『ドラゴンクエストVII リイマジンド』は、2000年発売の『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』をベースにした、3DS版に続く2度目のリメイク作です。Game Informerの特集記事では、本作のプロデューサーである市川毅氏とシナリオライターの高木清香氏がインタビューに応じ、主人公からメルビンまで6人の仲間キャラクターについて、開発陣が現在それぞれの人物像をどう捉えているかを中心に語りました。
主人公:「誰よりも普通」な“空白のキャンバス”
主人公は、エスタード島の港町フィッシュベルに暮らす漁師の息子です。プロデューサーの市川氏は、彼を「とにかく“平均的なふつうの人”にしたかった」と定義づけています。 本作に登場する他のどの英雄たちよりも「普通」であり、いわゆる「空白のキャンバス」のような存在として設計されました。両親が望む漁師としての道と、どこか別の冒険に呼ばれているような予感の間で揺れ動く少年。その性格の大部分は、プレイヤーの会話への応答によって形作られていきます。
キーファ:陽気な王子の内側にある、嫉妬とあこがれ
キーファはグランエスタード王国の王子で、主人公の幼なじみです。主人公をあちこちに連れ出してはトラブルに巻き込むような親友としての顔を持つ一方、市川氏は彼を「実はかなりナイーブな少年」と表現します。王族として大きな力を約束されていながら、自分の目的を見いだせず、「自分ではない何者かになりたい」と、自身のアイデンティティを外に求めてしまう一面を持つとのことです。本来なら丁寧な口調で話しそうな立場でありながら、あえて砕けた話し方をしている点も、彼のそうした性格がセリフに反映された結果だと説明されています。
マリベル:子ども時代は「苦手」、いまは「頼れる相棒」
マリベルは、フィッシュベルの網元の娘で、鋭い物言いと毒舌が印象的なキャラクターです。Game Informerの取材でシナリオ担当の高木氏は、自身が小学生の頃にオリジナル版を遊んだ際、彼女を「ただ意地悪で、すぐ怒る子」と捉えており、当時はあまり良い印象を持てなかったと振り返ります。
しかし、大人になって改めてプレイし直すと、マリベルは主人公を励まし、気分を盛り上げてくれる、旅に不可欠なパートナーだと感じるようになったといいます。高木氏は「マリベルのセリフを書くのは気持ちがいい」とも語っており、言いたくても口に出せないことを、彼女に代弁させられる点を魅力として挙げています。こうした制作側の視点の変化は、プレイヤーにとってもマリベルの印象を改めて見直すきっかけになるかもしれません
ガボ:野性味と「守ってあげたくなる」純粋さ
ガボは、相棒のオオカミと行動を共にする少年です。記事では、彼の純粋さや、時に見せる世間知らずな一面について触れられています。市川氏は、特に日本語版において、彼の純粋さと『思わず守ってあげたくなるようなかわいらしさ』を強調し、その要素をセリフにも反映させたとコメントしています。動物のような鋭い勘を持ち、武闘家タイプとして戦闘でも活躍する一方で、野性味と幼さが同居したキャラクターであることがうかがえます。
アイラ:年長者としての頼もしさと、大人の魅力
ユバールの民であるアイラは、メルビンを除けばパーティ最年長の女性です。高木氏は、彼女について「若い仲間たちを支える頼れる存在」であることに加え、「魅力的な女性」である点も大事にしていると話します。記事では、アイラがユバールの中でも高い地位にあることから来る「品の良さ」や、キャラクターデザインに含まれる「セクシーさ」の両方が意識されていると紹介。戦闘面での強さと、年長者としての頼もしさを兼ね備えたキャラクターとして描かれているようです。
メルビン:過去の英雄として、詳細はあえて伏せられる
メルビンは、過去の時代から来た英雄的な存在として紹介されています。Game Informerの記事では、「過去の時代のパラディン(聖騎士)のような存在」であり、特別な石に封印され、次に必要とされる戦いのときを待っているキャラクターだと説明。主人公によって解き放たれ、現在の世界の冒険に加わることまでは明かされていますが、それ以上の詳細は語られていません。開発陣はメルビンについて多くを語ることを避けており、詳しい人物像や本作での描き方は、実際のプレイを通じて確かめてほしいというスタンスがうかがえます。
シリーズの文脈:堀井雄二氏の「まだ作り続けたい」という思い
別記事のインタビューで、『ドラゴンクエスト』シリーズの生みの親である堀井雄二氏は、現在71歳ながら「ドラゴンクエストは自分の子どものような存在」であり、「死ぬまで携わっていくつもりだ」と語っています。次の目標として、シリーズ50周年となる2036年を見届けたいとも明かしています。『ドラゴンクエストVII リイマジンド』も、そうした長年のシリーズへの思いの延長線上にあるタイトルとして、2026年2月5日にPlayStation 5、Xbox Series X|S、Switch 2、Nintendo Switch、PC向けに発売予定です。
出典
Game Informer:“Breaking Down The Party Members Of Dragon Quest VII Reimagined”/“Yuji Horii On Making Dragon Quest Games”




