UnityとEpicが協業。『フォートナイト』と「オープンなメタバース」を共に目指す

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Unity TechnologiesとEpic Gamesは2025年11月19日、開発者会議「Unite 2025」において、両社の協業を発表しました。この協業により、Unityで制作されたゲームを『フォートナイト(Fortnite)』へ展開することが可能になります。また、Unreal Engineの開発者もUnityの提供するコマース機能を利用できるようになり、長年ライバル関係にあった両社が、相互運用と「オープンなメタバース」の実現を視野に入れた協業へと踏み出しました。

このニュース、ざっくり言うと?

  • UnityとUnreal Engineは、世界中のゲーム開発で広く使われている「ゲームを作るためのソフト」です。
  • フォートナイトは、1本のゲームというより「たくさんのゲームや体験が並ぶ巨大なショッピングモール」のような存在で、ユーザーが作ったゲームも遊べます。
  • これまでは、フォートナイトの中に出せるゲームは、基本的にFortnite CreativeやUnreal Editor for FortniteといったEpicのツールで作ったものが中心でした。
  • 今回の協業によって、「Unityで作ったゲームもフォートナイトの中に並べられるようになる」方向がはっきり示されました。
  • 逆に、Unreal Engineでゲームを作る人は、Unityが用意している「ストア運営や決済まわりの仕組み(コマース機能)」を使えるようになります。
  • ざっくり言えば、「ゲームを作るための道具(エンジン)」と「遊んでもらう場所とお金の仕組み(フォートナイト+コマース)」のあいだで、ライバル同士が手を組んだ、というニュースです。
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UnityとEpicが協業発表。Unite 2025での注目トピック

今回の発表は、Unityの年次カンファレンス「Unite 2025」期間中に行われました。特に注目されるのは、Unity製タイトルをEpic Gamesが運営する『フォートナイト』のエコシステムへ直接展開できるようになったことです。フォートナイトは登録アカウント数が5億を超える世界最大級のプラットフォームであり、Unityを利用する開発者にとって、この巨大なユーザー基盤へアクセスできることは大きな意味を持つでしょう。

これまでゲームエンジン市場で激しくシェアを争ってきた両社ですが、今回のパートナーシップは業界の潮流にも影響を与えうる重要な動きと言えそうです。エンジンの壁を越えてコンテンツや機能を行き来させる「相互運用性」を重視し、開発者とプレイヤー双方の利益を優先する姿勢が鮮明になりました。

フォートナイト展開とUnreal向けコマース統合の中身

Unity製ゲームをフォートナイトへ展開するメリット

Unity開発者は今後、自身の制作したゲームをフォートナイト内のクリエイターコミュニティに参加させる形で公開できるようになります。これにより、特に単独での集客が難しい小規模なタイトルであっても、フォートナイトのアクティブなプレイヤー層に向けて作品を届ける機会が広がることが期待されます。

ただし、現状では、公開前にレビュー(審査)プロセスを経る必要があります。Epic GamesのCEOであるティム・スウィーニー氏は海外メディアの取材に対し、将来的なオープン化の構想を語る一方で、現状のフォートナイトのエコシステムは同社の管理下にあることを認めています。そのため、当面の間はUnity製か、Unreal Editor for Fortnite(UEFN)などフォートナイト側のツールで制作された体験かを問わず、公開されるコンテンツはEpic Gamesのガイドラインに基づく審査の対象になると見られます。

Unreal開発者がUnityコマースを利用できる意味

一方、Unreal Engineを利用する開発者に向けては、Unityの持つ強力なクロスプラットフォーム・コマース機能が開放されます。具体的には、PC、モバイル、ウェブを横断するデジタルカタログの管理や決済プロバイダーの利用、ウェブショップの運営などが、Unityのソリューションを通じてサポートされます。

これにより、Unreal開発者は価格設定やプロモーション、ライブ運営(Live Ops)といったビジネス面の管理を、Unreal Engine上で一括して扱える選択肢を得ることになります。これらの機能は2026年前半に提供開始予定とされており、パートナーシップの詳細な追加情報も2026年に発表される見通しです。

「オープンなメタバース」構想と審査モデルの将来像

両社のトップは、この協業を「オープンなメタバース」構築に向けた取り組みの一環として位置づけています。Unityのマット・ブロンバーグCEOは「選択肢とオープンなシステムこそがエコシステム全体の成長を促す」と述べ、EpicのスウィーニーCEOも「ウェブの黎明期と同様に、企業は相互運用性と公平性を備えた形で協力し合う必要がある」と強調しました。

特にスウィーニー氏は、The Vergeに対し、将来的にはフォートナイトが「Webブラウザ」のような機能を持つようになる構想を明かしました。ユーザーがブラウザで自由にサイトを行き来するように、プラットフォームの壁を越えて外部のコンテンツへアクセスできる、より開かれたデジタル空間を目指すとしています。今回の協業は、特定のプラットフォームやエンジンに縛られない、よりオープンなデジタル空間の実現に向けた一歩と見ることもできそうです。

出典

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