『Helldivers 2』開発陣が深刻な技術的問題を認める「ゲームが限界に達している」新コンテンツ優先のツケ

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人気協力型シューター『Helldivers 2』の開発責任者が、ゲームの技術的問題について率直に謝罪しました。新しいコンテンツの追加を優先し、バグ修正を後回しにしてきた結果、ゲームが「あちこちで破綻し始めている」と認めています。

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ゲームディレクターが異例の告白

Arrowhead Game Studiosのゲームディレクター、Mikael Eriksson氏は10月31日に公開された公式YouTubeでのQ&Aセッションで、現状について説明しました。

Arrowhead Game Studios ゲームディレクター Mikael Eriksson氏

「問題は内部から発生しています」とEriksson氏は語ります。「今、私たちはその代償を払っています。だからこそ、現在はこの問題に集中し、ゲームの開発方法を見直しているのです」

同氏は、開発チームが「本来なら許されないはずのことを何度も見逃してきた」と認めています。「そしてそれが通用してしまったため、私たちはそれに慣れてしまい、通常通りの開発を続けています」

GamesRadarの報道によると、Eriksson氏は「最終的に、今私たちがいる状況では、ゲームが限界に達し始めており、残念ながら一箇所だけでなく、多くの場所で同時に問題が発生しています」と述べています。

「これは、大部分において私の責任です。私たちは新しいものを作ることに集中しすぎて、抱えている問題の修正に十分な時間を割いてきませんでした。これは今、私たちが見直していることです」とEriksson氏は語り、「今後はこれを避けるつもりです」と約束しています。

開発中に何度も方向転換、それが問題の根本原因に

問題の背景には、開発過程での度重なる方向転換があります。Arrowheadの最高経営責任者(CEO)Shams Jorjani氏は9月25日、公式Discordサーバーで開発の経緯を明かしました。

Kotakuの報道によると、Jorjani氏は次のように説明しています。

「『Helldivers 2』はAA級ゲームとして始まりました。その後、規模が拡大し、PS5のローンチタイトルに転換され、次に基本無料ゲームに転換され、その後有料版に戻りました」と語り、「順序は間違っているかもしれません」と付け加えました。「つまり、ゴールポストが何度も動かされたのです。大きな塔の基礎を、浜辺の小さなバンガローのために作ってしまったようなものです」

これらの変更と方向転換が技術的負債の蓄積につながり、現在のパフォーマンス問題の大きな原因になっていると、CEOは説明しています。

技術的負債とは、ソフトウェア開発において、短期的な解決策を選んだ結果、後で修正や改善が困難になる問題のことを指します。

「技術的負債は、ただ物を投げ込んだだけのガレージのようなものです。本当に整理するために、奥に棚を設置する必要があります」とJorjani氏は例えています。

CEOが「技術的負債が致命的」と率直に認める

Jorjani氏は9月3日、Discordで技術的負債の深刻さについてさらに率直に語りました。

GamesRadarの報道によると、CEOは「技術的負債が致命的(crippling)である」と認め、「Into the Unjustアップデートで期待に応えられなかった」と謝罪しました。そして「状況を整理しようとしている」と述べています。

200以上のバグ修正を含む大型パッチを配信

開発チームの対応として、10月23日にパッチ4.1.0が配信されました。このアップデートでは200以上のバグが修正され、武器のバランス調整やパフォーマンスの最適化が行われています。

Rock Paper Shotgunによると、公式パッチノートには「このアップデートは今最も重要なことに焦点を当てています。それは『Helldivers 2』をより快適にプレイできるようにすることです」と記載されています。

「新機能も今後追加されますが、このパッチはゲーム自体とその改善方法の両方において大きな前進を示すものです。さらなる改善はすでに進行中です」と開発チームは説明しています。

PC Gamerによると、大型アップデートは今後少し遅れる可能性があるものの、開発チームは「このような事態が二度と起こらないよう、これらの問題への対処にはるかに多くの力を注いでいます」と説明しています。

PC版のファイルサイズが150GB、家庭用ゲーム機版の3倍

10月3日、Arrowheadは公式テックブログで、PC版のインストールサイズが約150GBに達していることを公表しました。これは家庭用ゲーム機版の約3倍の大きさです。

ブログによると、この問題の主な原因は「データの重複」です。PC版は幅広いユーザー環境に対応するため、古い記憶装置(ハードディスクドライブ、HDD)を使用しているプレイヤーでも快適に動作するよう、同じデータを何度も保存しています。これによりHDDでの読み込み時間が短縮されますが、ファイルサイズが大幅に増加してしまいます。

一方、家庭用ゲーム機版はすべてのユーザーが新しい記憶装置(ソリッドステートドライブ、SSD)を搭載していることが確実なため、データの重複が不要で、サイズを小さく抑えることができます。

開発チームは短期、中期、長期の解決策を提示しており、将来的にはファイルサイズの大幅な削減を目指しています。ただし、HDD使用者の読み込み時間とファイルサイズのバランスを取る必要があるため、慎重な対応が求められています。

プレイヤーの不満高まる、Steamレビューが「賛否両論」に

PC Gamerによると、『Helldivers 2』のSteamでの最近のレビュー評価は「賛否両論(Mixed)」に下落しました。同メディアの記事執筆時点で、過去30日間のレビューのうち69%が肯定的評価となっています。

プレイヤーからは、クラッシュ、パフォーマンス低下、音声バグ、頻繁な切断などの問題が報告されています。

開発チームは9月下旬、公式声明で次のように述べています。

「Discord、フォーラム、Reddit、そして私たちのデータで皆さんのフィードバックを見てきました。皆さんは大きな声で、明確に、そしてより良いものを期待する権利があることを示してくれました。私たちの最近のアップデートが期待に応えられなかったこと、そして私たちが沈黙していたことも認識しています。それは私たちの責任です」

開発チームは、大規模な新コンテンツの追加を一時的に停止し、既存の問題の修正に集中することを発表しています。

プレイヤー数の推移と現状

SteamDBのデータによると、『Helldivers 2』は2024年2月24日に同時接続プレイヤー数のピークである458,709人を記録しました。

現在は約35,000人前後で推移しています。8月26日のXbox版ローンチと9月2日の大型アップデート「Into the Unjust」により、9月には平均6万人超にまで増加しましたが、10月には3万人前後まで落ち着いています。

開発チームの今後の方針

開発チームは、今後より透明性の高いコミュニケーションを行うことを約束しています。

「今後、より多くの透明性とより多くの対話を計画しています。プロセス、パフォーマンス、どのようにしてこの状況に至ったか、さらなる改善と進化について、より多くの情報を共有していく予定です」と公式声明で述べています。

また、2週間ごとにパッチを配信する新しいスケジュールを導入し、技術的負債を軽減していく方針を示しています。開発チームは、今後もより透明性の高いコミュニケーションを継続し、段階的にゲームの安定性を向上させていくとしています。

『Helldivers 2』は2024年2月にPlayStation 5とPC(Steam)で発売され、大きな成功を収めました。2025年8月26日にはXbox Series X/S版も発売されており、開発チームは長期的にゲームをサポートし続ける意向を示しています。

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