ソニー・インタラクティブエンタテインメント（SIE）が、一度のデジタル購入でPS5とPCの両方でゲームをプレイできる「クロスバイ」機能を準備している可能性が浮上しました。2025年11月5日、仏メディア「Dealabs Magazine」が、PlayStation Network（PSN）の内部データから同機能の準備を示唆する新たなシンボルやコードを発見したと報じています。
PlayStationが「PS5/PCクロスバイ」を準備か
PlayStationのファーストパーティタイトルがPC向けに続々と移植される中、その戦略をさらに一歩進める可能性が報じられました。今回浮上した噂の中心は、一度のデジタル購入でPS5版とPC版の両方のゲームライセンスを入手できる「クロスバイ」機能です。この動きは、Microsoftが2016年から提供している「Xbox Play Anywhere」と同様のサービスを目指すものと見られており、PlayStationプラットフォームの利便性を向上させる新たな一手となる可能性があります。
発見の経緯と2つの技術的な証拠
今回の情報は、単なる憶測ではなく、複数の技術的な証拠に基づいています。発端は、XユーザーのAmethxst氏（@yAmethxst）がPSNの内部に隠されたシンボルを発見したことでした。その後、確度の高い信頼できるリーク情報で知られるbillbil-kun氏が海外メディアdealabsを通じて詳細な調査結果を報告し、この機能が2025年の半ばから水面下で準備されていた可能性を指摘しています。これは、過去にPS Vitaなどで提供されていたクロスバイとは異なる、全く新しい取り組みであることを示唆しています。
一連の発見から報道までの流れは、以下のように整理できます。この時系列は、今回の情報が突発的なものではなく、計画的に準備が進められてきた可能性を示しています。
- 2025年6月： PlayStation Storeのウェブサイト用CSSファイルが更新され、「crossbuy-tag」が追加される。
- 2025年11月4日頃： XユーザーのAmethxst氏が、PSN内部に隠された新シンボルを発見し、投稿。
- 2025年11月5日： dealabsおよびwccftechが、詳細な調査報道と追跡記事を公開。
証拠1：PSN内部で発見された新シンボル
最初の証拠は、PSNのシステム内に隠されていたアイコンです。dealabsの報告によると、PSNアカウントのプロフィール紹介欄に特定の特殊文字を入力することで、PS5本体上でこれまで表示されなかったシンボルが現れることが確認されました。その中には、「Cross-Buy」や「PS5/PC」、「PC」といった、新機能を明確に示唆する文字列を含んだアイコンが含まれていました。これらのグラフィックは、将来的にストアページなどで使用されるために準備されたものと考えられます。
証拠2：PS StoreのCSSファイルに残る形跡
さらに具体的な証拠とされるのが、PlayStation Storeのウェブサイトから見つかったものです。billbil-kun氏の調査では、サイトの見た目を定義するCSSファイルの中に、「crossbuy-tag」というクラス名が記述されていることが特定されました。重要なのは、この記述が2025年6月に追加された、比較的新しいものであるという点です。この事実は、SIEが少なくとも数ヶ月前から何らかの新機能の準備を進めていた可能性を示唆しています。
Xbox Play Anywhereとの比較と今後の展望
今回噂されている機能が比較されるのは、競合であるXboxの「Xbox Play Anywhere」です。これは、対象タイトルをデジタルストアで一度購入すれば、追加費用なしでXboxコンソールとWindows PCの両方でプレイできるサービスで、ゲームの進行状況（セーブデータ）や実績も両プラットフォーム間で同期されます。PlayStationの新機能がどこまでこの仕様に追随するかが、注目点の一つです。
このクロスバイ機能の導入は、PlayStationのPC戦略をさらに加速させる重要な布石となり得ます。海外メディアでは、将来的に噂される新型PlayStation携帯機との連携や、独自のPC向けストアフロントが開設される可能性も指摘されています。複数の証拠から、海外メディアwccftechはこの噂の信憑性を「85%」と高く評価していますが、現時点ではSIEからの公式な発表はありません。実現すればユーザーの利便性を向上させる可能性があるこの新機能が、いつ正式に発表されるのか、今後の動向が注目されます。
