『デス・ストランディング』間接的な繋がりが新たなゲーム体験を生む ─ 小島監督ロングインタビュー

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11月8日の発売が1ヶ月後に迫っている世界が注目する話題作『デス・ストランディング』。そんな本作を手掛けた小島秀夫監督のロングインタビューが公開されました。

なお、TGS2019にて披露された50分にわたるゲームプレイを視聴していないと意味不明な内容も多いので、未見の方はまずは動画を見ることをお勧めします。

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『デス・ストランディング』TGS2019ゲームプレイ映像

『DEATH STRANDING Day-1 GAMEPLAY SESSION Vol.1』PlayStation® presents LIVE SHOW “TGS2019”

『デス・ストランディング』小島秀夫氏ロングインタビュー

  • 『デス・ストランディング』は色々なことを要求されるゲーム。
  • 世界観もゲームのルールもゆっくりとその人の中に入っていく。モニターのレポートも「中盤くらいからものすごく面白くなった」という内容が多い。
  • ゲームに慣れて、自分のスタイルで“モノを繋いでいく”ことができるようになってくると、遊び方がバラバラになる。他人のために橋を作ってばかりの人、落とし物を拾って届けて回る人、敵と戦う人、交戦を避けて迂回ルートを取る人、人のものを利用して我先に行く人など千差万別。
  • 大きな雪山が病みつきになるほど凄い。多くの人が雪山から離れたくなくて、ストーリーが進まなくなる。過酷だが装備が増えてくると攻め方が変わってくる。吹雪いてホワイトアウトしたら周りが全く見えないうえ、一歩先が崖かもしれないような危険な場所を進まないといけない。
  • サムたちの荷物を狙う“ミュール”と呼ばれる存在がおり、彼らは荷物タグに反応する。この習性を利用して、荷物を脇に置いていたずらする人もいる。ちなみにミュールとは、配達症候群にかかってしまった元配達人。荷物を奪うが、人の命は取らない。
  • 一方、テロリストはめちゃくちゃ強いので見かけたら避けたほうがいい。ただ、シューターが得意であれば正面突破も可能。
  • 見た目は生まれたての地球。荒廃した世界ではなく時雨が降るとすべてを溶かしていまい原始の地球のようにしてしまうという設定。
  • 世界の点と点を結ぶというメインの目的はあるが、オープンワールドなのでどう進んでも構わない。自分が通ったルートが道になる。道を残すゲーム。道とは生き方であり、人生であり、歴史であったりする。それを自由にできるゲーム。
  • 人の足跡の上を通るとそれが獣道になり、やがては道路になる。自分だけが行ったり来たりすることでもやがて道になる。シルクロードのようなもので、点と点を繋ぐと人がそこを通り、異文化・異人種が交流することで色々な人が仲良くなる。その一方で、戦も軋轢も生まれる。そこも体験してもらう。
  • (間接的なオンライン要素について)オンラインは世界中の人が直接的に繋がる。そして、匿名なのをいいことに、心無い言葉で他人を傷つける人たちもいる。ゲームにしても銃で撃ち合ったりしている。そんな状況に疲弊している人も結構いる。電話もないほどの昔は、遠方にいる人とのコミュニケーションは手紙だった。しかも届くまでにタイムラグがあり、差出人が手紙を書いた時の状況を思い浮かべ相手のことを考えないとコミュニケーションが成立しなかった。そういう間接的なコミュニケーションを今の人々に与えることで思いやりが出てくるかもしれないと考えた。
    多くのゲームは自分のために行動するのが基本だが、『デス・ストランディング』では、自分が建てた橋が世界中の人と共有され、他の人が利用すると、“いいね”が飛んでくる。これを体験すると「設置場所はあそこでよかったかな?」と考えるようになり、自分だけのためじゃなく、ほかの人にとっても便利な場所を考えて建てるようになる。不要なアイテムも捨てるのではなく、誰かの役に立つかもと考えて共有ロッカーにしまうなど良いスパイラルが起こることを期待している。
  • “いいね!”は無償の愛なので、お金や武器になったりはしない。それ故に、スタッフからは「自分のメリットにもならないことに誰が“いいね!”なんてするんですか?」と猛反対を受けた。
  • フィールドに建てたもの・置いたものも“いいね!”の数が見られるので、例えば休憩所を建てるとして、みんなが利用する人気スポットにしたくなる。休憩所は道沿いにある方が利用してもらえる確率が高まるため、まずは道から作るという人も出てくる。高速道路のようなものも作れるので、そこから誘導するという人も。
    一方、誰もこないような秘境に建てる人もいる。とても辺鄙な場所の休憩所に多くの“いいね!”が付いてると思ったら、その先に温泉があったなんてことも。
  • “いいね!”は他人の設置物を利用すると自動で送られる。さらに、利用したうえで便利に感じたら、改めて自分の意志でもう一度“いいね!”を送ることも出来る。
  • 武器を使い戦うこともできるが、人を攻撃しても誰も褒めてくれない。もちろん“いいね!”も貰えない。BBもストレスで泣いてしまう。この世界で褒めてもらえるのは、唯一、人のためになることだけ。
  • 東から西へ都市を繋いでいくうえで点と点の繋ぎ方は人それぞれ。カイラル通信が繋がった範囲で寄り道するもよし、道を整備してクルマで大量輸送するもよし、単独で暮らすプレッパーズに会いに行ってもいい。マップを100%繋ぎたい場合は全員に会いに行く必要がある。
  • 他者の痕跡はカイラル通信を繋ぐことで可視化されるため、初めて足を踏み入れるエリアには他者の痕跡はない。
  • 他者の痕跡は、ほかのプレイヤーとのコミュニケーションが多いほどたくさん現れる。コミュニケーションが少ないとあまり出ない。
  • 多くの痕跡でマップが埋め尽くされてしまうのでは?などのプレイヤーが危惧する状況にはならない。ゲームプレイの進捗などフラグで制御している。建造物なども時雨によって溶けていくため、メンテナンスをせず長時間放置されているものは消えていく。
  • 自分が置いたモノもシェアされるが、メインミッションで必要な荷物はなくならない。ただし、装備などは、結構な距離を離れたり時間が経ちすぎると無くなることもあるため、大切なものはロッカーのプライベートスペースに保管したほうがいい。
  • 戦闘中にコミュニケーションボタンを押すと、その時オンライン上にいる自分と繋がっている人たちが勝手に助けに来る。画面上では白いサムとして表示される。共闘ではないので、加勢する側の操作は必要ない。白いサムに声をかけると返事をしてアイテムを投げてくれる。それを拾った瞬間に相手に“いいね!”が自動で送られるので、相手は今自分が誰かを助けていることに気付くことができる。
  • オフラインでプレイした場合、他者のサポートがないスタンドアローンのゲームになる。本作の狙いは、普通にソロプレイしている感覚だけど、自然と他の人と繋がっているという状態なので、オフラインだと新しい面白さはない。あまりオフラインでプレイしてほしくはない。

  • モニターの多くは、バイクを入手すると最初は誰も手放さない。カスタマイズしていくうちに愛着がわいてしまい、バイクで進むのが困難な場所に来ても、なんとか最後までバイクで強行しようとする。本作では積極的に共有すべきなのに、従来のゲームを引きずっているため、なかなか気付け無い。しかしそのうち、カスタマイズしたバイクをみんなで共有しようという気持ちへ変化していく。カスタマイズされたバイクがあればみんな喜んで利用する。バイクには前のオーナーの名前が残るし、利用されることで“いいね!”が飛んでくる。
  • 意図的に誤ったルートへ導こうとするなどの悪い痕跡は“廃棄”を選ぶことで自分の世界から消せる。
  • キャッチャーに食べられてヴォイド・アクトすると、その周辺に大きなクレーターができ地形が大きく変化する。復旧もできない。そのためフィールドが穴だらけになることもあるが、時間が経つと時雨で地面がならされ、やがて元通りになる。
  • 基本的にはゲームオーバーはなく時間が戻ることはない。崖から転落したり、テロリストに撃ち殺されたりすると、この世とあの世の境目にある“結び目”と呼ばれる空間で魂として彷徨いながら自分の体を探す。体を見つけて入ると、結び目からこちらの世界に戻ってこられる。
    ちなみに、初期のトレーラーでサムが裸で立っていた場所は、結び目の向こうにある“ビーチ”と呼ばれる場所で、そこから奥はあの世。
  • ミッションフェイル(任務失敗)はあり、届ける荷物をなくしたり、壊してしまった場合には、少しだけ時間が巻き戻る。
  • VERY EASYモードでは、キャッチャーは2~3発で倒せる。荷物のバランスも取りやすく、そんなにコケることもない。
  • プライベートルームは、過酷な旅路が続く中で、ちょっと明るくなってほしいという思いで作った。直接的にはストーリーとは関係なく、ユーザーサービスに近い。(※関連記事:ノーマン・リーダスファンには堪らない!?『デス・ストランディング』ノーマンとたっぷり戯れられるプライベートルーム実機プレイがお披露目!様々な仕掛けが膨大に用意
  • サムが爪を剥がしたり排泄するシーンは無意識に導入。あれだけの荷物を運んでいく中で、いつ寝て、いつ食べて、いつ排泄しているのかが描かれないは不自然。
  • 結局ゲームはバーチャル。絵的に辛くても自分は辛くない。でも『デス・ストランディング』はちょっと辛い。ものすごく疲れる。速く走ったり、高くジャンプしたり、空を飛んだりなど、日常ではできないことをやって快感を得るのがゲームだとしたら、本作はそうではなくて、主人公は重い荷物を背負って足元を見ながらを歩く。そんなキャラを操り世界を旅する内に逆の快感が出てくる。最初は辛いけど、歩くだけでこんなに気持ちいいというか。
  • 3年9ヶ月前に独立した時に53歳だった。家族に猛反対され、メディアや同業者からも絶対にうまくいかないと言われた。銀行に行っても、名声は分かるが実績がないと言われ 融資を受けられない。しかし、いちばん大きな銀行の役員が熱烈な僕のファンで融資してくれた。ビルを借りる際にも、ビルの役員が僕のファンで入居することができた。今の自分があるのはコナミでの30年間があってこそ。コナミには感謝しているし、その繋がりは否定できない。
    マッツ・ミケルセンさんもレア・セドゥさんも、家族が僕のファンだったり、そういう繋がりで出演してくれた。
  • DECIMAエンジンは、『Horizon Zero Dawn』と同じような世界観にならないよう、ライティングやカットシーンのツールなどを改良してきた。ゲリラゲームズの方でも独自に進化させていき、ある時期で機能を統合することで、DECIMAは近い未来、2~3歩上がることができると思う。