『鉄拳』シリーズの原田勝弘氏が、2025年12月末でバンダイナムコを退職します。シリーズ30周年という節目を「最もふさわしい時期」と判断しての決断で、今後については「改めて皆様にお伝えいたします」としています。
0周年の節目に決断、4〜5年の引き継ぎを経て
原田氏は自身の声明で、退職の理由について「長く携わってきた『鉄拳』シリーズが30周年という大きな節目を迎え、ひとつの区切りとして最もふさわしい時期であると考えたため」と説明しています。
この決断に至る背景として、原田氏はここ数年の間に友人との死別や、尊敬する先輩たちの引退・逝去を経験したことを挙げています。こうした出来事が「開発者として残された時間」について考える契機となったとのことです。
そうした思いを抱く中で、原田氏は久夛良木健氏に相談したことも明かしています。久夛良木氏は、原田氏が「もう一人の父親のように敬愛する」人物です。原田氏によれば、久夛良木氏からの助言と励ましが「今回の決断を静かに後押しするものとなりました」。
また、4〜5年をかけて自身が担ってきた業務、ストーリー、世界観、そして責務をチームに段階的に引き継いできたとしています。
原田氏は自らの原点として、日本のゲームセンターや海外の小さな講堂で小規模トーナメントを支援していた時代を振り返り、「アーケード筐体を自ら運び込み、『鉄拳もぜひ遊んでみてほしい』と声をかけながら、目の前の参加者と向き合った日々」が開発者としての核を形作ったと語っています。
鉄拳プロジェクトが運営継続、「影響ないよう準備中」と表明
鉄拳プロジェクトは公式発表で、『鉄拳8』を含む今後の運営計画や開発体制について「コミュニティの皆にご心配をおかけするような影響がないよう準備を進めております」と表明しています。
また、原田氏が大切にしてきた「コミュニティとの対話の精神」を受け継ぎ、今後も変わらぬ姿勢でプレイヤーの声に耳を傾けていくとしています。
2026年1月のTWT Finalsが「最後の機会」に
公式発表によると、原田氏がコミュニティの前に立つ「最後の機会」は、2026年1月31日(土)・2月1日(日)にスウェーデン・マルメで開催される「TEKKEN World Tour 2025 Global Finals」(以下、TWT Finals)となります。
原田氏自身は声明の「あとがき」で、「会社からお願いされていることもあり、ゲストとして顔を出す」と述べています。
あわせて、退職発表と同時に「最初で最後のDJ風60分ノンストップ鉄拳ミックス」を公開したことも明らかにしています。これは30年間「いつかやるよ」と言い続けてきたトーナメントイベントでのDJの代わりとなるものです。




