Amazonがビデオゲーム事業において、大規模な人員削減を含む大幅な戦略転換を実施することが2025年10月28日に明らかになりました。Bloombergが報じた内容によると、この決定は大規模予算(AAA級)タイトルの開発、特にMMORPGに影響を与え、『ニューワールド』を手がけた開発スタジオなどが対象となる模様です。
Amazon、ゲーム事業の戦略を大幅転換
Bloombergが報じた社内メモによると、今回の決定はAmazonのオーディオ・Twitch・ゲーム部門で副社長を務めるスティーブ・ブーム氏によってスタッフに通達されました。メモの中でブーム氏は、ゲーム事業において大規模な人員削減を実施し、AAA級タイトルの自社開発、特にMMOの開発を大幅に削減する方針を明らかにしました。これは、同社がゲーム事業における自社開発体制を根本から見直す、公式な戦略転換を意味します。
今回のゲーム事業における人員整理は、Amazonが全社的に進めている14,000人以上の従業員を対象とした大規模な雇用削減計画の一環。この全社的な経営効率化の動きが、ゲーム開発部門にも及んだ形です。ただし、ゲーム事業部門における具体的な削減人数については、現時点で公表されていません。
『ニューワールド』『ロード・オブ・ザ・リング』担当スタジオで人員削減

今回の人員削減で影響を受けるのは、米国カリフォルニア州IrvineとSan Diegoに拠点を置く開発スタジオです。このうちIrvineのAmazon Games Orange Countyは、2021年9月に発売されたMMORPG『ニューワールド』を開発したスタジオで、『ロード・オブ・ザ・リング』を題材としたMMOゲーム(タイトル未定)の開発も担当していました。中央のパブリッシングチームも削減対象となります。

ブーム氏はメモの中で「自社の大規模予算ゲーム開発、特にMMOに関する作業を大幅に中止するという困難な決断を下しました」と明記しています。この方針転換により、『ロード・オブ・ザ・リング』のMMOプロジェクトの開発継続も不透明な状況です。Amazonはこれまで大規模オンラインゲーム市場への参入に力を注いできましたが、今回の決定でその戦略を根本から見直すことになります。
継続プロジェクトも存在、外部スタジオとの協業は維持
一方で、Amazonはゲーム事業から完全に撤退するわけではありません。ブーム氏は、外部の開発スタジオとのパートナーシップは今後も継続していくと強調しています。具体的には、Crystal Dynamics社と共同で進めている『トゥームレイダー』シリーズの新作や、元『Forza Horizon』の開発者らが設立したMaverick Gamesによるオープンワールドドライビングゲームなどのプロジェクトは、引き続き進行するとのことです。
また、すべての自社開発が中止されるわけでもありません。カナダのモントリオールスタジオが開発する『March of Giants』や、クラウドゲーミングサービス「Luna」向けにカジュアルゲームを手がけるStudio 5のプロジェクトは継続される見込みです。これにより、今後は大規模予算の開発よりも、パブリッシング事業と、よりターゲットを絞った小規模な自社開発に注力していく姿勢が示されました。
まとめ
今回の発表により、Amazonのゲーム事業戦略が大きな転換点を迎えたことが明らかになりました。
- AAA級MMOジャンルの自社開発を大幅に中止。
- 『ニューワールド』開発スタジオを含むチームで人員削減を実施。
- 外部スタジオとのパブリッシング事業や一部の自社開発は継続。
この決定は、AAA級MMOという大規模予算タイトルの自社開発を縮小し、外部スタジオとのパブリッシング事業と小規模な自社開発へと軸足を移す戦略転換を示しています。




