先日SIEが公開したPS5分解映像に登場し、PS5を分解しつつその内部構造を解説した鳳康宏氏(SIEハードウェア設計部門メカ設計部部長)のインタビューが4Gamer.netに掲載されました。
- PS5の体積は、通常版が約7.27リットル、デジタルエディションが約6,4リットル。ちなみに、ライバル機のXbox Series Xは約6.86リットル。
- SSD増設は、PCIe 4.0対応のPC向けM.2 SSDがそのまま利用可能。一般的な幅22mm、全長30mm/42mm/80mm/110mmの基板サイズに対応。SSDモジュールを固定するスタッドとネジは予め組み付けられている。
M.2スロットのネジ孔は、分解動画で確認できたType2230/2240/2260/2280に加えて、Type22110にも対応。
ヒートシンクを装着した製品の場合、その高さが基板面から8mm以下であれば収納できるよう設計してあるが、金属製カバーと干渉したり、金属カバーを組み付けるシャシーやネジ穴はプラチック製なので破損する可能性があるため、極端に背の高いヒートシンクが付いた製品は避けたほうがいい。
増設用SSDスロットに対し、2箇所の排気口を用意。増設用スロットは吸気ファン付近にあるため、排気口から負圧で熱を吸い出す構造になっている。 - 縦置きと横置き、どちらの場合でも冷却性能に違いはない。
- 筐体内のエアフローについては、透明の筐体模型を制作し、ドライアイスの煙を流して観察したり、各部での測温を行ったりしつつ改善を進めていった。
- PS5の背が高くなった理由は、設計部門から「横置き時に薄く見えるようにしたい」という要望があったことに加え、実装基板を削減できるから。基板が2枚になると製造コストと放熱設計の難度が上がってしまう。デザイン面からの要求と設計面の要求が噛み合った。
- 電動ファンは基板の両面に送風できる設計。材質は、強度があり熱による形状変形も小さいガラス繊維ポリブチレンテレフタレート。羽の枚数は必要とする正圧と風量のバランスから算出。かなり過酷な環境でも本体が故障しないよう余裕を持って設計してある。
ファンのサイズは直径120mm / 厚さ45mm。ゲーム機に搭載される電動ファンとしてはかなりのサイズだが、これは大きなファンをゆっくり回すことで、高い静音性を実現するため。「通常の使用環境・状況において、初期型PS3や初期型PS4よりも静か」。 - TIMに採用した液体金属は、導電性があり基板側に漏れるとショートする。また、ヒートシンクなどの部材に使われるアルミに対して強い腐食性がある。それらの問題をクリアするために、2年以上の時間をかけて準備した。液体金属TIMは、SIEがカスタムした独自品。
液体金属にこだわった理由はコスト。TIMにコストをかけることでトータルのコストを抑えられる。 - 光学ドライブは静粛性と制振性を重視した結果、スチール製のケースで完全密閉。本体シャシーと接する部分に2重のインシュレーターを備えており、これがサスペンションの役目を果たすことで光学ドライブモジュールからの振動を吸収する。
- 350Wの容量を持つ電源ユニットは、樹脂製ケースの前端と終端にスリットがあり、空冷ファンからの風が内部を抜けて外に出る構造。
- APU内部とメイン基板上3箇所の計4箇所に搭載している温度センサーが示す一番高い温度をパラメーターとして、ファン速度を制御する設計。このファン制御パラメーターは、オンラインアップデートによる更新にも対応。今後、さまざまなゲームが登場していく中でAPU挙動データを収集し、これを元にファン制御の最適化を進める計画とのこと。
ソース:4Gamer.net