恐怖で追い詰めた直後に、爽快なアクションで暴れさせる。『バイオハザード レクイエム』ディレクターの中西晃史氏は、この設計を「サウナのあとの水風呂」と表現しました。The Game Awards 2025でレオン・S・ケネディの参戦が発表された同日、プロデューサーの熊澤雅登氏と中西氏への合同インタビューが実施されています。
恐怖と爽快感の「落差」で両方を突き抜けさせる
「グレースだけで最後まで作っても、すごく怖いゲームにはなったと思います」と中西氏は語りました。しかし開発チームは、あえてレオンを加える決断をしています。恐怖と爽快感という「明確に違ったふたつの体験」を1本のゲームに入れることは、チャレンジでした。「両者がうまくかみ合うのか、プレイヤーがついてきてくださるかという懸念もありました」と中西氏は振り返ります。
しかし実際に作ってみると、その懸念は払拭されたといいます。グレースパートで恐怖に追い詰められたプレイヤーが、レオンパートで一転して敵をなぎ倒す。中西氏はこのテンションの高低差を「熱いサウナのあとの水風呂」に例え、「アドレナリンやドーパミンが出るような体験」「感情をとにかく振り回すような独特の体験」と表現しました。「今までのシリーズにはなかったような満足感を得られるようにしています」。
ただし、落差が激しすぎればプレイヤーは疲弊します。中西氏は「その塩梅をうまく落とし込んでいます」と述べ、緩急の調整に時間をかけたことを明かしました。
13年ぶりの帰還、レオンが「過去最大級」に追い詰められる理由
レオンがプレイアブルキャラクターとして登場するのは、2012年の『バイオハザード6』以来となります。中西氏は本作の開発にあたり「2026年のレオンはどうなっているんだろう」をテーマに据えたと語りました。

レオンは誰かを救いたいというモチベーションで戦い続けてきました。数々の悲劇を目撃しながらも、バイオテロがなくならない現実と向き合い続けています。精神的にも技術的にも変化した彼が、原点であるラクーンシティに戻る意味は大きいといいます。警官を志してバイオハザードに巻き込まれ、そこから戦いが始まった場所だからです。
「今回のレオンは、過去最大級に追い詰められることになります。ある意味、彼の限界に挑む戦いともいえるでしょう」と中西氏は予告しました。年を経たレオンが原点の地で何を感じ、どう行動するのか。詳細は今後のショーケースで明かされる予定です。
グレースは「RE:2」、レオンは「RE:4」──ふたつのスタイルで遊べる
では実際にどう遊べるのでしょうか。グレースのゲームプレイは『バイオハザード RE:2』をベースにした恐怖体験、レオンは『バイオハザード RE:4』をベースにした爽快なアクションが特徴となります。レオンには体術や近接攻撃が用意されており、チェーンソーやトマホークといった近接武器も使用できます。
『RE:4』は三人称視点に特化した作品でしたが、本作のレオンパートはグレースと同様に一人称と三人称の両方に対応します。中西氏は「一人称視点でも問題なく遊べるよう、いろいろ工夫を施しました。やっていたら忘れてしまうくらいだと思いますよ」と自信を見せました。
本作のストーリーは1本で、進行に応じてグレースとレオンのパートが切り替わる構成です。両者のボリュームはほぼ半々だといいます。『バイオハザード レクイエム』は2026年2月27日発売予定。対応プラットフォームはPC、Switch 2、PlayStation 5、Xbox Series X|S。恐怖で震えたあと、爽快に暴れる──その”落差”を体験できる日が近づいています。



