『黒い砂漠』で知られるパールアビスが開発を手掛ける新作オープンワールド・アドベンチャー『紅の砂漠』。海外メディアIGNは、2026年3月20日の発売に先駆け、数時間にわたる本作の先行プレイレポートを公開しました。その内容から、ギミックに富んだ壮大なボス戦といった高く評価される点と、一方で今後の改善が期待されるいくつかの課題点が明らかになっています。
ギミックと戦略性が光る壮大なボス戦・要塞攻略
今回のプレビューで特に高く評価されているのが、本作の戦闘システムの核心をなすボス戦や要塞攻略戦です。巨大なメカドラゴン「ゴールデンスター」との戦闘では、ただ攻撃を繰り返すだけでなく、特定のギミックを発見し利用することが攻略の鍵となります。例えば、ドラゴンの炎のブレスをアリーナに点在するパイロンに当ててEMP爆弾を生成させ、それを使ってドラゴンを撃ち落とすといった、戦略的な攻略法が用意されているようです。
また、ゲーム内では大規模な要塞攻略戦が重要な要素として繰り返し登場します。プレビューでは、信号矢を放って味方に砲撃支援を要請し、敵兵や建物を一掃する場面が紹介されました。さらに、正面からの激しい戦闘を避け、城壁の崩れた箇所から内部に潜入し、牢獄を通ってボスへのショートカットとして利用するといった、プレイヤーの工夫次第で多様なアプローチが可能な点も、本作の大きな魅力となりそうです。
一方で指摘された集団戦と一部操作性の課題
壮大なボス戦とは対照的に、多数の雑魚敵を相手にする集団戦については、いくつかの課題が指摘されています。プレビューでは、集団戦が「ごちゃごちゃして反復的」に感じられ、戦闘体験として単調になりがちであったと述べられています。また、ロックオン機能が使いにくいため、よりフリーフォームな戦闘スタイルを選ばざるを得ず、その結果として攻撃の精度が落ち、空振りしてしまう場面もあったようです。
操作性に関しても、一部のインタラクションが煩雑であるとの指摘があります。例えば、地面に落ちているオブジェクトを持ち上げる、あるいは旗を立てるといった比較的単純な動作のために、静止して対象に向き直り、フォーカスモードを起動し、ボタンを連打するといった複数のステップが必要になる場面があったと報告されています。平時では些細な手間ですが、ボスが気絶している限られた時間内での操作となると、プレイヤーにとって大きなストレスになる可能性が懸念されます。
SFとファンタジーが融合した独特の世界観「ファイウェル大陸」
『紅の砂漠』の舞台は、伝統的な中世ファンタジーの世界観を基盤としながら、ドワーフが設計した飛行戦闘ロボットのようなSFやスチームパンクの要素が混在する「ファイウェル大陸」です。開発チームによると、この独特な設定は、現実世界において国ごとに技術の発展度が異なる状況を反映したものであり、物語の中でも一部の指導者が技術の進歩に抵抗を示すといった対立が、派閥クエストを通じて描かれるとのことです。
この設定により、クエストのバリエーションも豊かになっています。プレビューでは、科学者マニが自身の意識をクローン化して作り出したAI「ホール」が暴走し、飛行要塞を乗っ取ってファイウェルの空を脅かすという事態に対処するクエストが紹介されました。ファンタジー世界でありながら、SF的なガジェットがごく自然に登場することで、既存のオープンワールドゲームとは一線を画すユニークな体験が期待されます。
パズルや探索が待つ「アビス諸島」と多彩なサブコンテンツ
戦闘以外にも、プレイヤーを楽しませる多様なコンテンツが用意されています。その一つが、神秘的なアビスアーティファクトで解除されるポータルを通じてアクセスできる、空に浮かぶ「アビス諸島」です。ここでは戦闘よりもパズル要素が中心となり、プレビューでは、ランタンの光で正しい道筋を照らし、グラップルを使って床のタイルを回転させて回路を繋ぐといったギミックが紹介されました。
このほかにも、ファイウェル大陸では釣りや賞金稼ぎ、野生の熊などを手なずけるテイミングといったアクティビティが楽しめます。また、街では店主と取引したり、新たな依頼を受けたりと、オープンワールドならではの自由な冒険がプレイヤーを待っています。これらの要素が、壮大な物語の合間の良い息抜きとなりそうです。
結末に影響しない「派閥クエスト」とその役割
ゲームの世界には数十もの「派閥」が存在し、一部の派閥には専用のクエストラインが用意されています。しかし、開発チームはこれらの派閥への所属やクエストの達成が、物語の結末自体に影響を与えることはないと明言しています。結末は一本道で、固定されているとのことです。
では、派閥クエストが何のためにあるのかというと、それは各派閥が「物語における重要な登場人物であると感じさせる」ため、そしてプレイヤーに「より多くのコンテンツを提供するため」だと説明されています。プレイヤーの選択が結末を分岐させることはありませんが、派閥クエストをこなすことで、ファイウェル大陸の世界観をより深く体験できる機会となることが期待されます。
まとめ
海外メディアIGNの先行プレビューから、『紅の砂漠』が持つ魅力的な要素と、現時点での課題の両方が明らかになりました。ギミックに富んだボス戦や戦略性の高い要塞攻略は本作の強みとなる一方で、集団戦の単調さや一部操作の煩雑さといった点は、2026年3月の発売までに改善が期待される部分です。パールアビスがこれらの課題にどのように対応し、製品版を完成させるのか注目されます。
製品情報
- タイトル: 紅の砂漠 (Crimson Desert)
- ジャンル: オープンワールド・アドベンチャー
- 開発/販売: Pearl Abyss
- 対応プラットフォーム: PS5/Xbox Series/PC
- 発売日: 2026年3月20日(予定)
- 価格(税込):
- 通常版 9,680円
- デラックスエディション 14,080円
- コレクターズエディション 35,200円




