NetEase Gamesが、同社傘下でカナダに拠点を置く開発スタジオ「Bad Brain Game Studios」を2025年11月17日をもって閉鎖する決定を下したことが、11月5日(現地時間)に明らかになりました。 この発表はスタジオ代表によって行われましたが、2023年に設立された同スタジオは、約2年でその歴史に幕を下ろすことになります。『Watch Dogs』シリーズなどの開発経験を持つ元Ubisoftのベテランが在籍していましたが、開発中だった80年代風ADV『The Midnight Riders』のIPは、今後、買収やパートナーシップの対象として新たな提携先を募る方針です。
設立から2年足らずでの閉鎖、スタジオ代表が公式に発表
NetEaseによるこの決定を受け、スタジオ代表のSean Crooks氏は自身のLinkedInアカウントを通じて、Bad Brain Game Studiosが2025年11月17日に最終営業日を迎えることを正式に発表しました。 Crooks氏は閉鎖の理由について、開発中のプロジェクトを継続するための新たなパートナーを探し続けていたものの、具体的な道筋が見いだせなかったと説明しています。
Crooks氏は声明の中で、これまでの支援に対する親会社への感謝を述べつつ、プロジェクトが志半ばで終了することへの無念さを滲ませています。「私たちはNetEase Gamesの支援と、あらゆる可能性を探るための猶予を与えてくれたことに深く感謝しています。私たちのチームはこの旅にすべてを注ぎ込みました」と、開発チームの功績を称えました。
『ウォッチドッグス』などを手掛けたベテランが在籍
今回閉鎖されるBad Brain Game Studiosは、カナダのモントリオールとトロントに拠点を置いていた開発スタジオです。スタジオを率いていたSean Crooks氏は、Ubisoftで『Watch Dogs: Legion』のリードプロデューサーを務めた経歴を持ちます。チームには同氏だけでなく、『ファークライ』や『スプリンターセル』といった世界的なAAAタイトルの開発に関わった経験豊富なベテランたちが多く在籍していました。
開発中だった80年代風ADV『The Midnight Riders』とは
同スタジオが開発していたのは、コードネーム『The Midnight Riders』と名付けられた新作タイトルです。公開された情報によると、本作はUnreal Engine 5を採用したストーリー主導のアクションアドベンチャーで、以下のような特徴を持っていました。
- テーマ: 1980年代のカルト映画やドラマから着想を得た世界観
- ジャンル: オープンワールド、アクションアドベンチャー、ホラー要素
- 主人公: ティーンエイジャーのグループ
今回の閉鎖発表に伴い、スタジオは開発チームのこれまでの功績を外部に示し、メンバーの再就職を支援する目的で、ゲームの紹介映像(シズルリール)を公開しました。プロジェクトのIP自体はNetEaseが保有しており、今後も開発を引き継ぐ出版社やスタジオを探していくとしています。
相次ぐ海外スタジオ閉鎖、NetEaseの投資戦略に変化か
Bad Brain Game Studiosの閉鎖は、NetEaseによる近年の海外スタジオ整理の一環と見られています。同社は直近でも、2023年に設立したばかりのスタジオ「Fantastic Pixel Castle」の閉鎖を発表するなど、欧米スタジオへの投資戦略を見直す動きが続いています。2023年頃にAAAタイトルのベテランが率いるスタジオへの投資を積極化させましたが、2024年後半からは複数のスタジオで支援の縮小や終了が報告されていました。
背景には、NetEaseの事業方針の変化を指摘する見方もあります。海外メディアBloombergは2025年初頭の報道で、同社がより広範な市場をターゲットとする「エバーグリーン」なタイトルに注力するため、一部の新規スタジオがリスクに晒されていると伝えていました。今回の閉鎖も、こうした大きな流れの中で決定された可能性があります。




