かつてホラーゲームを作ったことがなかったスタジオが、なぜ『サイレントヒル 2』のリメイクを任されたのか。大阪・関西万博で、Bloober TeamのMateusz Lenart氏がその道のりを語りました。
コナミへの最初のアプローチ——「いい返事はもらえなかった」
Bloober Teamが『サイレントヒル』シリーズに関心を持ったのは、『Observer』を制作していた頃のことです。同社でクリエイティブ・ディレクター兼アート・ディレクターを務めるLenart氏によると、当時すでにコナミへのピッチ資料を作成し、アプローチを試みていたといいます。
しかし、その時点では「残念ながらいい返事をもらえなかった」とLenart氏は振り返ります。ただし、この接触がBloober Teamというスタジオをコナミに認知してもらうきっかけになったと、同氏は考えています。
TGSの小さなブースに、コナミから10人以上が来た
転機は東京ゲームショウでした。Bloober Teamがブース出展を行った際、小さなブースにコナミから10人以上が挨拶に訪れたのです。そしてその場で、『サイレントヒル 2』リメイク版の相談が持ちかけられました。
Lenart氏によれば、『The Medium』の成功によってBloober Teamならではのサイコロジカルホラーへの独自アプローチが評価されたことが、声がかかった理由の1つだったといいます。
「我々はホラーゲームを作ったことがなかった」
興味深いのは、Bloober Teamがホラーゲーム開発の経験を持たないスタジオだったという点です。Lenart氏は2015年に同社に入社し、『Layers of Fear』の制作に参加しました。このプロジェクトについて同氏はこう語っています。「当初は完全なゲームを作る予定ではなく、単にホラーゲームの作り方を学ぶための簡単なプロジェクトでした。なぜなら、我々はそれまでホラーゲームを作ったことがなかったからです」。
ホラー未経験から始まったスタジオが、『Observer』『The Medium』を経て独自のスタイルを確立し、最終的に伝説的IPのリメイクを任されるまでに成長したのです。
「DNAに最も近い作品」——Bloober Teamが手にした伝説
『サイレントヒル 2』を2作目からリメイクすることはコナミの意向でした。しかしLenart氏にとっても、この選択に異論はなかったといいます。「『サイレントヒル 2』はBloober TeamのDNAに最も近く、個人的にも最も好きな作品」だからです。
一度は断られた作品が、実は自分たちのDNAに最も近いものだった。Bloober Teamにとって、このリメイクは単なる仕事ではなく、運命的な出会いだったのかもしれません。




