「企業が様子見したら、ユーザーも様子見する」―『サイレントヒル』岡本Pが“3作同時発表”で示したかったファンとの「フェア」な関係

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『サイレントヒル』シリーズ統括プロデューサーの岡本基氏が、自身のX(旧Twitter)で、2022年に3作品を同時発表した背景にある考えを明かしました。岡本氏は「企業が様子見したら、ユーザーだって様子見する」と述べ、まず開発側がリスクを取って「本気度」を示すことが、ファンとの「フェア」な関係構築に繋がると説明します。9年以上新作が途絶えていたシリーズの復活にあたり、なぜ“3作同時発表”という手法が選ばれたのか、その理由が語られています。

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ファンとの「フェア」な関係構築を目指して

岡本氏は、ユーザーは未来が感じられないIPには付き合おうとしない、という見解を示しています。そのため、企業側が市場の反応をうかがう「様子見」の姿勢を取れば、ユーザーも同様に「様子見」で応えることになると分析します。この状況を避けるため、まず開発側がシリーズ復活への「本気度」を示すことが、ファンに「本気で熱狂していただく」ための「フェア」な関係に繋がるとの考えを明らかにしました。

“3作同時発表”に込めた「本気度」

その哲学を具体的に示すアクションが、2022年の“3作同時発表”でした。岡本氏は、リメイク1本だけの発表では「いわゆる様子見リメイクはしたくなかった」と語ります。リメイク版『SILENT HILL 2』に加え、完全新作の『SILENT HILL f』、『SILENT HILL: Townfall』を同時に開発することはリスクを伴いますが、それによって「シリーズを復活させる我々の本気度をまず感じ取ってほしかった」と、その意図を説明しています。

「縮小再生産」を避けるための戦略的側面

また、このアプローチは戦略的な側面も持っています。岡本氏は、リメイク作品は古いファンだけを対象にすると「縮小再生産になりがち」だとの持論を展開しました。IPの規模を維持・拡大するためには、「新規層半分、昔のファン半分ぐらいで設計しないと、お客さんは増えていかない」と述べており、未来への期待感を醸成することが、結果としてこの課題の解決にも繋がることを示唆しています。

今後のシリーズ展開へ繋がる思想

岡本氏が示したこの思想は、2022年の発表に留まるものではありません。2025年9月に発売された『SILENT HILL f』をはじめ、未発売の『SILENT HILL: Townfall』や初代『サイレントヒル』のリメイク版など、今後のシリーズ展開の根幹をなすものと考えられます。作り手がまず本気度を示し、ファンがそれに応えるという関係性が、今後の「サイレントヒル」シリーズを支えていくことになりそうです。

出典

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