『ACユニティ』元ディレクター「ゲーム産業は奇妙な混合体」——映画業界に学ぶ”コアチーム”の方向性

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『アサシンクリード ユニティ』の元クリエイティブディレクターであるAlexandre Amancio氏が、ゲーム産業の構造的課題について見解を示しました。同氏は、業界がソフトウェア産業の一部として自らを扱ってきたことに疑問を呈し、映画業界から学びを得る方向性を示しています。大規模開発の限界と、それに代わる体制のあり方を考えるうえで、示唆に富む内容といえるでしょう。

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「ソフトウェア産業の一部」という自己認識への疑問

Amancio氏はGamesIndustry.bizのインタビューで、ゲーム産業が発足以来ソフトウェア産業の一部として自らを位置づけてきたと指摘しています。

「ゲーム産業は、その発足以来、自らをソフトウェア産業の一部として扱ってきたと思います。ただ、一種の奇妙な混合体(weird hybrid)でもあるのです」 ——GamesIndustry.biz

この表現が意味するところを、同氏は明示的には定義していません。

とはいえ、同じインタビュー内で同氏は、大規模組織では管理比率が爆発的に増加すること、人員追加がノイズ(不確定要素)を生むことにも言及しています。これらを並べて読むと、単一の産業モデルでは捉えにくい複雑さへの問題意識がうかがえます。

100人を超えると組織の動き方が変わる

Amancio氏は、組織が100人を超えるとダイナミクスが完全に変わるという説があると述べています。管理職の比率が爆発的に増加し、「調整する人を調整する人」が必要になるとのことです。

また同氏は、問題に人員を投入すれば解決するという考え方にも批判的です。追加された人員は、すでに効率的に働いていた人々の動きを停滞させ、ノイズ(不確定要素)を生むだけだと説明しました。

なお同氏は、『アサシンクリード リベレーション』や、先述したとおり『アサシンクリード ユニティ』といった大規模タイトルのクリエイティブディレクターを務めた経歴を持っています。

映画業界型の〈プロジェクト単位クルー〉という選択肢

では、どのような体制が望ましいのでしょうか。Amancio氏は、映画業界から学びを得る方向性を示しています。

「将来は、映画業界からの学びを取り入れる方向にあると思います。コアチームがあり、特定のニーズに応じてアウトソーシングやco-dev(共同開発)で補完される形です。適切なプロジェクトに、適切なタイミングで、適切なクルーを揃えるのです」 ——GamesIndustry.biz

映画業界では、監督や主要スタッフからなるコアチームが存在し、プロジェクトごとに必要なクルーを編成します。同氏はこれを「一時的なクルー(temporary crew)」と表現しています。

具体的には、コアチームを小規模に保ち、特定のニーズに応じてco-dev(共同開発)やoutsourcing(外部委託)で補完するという形です。

別のインタビュー(Gamereactor)では、コアチームの規模について次のように述べています。

「コアチームは人間的な規模(human size)であるべきだと思います。そして、必要に応じてco-devやアウトソーシングで補完するのです」 ——Gamereactor 動画インタビュー

同氏は『アサシンクリードIV ブラックフラッグ』の海戦システムを例に挙げ、自己完結したモジュールであればco-devスタジオに自律性を与えられると説明しました。ただし、メインゲームとの接続点が安定していることが条件となります。

この提案は、単に「小さなチームが良い」という話にとどまりません。固定的な大組織ではなく、プロジェクトの性質に応じて柔軟に編成を変えるという発想の転換を促している点に、意義があるのではないでしょうか。

プリプロダクションで「核心」を見つける重要性

Amancio氏はプリプロダクション(企画・試作段階)の終了時点で「作ろうとしているものの核心」を見つけた状態であるべきだと話しています。すべてが揃っていなくても、コアとなる体験が明確になっていることが重要だといいます。

同氏は映画業界との違いにも言及しました。映画であれば脚本が固まれば撮影に入れますが、ゲームでは制作しながら構築していく部分があり、そこが難しさだと説明しています。

同時に、「バーティカルスライス(縦断的な試作)を繰り返すだけでは良いゲームになる保証はない」とも述べており、マクロな体験全体を検証する必要性を示しています。

Amancio氏のインタビュー全文では、『アサシンクリード ユニティ』の開発秘話やフィーチャークリープへの対処法なども語られています。関心のある方は、出典元の記事をご覧ください。


※本記事は海外メディアのインタビュー記事をもとに構成しており、引用部分は筆者による翻訳です。事実の紹介に加え、筆者の考察を含んでいます。

出典

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