任天堂の宮本茂氏は、映画『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』に関するPolygonのインタビューで、ゲーム媒体では届けにくい感情があると語った。クッパのようなキャラクターの感情描写を映画で体験できることが「Illuminationの魔法」だという。インタビューでは映画制作の方針やキャラクター起用の考え方にも話が及んだ。
ゲームでは「やや難しい」感情を映画に託す
宮本氏はPolygonに対し、クッパのようなキャラクターについてこう述べた。
「クリスさんも触れていたが、クッパのようなキャラクターには、ゲーム媒体ではやや難しい感情的な要素がある。それを映画で体験できること——映画を通じてそれを感じられること——がIlluminationの魔法だ」 ——宮本茂 / Polygon
Illumination CEOのChris Meledandri氏も、前作でクッパがピーチへの恋心を見せた場面や、今作での父と息子の物語など、驚きの感情描写が映画の核だと話している。なお原文の表現は「somewhat difficult」(やや難しい)で、「不可能」とは述べていない。
コンソールの「届く人数」に限りを感じている
宮本氏は映画やデジタルメディアへの展開についても語った。「任天堂のシステムやコンソールで届けられる人数には限りがあると感じ始めている」と述べ、デジタルストリーミングなどを通じてマリオを進化させたいとしている。
人々には「『任天堂はどんなゲームを出すのか』ではなく『任天堂はどんな世界を広げるのか』と考えてほしい」という。
この考えは新しいものではない。GameSpotによれば、元任天堂社長の君島達己氏は約10年前に「若者が最初に任天堂に触れる体験がゲームである割合は下がっている」と指摘していた。宮本氏は2020年2月の任天堂決算説明会でも「もともと映像展開には否定的だった」が「映像分野でもっと任天堂はコンテンツを持つべきだ」と考えが変わったと述べている。前作『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023年)は全世界興行収入約13.6億ドルを記録した。
「シネマティック・ユニバース」は作らない——キャラ起用は場面ごとの判断
今作にはピクミンやフォックス・マクラウドなど他シリーズのキャラクターも登場する。だがこれは『大乱闘スマッシュブラザーズ』のように全任天堂キャラクターが集合する計画ではない。宮本氏は「スマブラのように全任天堂キャラクターが集合することはないと思う」と述べた。
Meledandri氏は、マーベルのような計画的な「シネマティック・ユニバース」構築とは違うと説明した。
「私たちのプロセスはまったく違う。映画のある場面で何が楽しいかという会話から生まれるものだ。『ここにピクミンが出てきたら楽しくない?』というアイデアが出て、楽しいと合意できたら、宮本さんにそれがしっくりくるかどうか判断してもらう。戦略的というよりずっと偶発的なものだ」 ——Chris Meledandri、Illumination CEO / Polygon
続編の題材に『スーパーマリオギャラクシー』が選ばれた理由について、Meledandri氏は「映画的な可能性」とロゼッタのドラマ性を挙げた。宮本氏は「冒険の舞台を銀河へ広げる進化だ」と述べている。
※本記事はPolygonの報道をもとに、関連情報を加えて再構成しています
出典
- GameSpot:Nintendo Can Reach “Only So Many People” With Games, Miyamoto Admits
- Polygon:Mario creator Shigeru Miyamoto on the Nintendo Cinematic Universe, Super Smash Bros., and more
- IGN Japan:マリオの映画が作られている理由とは? 宮本茂が語る
- 任天堂:2020年3月期 第3四半期決算説明会 質疑応答
- The Numbers:The Super Mario Bros. Movie (2023) – Box Office



