『モンスターハンターワイルズ』売上47.7万本に急落 ー 2025年4〜6月、旧作ライズが38.9万本で肉薄

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カプコンが発表した2026年3月期第1四半期決算において、同社の代表的フランチャイズ「モンスターハンター」シリーズの最新作『モンスターハンターワイルズ(Monster Hunter Wilds)』の販売動向に注目が集まっています。好調な全体業績とは裏腹に、同作の売上がリリース後わずか数ヶ月で急減し、過去作『モンスターハンターライズ(Monster Hunter Rise)』との異例の接近状態が明らかとなりました。

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カプコン全体は堅調 売上・利益ともに大幅増

カプコンは2025年4月〜6月の期間において、1,416万本のゲームソフトを販売しました。前年同期の953万本から大幅な増加となり、純売上高は53.7%増、営業利益は91%近く伸びています。これらは主に過去作のカタログタイトルによる継続的な売上がけん引したものであり、『デビル メイ クライ5(Devil May Cry 5)』が累計1,050万本を突破するなど、複数の主力タイトルが健闘しています。

『モンスターハンターワイルズ』の失速 販売勢いに陰り

一方、2025年2月28日に発売されたシリーズ最新作『モンスターハンターワイルズ』は、2025年4月〜6月の第2四半期における販売本数が47万7,000本にとどまりました。これにより、累計販売本数は1,058万本となっています。

この数字だけを見れば大きな成功にも見えますが、発売から半年も経たずにここまで勢いが落ち込むのは、シリーズの新作としては極めて異例の状況です

『モンスターハンターライズ』が依然として堅調 異例の接近状態に

さらに注目すべきは、2021年にリリースされた『モンスターハンターライズ』の販売動向です。リリースから4年以上が経過しているにもかかわらず、同じQ2期間中に38万9,000本を販売し、累計販売本数は1,756万本に達しています。

今回の四半期では『ワイルズ』がわずかに上回っているものの、4年以上前に発売された旧作『ライズ』がここまで食い下がるのは極めて異例です。本来なら新作が旧作を大きく引き離すものですが、両者の販売本数が並ぶ状況は、ワイルズの完成度やパフォーマンスに対する不満が売上に大きく影響していることを示しています。一時的な不調とも取れますが、早急な立て直しが求められる状況です。

売上不振の要因:最適化・コンテンツ・システム面の複合的課題

『ワイルズ』の販売失速には、複数の要因が重なっていると考えられます。まず、PC版における最適化の不備が挙げられます。Steamでは直近のレビュー20,000件以上のうち「おすすめ」評価がわずか12%にとどまり、「圧倒的に不評」とされています。フレームレートの低下、クラッシュ、不安定な挙動などが多く報告されており、プレイ体験に大きな支障をきたしている状況です。

加えて、リリース時点でのコンテンツの少なさや、チャレンジ性に欠けるエンドコンテンツへの不満も広がっています。報酬設計や繰り返しプレイの動機づけに乏しく、従来のシリーズ作にあった中毒性が感じられないという声が目立ちます。

さらに、ゲームシステムそのものに対する違和感も指摘されています。探索や戦闘のテンポが過剰に簡略化されている、ビルドの幅が狭い、従来の「狩り」の緊張感が薄れたといった意見が散見され、シリーズの“らしさ”を失っているという評価もあります。

これらの技術的・構造的な問題が複合的に作用し、発売直後にもかかわらず勢いを失った要因と見られます。

今後の改善策としてのアップデートに期待

カプコンは2025年8月13日に『ワイルズ』向けのバージョン1.021パッチを予定しており、これには早期エンドゲームコンテンツの追加や、「Free Title Update 3」の一部要素の前倒し実装が含まれる見通しです。このアップデートが、販売低迷からの巻き返しにつながるかが注目されます。

シリーズの分岐点に立つ『ワイルズ』

全体としてカプコンの業績は好調であるものの、『モンスターハンターワイルズ』の第2四半期売上は、シリーズ最新作としては不安の残る結果となりました。一方で『モンスターハンターライズ』が今なお根強い人気を保っている点は、シリーズの持続力を示すものであり、今後のアップデート戦略次第では『ワイルズ』も巻き返しの可能性を秘めています。


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