キック、空中からの叩きつけ、敵の頭を掴んで地面に叩きつけるノックアウト技など、骨を砕くようなレスリング技を織り交ぜることができます。さらに、敵をよろめかせる掌底、剣に力を込める魔法、空中で時間を遅くしながら矢を放つ技など、多彩な選択肢が用意されています。

マドセン氏は最初の10分間、操作に戸惑い、うまく動かせませんでした。しかし時間が経つにつれて、戦闘のリズムやボタンを押すタイミングの重要性——まるで格闘ゲームのような感覚——が理解できるようになったと語っています。タイミングの重要性は、最後のボス戦でさらにはっきりしました。巨大な騎士カシウスは、マドセン氏を部屋中に投げ飛ばし、石柱に叩きつけ、樽を突き破りました。この戦いで回避とタイミングの重要性がより際立ち、「ボスとの間で繰り広げられるダンスのよう」だったと表現しています。カメラが揺れ、レスリング技を決める瞬間にぐっと寄る演出も、生々しい迫力を生んでいます。
攻城戦を収めた最新のプレイ映像
マドセン氏のレポートとは無関係ですが、IGNより11分にわたる最新のプレイ映像が公開中。主人公クリフが城に潜入し、その中心にいる屈強なボスを倒すというミッションを見ることができます。
独自エンジンが実現する圧倒的な世界
『紅の砂漠』の開発元Pearl Abyssは、このゲームのために独自エンジン「BlackSpaceエンジン」を構築しました。このエンジンは今後の作品『DokeV』にも使用される予定です。建物にはリアルタイムの物理演算が適用されており、マドセン氏は攻城戦の前に、バリスタで巨大な塔を崩壊させる様子を目撃しました。天候はシミュレートされ、環境はリアルタイムで変化します。たとえば、気温の変化で過熱状態になったり、泥が生成されて移動が困難になったりします。

真夜中に空を見上げると、惑星の「自転」に合わせて動く独自の星のネットワークを見ることができます。また、ゲームの探索には高低差のある立体的な地形が広がっており、そびえ立つ山の頂から浮遊島まで、さまざまな場所を冒険できます。浮遊島からは『ゼルダ』シリーズのようにスカイダイビングで降下できます。『紅の砂漠』の世界には、森を駆け抜ける野生動物、賑やかな都市、兵士で溢れる軍営、そして目を引く名所など、美しい景色が広がります。

マドセン氏が主に体験したのは戦闘と探索でしたが、狩猟、釣り、馬の調教、クラフトシステムなど、ミニゲームや日常生活の要素も多数用意されています。
謎めいたSF要素
マドセン氏が最も興味を持ったのは、ファンタジー世界に染み込んでいるSF的な雰囲気です。古代遺跡は、光る機械のような設置物とともに、不気味なほど場違いに見えます。そして、戦闘で倒れるたびに、ワームホールのような復活アニメーションが再生されます。マドセン氏がこれらの要素について尋ねたところ、担当者は「今はお話しできません」と控えめに答えました。この謎めいた空気が、ファイウェルという世界をさらに探索したいという欲求を掻き立てています。

それでも心を掴まれた理由
マドセン氏は現代のオープンワールドゲームには一定の疲れを感じていると語っています。過剰な設計や時間を浪費させる要素で溢れがちだからです。それでも『紅の砂漠』に期待する理由として、「1時間のプレイは、これまで体験した中で最も圧倒的なデモの一つ」「2026年に最も見たいゲームの一つになった」と評価しています。仕様だけを見ると詰め込みすぎに見えるかもしれませんが、このゲームには自信に満ちた空気があり、もっと見たい、もう少し深く掘り下げたいという気持ちにさせると述べています。『紅の砂漠』は、オープンワールドとは何か、そしてなぜ私たちがそれに魅了されるのかという問いに挑もうとしているように感じられます。
発売情報とおすすめポイント
『紅の砂漠』は2026年3月19日にPS5、Xbox Series X|S、PCで発売予定です。姉妹作『黒い砂漠』とは異なり、完全なシングルプレイ専用ゲームです。多様なクエストやダンジョンが用意されています。『Dragon’s Dogma 2』や『ウィッチャー』が好きな人、自由度の高いオープンワールドゲームを探している人、格闘ゲームのような奥深い戦闘システムが好きな人、美しいグラフィックと広大な世界を冒険したい人、謎めいたストーリーやSF要素に興味がある人におすすめです。
Pearl Abyssがこの壮大な野心を実現できるかどうかは、今のところ断言できません。しかし、1時間のプレイだけで専門家を圧倒した『紅の砂漠』は、2026年に注目が集まるゲームの一つと言えるでしょう。
出典 本記事はゲームメディアINVERSEのヘイズ・マドセン氏によるPAX West 2025でのプレイ体験記事(2025年9月10日公開:https://www.inverse.com/gaming/crimson-desert-open-world-preview)を情報源としています。




