「当時の評価は不当」『Expedition 33』監督、『ロストオデッセイ』リマスターを熱望。「最後に泣いた」Xbox 360の傑作

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2025年のThe Game Awards(TGA)にて史上最多ノミネートという歴史的快挙を成し遂げたRPG『Clair Obscur: Expedition 33(以下、Expedition 33)』。そのクリエイティブディレクターを務めるGuillaume Broche氏が、自身のルーツであり、長年「過小評価されてきた」と語るXbox 360の名作『ロストオデッセイ』について、Eurogamerのインタビューで熱い想いを語りました。

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TGA最多ノミネートの快挙。証明された「リアル×ターン制」の需要

Sandfall Interactiveが開発した『Expedition 33』は、リアルなグラフィックとコマンドバトルを融合させたスタイルで、発売以来、多くのRPGファンから熱狂的な支持を集めています。「時代遅れ」と見なされがちだったターン制バトルが、現代の技術と演出によって極上のエンターテインメントになり得ることを、圧倒的な実績で証明してみせました。

Broche氏にとって、このスタイルの先駆者であり、精神的な支柱となっていたのが、2007年にXbox 360用ソフトとして発売された、ミストウォーカー開発の『ロストオデッセイ』です。『ファイナルファンタジー』の生みの親である坂口博信氏が手掛けた同作について、Broche氏は「リアルなグラフィックで描かれる、最後の壮大なターン制RPGの冒険だった」と振り返ります。

「当時の批判は不当だった」監督が語る『ロストオデッセイ』への異議

『ロストオデッセイ』はコアなファンの間でカルト的な人気を誇る一方、発売当時は全体としては好意的に受け止められつつも、一部メディアからは厳しい評価を受けることもありました。Broche氏は、その背景に当時の「オープンワールド偏重」の風潮があったと分析し、当時の批評は「非常に不公平だった」と異議を唱えます。

「当時は、オープンワールドではないゲームはすべて『オールドスクール(時代遅れ)』と見なされるような空気がありました。私はその意見には全く同意できませんでした。リニアな構造とワールドマップ、素晴らしい物語と音楽の組み合わせこそが、このジャンルにおける最高傑作の一つを作り上げていたのです」

『Expedition 33』がリニアな進行形式を採用しつつも高い評価を得た事実は、少なくともBroche氏の持論に説得力を与える結果と言えそうです。

「最後に泣いたゲーム」継承されるDNAとリマスターへの渇望

Broche氏は『ロストオデッセイ』を「私が最後に泣いたゲーム」と表現します。作家・重松清氏が手掛けた「千年の夢」に代表される重厚な死生観や、植松伸夫氏による音楽は、Broche氏が挙げる同作の魅力であり、『Expedition 33』が目指す方向性にも通じるものがあります。

また、システム面でもそのDNAは受け継がれています。『Expedition 33』の特徴である「タイミング入力が必要なターン制バトル」は、『ロストオデッセイ』の「エイムリングシステム」に加え、『スーパーマリオRPG』や『レジェンド オブ ドラグーン』といった作品からの影響も受けているといいます。リングが重なる瞬間にボタンを離すあのアクション性が、現代的な手触りで蘇っています。

インタビューの最後、Broche氏は自身の成功を噛み締めるように、しかし強い口調でこう訴えました。

「Justice for Lost Odyssey(ロストオデッセイに正義を)。今すぐリマスターして、もっと多くの人が遊べるようにしてください」

『ロストオデッセイ』は、現行のXboxコンソールでは後方互換機能を通じてプレイ可能ですが、Broche氏が願うのは、Xbox 360という世代の枠を超えた本格的なリマスターです。『Expedition 33』の成功により証明された「リアル頭身のターン制RPG」への渇望。この名作が再び光を浴びる日は来るのでしょうか。

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