2026年4月24日の発売が決定したカプコンの新作『プラグマタ』。プロデューサーの大山直人氏とディレクターの趙容煕氏が、延期の背景や最適化へのこだわり、Switch 2版の手応えについて語りました。Steam体験版の意図を含む、開発者インタビューの模様をお届けします。
「こだわりを捨ててでも快適さを優先」。延期を経て固まった最適化方針
2020年の発表から約5年半。度重なる延期の理由について、プロデューサーの大山直人氏は「ゲームがみなさんにお届けできる十分なクオリティに達していなかった」と説明しています。本作独自のゲーム性である「パズル×シューター」をどうシステムに落とし込むかで試行錯誤を重ね、「中途半端な状態でリリースしても、新規タイトルとして受け入れていただけない」という判断から、時間をかける決断をしたといいます。
開発終盤の最適化においては、「こだわりを捨ててでも快適さを優先する」という方針が採られました。大山氏は「グラフィックはこだわるほど綺麗になりますが、処理は重くなります。チームとしてはより良いものを見せたい気持ちはありますが、一度その気持ちを抑えて、まず幅広いPC環境で快適に遊べる最適化を優先しました」と語っています。
具体的には、一度クオリティラインを下げてフレームレートを十分に確保した上で、そこからグラフィックを上げていくという手法が採られました。ディレクターの趙容煕氏も「捨てにくいところもたくさんあって辛かったですが、一番大事なのはフレームレート」と振り返っています。
Switch 2版は『バイオハザード レクイエム』と「遜色ないレベル」
今回新たに発表されたNintendo Switch 2版について、大山氏は「REエンジンとSwitch 2の親和性が非常に高く、思っていたよりも順調に開発が進んでいます」と語っています。趙氏も「開発チームで初めてSwitch 2で動かした時に『このクオリティで動くのか』と驚きの声が上がりました」と振り返りました。
具体的なクオリティについては、『バイオハザード レクイエム』と比較して「遜色のないレベルに仕上がっている手応えはあります」とのこと。大山氏は「余裕を持って間に合いそうだということで、今回Switch 2版も同時発売となりました」と説明しています。
なお、Switch 2版ではマウス操作やタッチ操作には対応していないことが明言されました。
Steam体験版を先行配信した理由。「アーリーアクセス的な意味合い」
現在Steamで配信中の体験版には、製品版への引き継ぎ要素やクリア特典が用意されていません。大山氏は「今回Steam版だけ先行で配信しているので、特典を条件にしてしまうとコンソール版のみなさんが不満に思われてしまう」と理由を説明しています。
Steam版を先行配信した背景には、PC環境の多様性があります。大山氏は「CPU、GPUといったスペックだけでなく、モニターとの組み合わせや、配信アプリを同時に起動しているなど、環境が千差万別で、個別の調整の難度が非常に高い」と語り、今回の配信を「ある種アーリーアクセス的な意味合い」と表現しました。
また、本作のマウス&キーボード操作が公開されるのは今回が初めてであり、その操作感へのフィードバックも期待しているとのことです。
ディアナは「周囲のスタッフに育てられた」キャラクター
本作のヒロイン・ディアナについて、意外なエピソードが明かされました。ディレクターの趙氏は「自分はそんなに女の子のキャラクターに興味があるタイプではなく、どちらかというと男性キャラの方が好き」と前置きした上で、「自分が作ったにもかかわらず、そこまで思い入れがなかった」と振り返ります。しかし、周囲のスタッフが「ディアナめっちゃ好き」と言ってくれたことに驚いたそうです。
大山氏も「チーム内でもディアナ派が多く、双方のキャラクターへしっかり愛を注ぎながら今の形になりました」と説明しており、開発チーム全体でキャラクターを作り上げていった様子がうかがえます。
なお、本作の舞台は最初から最後まで月面ですが、「ルナフィラメント」という物質を使った3Dプリンターで地球に似た環境を再現するという設定があり、ニューヨークのような街並みや猫なども登場します。また、Switch 2版ではディアナのamiiboに対応しており、読み込むと武器や回復アイテム、ハッキングノードがドロップするとのことです。
体験版で「触ってみないとわからない」新体験を
大山氏は本作について「新しいゲーム性なので、新しいもの好きの方にいち早く触っていただきたい」と語り、「ハッキングとアクションの組み合わせは、触ってみないとイメージがつきにくい」と体験版のプレイを呼びかけています。趙氏も「SFの世界観が好きな方、バディものが好きな方に刺さる内容」と自信を見せました。
Steam版の体験版は現在配信中で、後日コンソール版(Switch 2を含む)の体験版も配信予定とのことです。『プラグマタ』は2026年4月24日発売予定。対応プラットフォームはPS5、Xbox Series X|S、PC(Steam)、Nintendo Switch 2です。




