コーエーテクモゲームスが2025年に発売を予定している『真・三國無双』シリーズ最新作『真・三國無双 ORIGINS』。本作のプロデューサーを務める庄知彦氏のロングインタビューがファミ通.comに掲載されました。その内容を掻い摘んでご紹介します。
『真・三國無双 ORIGINS』庄プロデューサーインタビューまとめ
- 本作では、キャラクター数を増やすよりもゲーム性とストーリーの質を重視。ゲームプレイの進化と深化、そして壮大なストーリー展開に力を注いでいる。これにより、シリーズ史上最高の爽快感と、より濃密な三国志体験をプレイヤーに提供することを目指している。
- 『真・三國無双 ORIGINS』というタイトルは、ゲームの「原点回帰」というテーマをストレートに伝えるために名付けた。ナンバリングにすべきとの意見もあったが、前作『真・三國無双8』以上に近年シリーズとは異なる部分も多いため、ナンバリングは却下した。
- 『真・三國無双 ORIGINS』は派生作品や外伝ではなく、シリーズ本流の新作としてナンバリングタイトルと同等の位置づけ。「真・三國無双の楽しさとは何か」を追求することに集中しており、『真・三國無双9』などの将来のタイトルについてはほとんど考慮していない。シリーズの今後の展開は、本作の開発が一段落してから考える。
- 『真・三國無双』の柱は「圧倒的大軍団」と「圧倒的爽快感」。シリーズではこれまで、ハードウェアの性能を最大限に活かし、戦場の臨場感を描き出すことを目指してきた。PS2世代には、大量の兵士が登場する戦場を実現し、PS3世代には同様のコンセプトで『真・三國無双5』をデザインした。そして今回、PS5世代ではさらに兵士の表示数を増やして圧倒的な大軍団どうしの戦いを描くことで、より臨場感のある戦場と一騎当千の爽快感を進化させる。
- これまでの『真・三國無双』シリーズと比べて、10倍以上の兵士数を表示できるようになった。100人だった兵士が1000人規模で表示され、画面上では数千人を超える表示数になっている。ハードウェアの進化と開発チームの努力により、これまでにない圧倒的な大軍団の表現が実現した。
- 本作では兵士数が大幅に増えたため、自分の位置がわかりにくくなる問題が生じており、現在も調整中。静止画では伝わりにくいが、様々な工夫をすることで、プレイヤーが自分の位置を把握しやすくなるようにしている。
- 主人公をオリジナルキャラに設定したのは、三国志の世界をより深く描くため。これまでの『真・三国無双』シリーズでは、登場武将の視点や勢力単位で三国志を描いてきたが、ひとりの視点で歴史的背景や物語を掘り下げるのが難しかった。そこで今回は、記憶喪失の青年を主人公にすることで、三国志の世界を初めて知る人でも楽しめるよう設計した。主人公の視点から、三国志の歴史や名だたる武将たちとの交流を体験できるようにすることで、三国志の魅力を存分に味わえるゲームを目指している。
- キャラクタークリエイト機能はない。本作が三国志を独自に解釈した物語であり、それを深く楽しんでもらうためには、物語の中心となる主人公のイメージを明確にする必要があったため。キャラクリがあると、その主人公像が希薄になる可能性があると判断した。ただし、主人公は強すぎる個性を持つわけではなく、プレイヤーが感情移入しやすいよう調整されている。
- 三国志演義をベースに再び三国志を描く。シリーズファンは「また黄巾の乱か」と思うかもしれないが、今回は歴史をより深く描く。従来のストーリーよりも、濃密な体験を提供する。
- より深い三国志体験を味わってもらうことがテーマのため、三国志全体を描くつもりはない。
- 無双武将はプレイアブルキャラクターとして選べない。あくまでもオリジナル主人公を操作し、三国志の物語を体験する。ただし、物語中で無双武将と深く関わる場面では、一時的に操作が可能。主人公は最初から一騎当千の武将ではなく、特にゲーム中盤までは無双武将の力が際立つ。武将と同行できるシチュエーションでは、好きな同行武将を選べる場合もある。
- 主人公は武将たちとバトルで味方になったり敵になったりする。また、バトル以外でも交流を深めることができ、主人公と各武将との会話も見どころ。特定の勢力に属する物語ではなく、どのように三国志に関わるかはプレイヤー次第。
- 無双武将は多数登場する。これまでの作品から意図的に数を減らしてはいないが、物語に沿った形で登場するため、時代に合わない武将は登場しない。味方や敵として登場するほか、一部の武将は物語の中だけで登場する。無双武将の数を強調するのではなく、プレイヤーの三国志体験を重視している。また、これまでの無双武将が汎用の見た目の武将に変わることはないが、ストーリー上で無理に登場させることもしていない。
- キャラクターの見た目は、その年代に合ったビジュアルや声を採用することで、しっかりと三国志を描くことを目指している(※例えば黄巾の乱の時代に威厳ある劉備を登場させないなど)。『真・三國無双』シリーズはキャラクター性が強調されているが、今回は三国志自体を描くことに重点を置いている。
- キャラクターの見た目にあわせて声優陣も変更。張角は見た目だけでなく、性格や言動も大きく変わっているため、担当声優を竹内良太さんに変更した。
- 軍議画面やフィールドは中華な雰囲気のBGMだが、バトルはロック調を継承。
- BGMはシリーズファンに喜んでもらえる要素あり。
- 大陸地図で行きたい都市や町、戦場などに移動してゲームを進めていく。戦場は複数同時に出現する場合もあり、攻略順はプレイヤーの自由。ゲームを進めると行けるエリアも増える。
- 企画当初からタクティカルアクションRPGとして進めており、アクションRPGとしてのボリュームやプレイフィールを重視している。
- 濃厚な三国志体験のためにフィールドにはさまざまな仕掛けを用意。
- バトルはシリーズ初期(『5』以前)に近く、ドラマ性よりも自由度を重視。『4』以降に導入された拠点の要素もあるが、必ずしも制圧する必要はない。
- 士気の概念があるため、いきなり敵総大将の陣営に挑んでも勝ち目はほぼない。仲間と共に戦線を押し上げる、味方の士気を上げ敵の士気を下げることで攻略しやすくなる。RPG要素もあるため、キャラを育てれば戦況に関わらず無双できる面もあるが、基本的には共闘するバランス。
- バトルアクションは『真・三國無双2』~『真・三國無双5』までを足して、さらにそのほかのいくつかの無双系タイトルを対して、いいといころだけを残したようなシステム。通常攻撃からのチャージ攻撃的なものも入っているが武器種によって違いもある。スキル攻撃のようなものもあり、自分でアレンジしながら自由なアクションが楽しめる。
- 戦場の兵士数が大量に増えたとはいえ、やみくもに戦っても1000人斬りは達成できない。考えてうまくプレイする必要がある。その一方で集団に向かって技を繰り出すだけで一気に数百人を倒せる場合も。これは一騎当千の爽快感を損なわないため。無双乱舞を上回る必殺技もあり、シリーズ史上、圧倒的最強の爽快感を目指している。
- 武将との戦いは緊張感があるものに。死にゲー的なものではなく、無双らしい程よい緊張感というバランスを保ちつつ、自分の腕前が気持ちよさに繋がるようないい具合に調整。
- 敵武将に味方の部隊を突撃させるなど、自分だけでは生まれないような有利不利の要素も。
- 敵対する無双武将たちの強さに期待してほしい。
- ゲームオーバー時はステージの最初からではなくチェックポイントから。
- プレイヤーは味方の兵士に号令をかけて部隊を動かすことができる。単独だと痛い目に遭うが、味方と共に攻め込むことで無双しやすくなる。戦場をシミュレートしながらも一騎当千できるバランス調整で、爽快感と戦略性の両方が楽しめる。
- 従来は戦況が変わるたびにマップを開く必要があったが、本作はリアルタイムで分かりやすく戦況が表示されるため、テンポを損なうことなく戦略を考えられる。
- 敵兵士の士気が高いと攻撃力も攻撃頻度も上がる。しかし、単純に攻撃力・防御力が高いだけだとストレスにしかならないため、アグレッシブではあるが基本的にはプレイヤーの行動を阻害しない。たとえば、一般兵に攻撃されたくらいでは、プレイヤーの攻撃モーションは中断しない。
- 弓兵や弩兵に関しては、初期の恐怖を思い出してもらう。ただのストレスにならないよう、工夫することで突破できるような攻略要素となるよう試行錯誤している。
- 主人公が扱える武器種はゲームを進めると増えていき、最終的には好きな武器種を使ってもらう。バトル中に武器を持ち替えることも可能。戦場で入手した武器をその場で装備することもできる。
- 自分の部隊として護衛兵を引き連れることが可能となり、より戦略にも絡むようになった。
- 馬はいつでも呼び出して騎乗できる。ただし序盤から使えるわけではない。護衛兵とは別の成長要素として導入されている。
- 1本でしっかり楽しめるボリュームかつ内容にすることが目標。そこに全精力を注いでおり、DLCについては考える余裕なし。プレイヤーからの要望が出てきた際には考えたい。
『真・三國無双 ORIGINS』ChinaJoy2024 ステージイベント
情報元:ファミ通.com
庄プロデューサーからファンへのメッセージ
『真・三國無双 ORIGINS』のテーマが原点回帰であることから、『真・三國無双』シリーズのコアなファンの方に向けたタイトルと受け止められるかもしれません。しかし、本作は『真・三國無双』が本来目指していた“タクティカルアクション”に向き合って、しっかりと作り上げているタイトルです。ファンの方のみならずシリーズ作品を遊んだことがない方にも、真の無双の楽しさを体験していただけるものと信じています。
また、三国志を丁寧に、濃厚に描いているため、これまでのシリーズ作品以上に、三国志を知らない人にオススメです。手前味噌ではありますが、これまで長くシリーズ作品に関わってきた中でも、いちばんおもしろい『真・三國無双』を作れていると思っています。ぜひ続報をお待ちいただきながら、発売を楽しみにしていてください!