コナミの伝説的ホラーシリーズ待望の完全新作『サイレントヒルf』のレビューが解禁され、海外メディアから驚嘆と絶賛の声が相次いでいます。多くのメディアが「シリーズ最高傑作の一つ」と評価する一方で、ゲームプレイの核となる部分にはいくつかの懸念点も指摘されています。卓越した物語と雰囲気でプレイヤーを魅了する本作ですが、そのアクション寄りの戦闘システムには注意が必要かもしれません。
※本記事は2025年9月21-22日付PlayStation 5版レビューに基づき作成しています。
まずはここをチェック!『サイレントヒルf』の評価まとめ
『サイレントヒルf』は、レビュー解禁直後から極めて高い評価を獲得しました。スコアは60点から100点の満点まで分布していますが、その大半が80点台後半から90点台に集中しており、批評家たちがいかに本作を高く評価しているかがうかがえます。
- 評価分布: 多くのレビューが90点台に集中。満点評価も複数獲得しており、全体的に傑作との評価が支配的です。
- 👍 特に評価が高いポイント:
- 心を揺さぶる物語: 『ひぐらしのなく頃に』で知られる竜騎士07氏が手掛ける、深く、成熟し、感動的ですらあるストーリーとテーマ性。
- 唯一無二の雰囲気: 1960年代の日本を舞台に、美しさとグロテスクが融合したアートスタイルと、プレイヤーを蝕むような心理的恐怖。
- 大胆な革新性: シリーズの核となる精神を継承しつつ、舞台設定や物語の方向性を一新した意欲的な挑戦。
- 高いリプレイ価値: 物語の真相に迫るための複数のエンディングと、周回プレイを促す巧みな仕掛け。
- ⚠️ 気になるポイント:
- 賛否両論の戦闘システム: アクション要素が強いものの、「重い」「単調」「イライラする」といった否定的な意見が多数。
- 技術的な問題: 一部のレビューでは、パフォーマンスの問題やグリッチが報告されています。
- ゲームデザインの一部: ゲーム序盤の展開の遅さや、一部のメカニクスが冗長であるとの指摘も見られます。
- 主要メディアのスコア:
- 100点: Dexerto, Inverse, Retcon, Game Rant
- 95点以上: Game8, CGMagazine, Gamepressure, GRYOnline.pl, PSX Brasil, Stevivor, TierraGamer, DualShockers
- 90点以上: COGconnected, DBLTAP, Digital Trends, GIGA, Noisy Pixel, MeuPlayStation, GameSpot, GAMINGbible, GameSpew, Gameblog.fr, Areajugones, Games.cz, Hobby Consolas, TheGamer, GamingTrend, IGN Deutschland, Press Start Australia, Saudi Gamer, The Games Machine, Endless Mode
- 85点以上: LevelUp, INVEN, Carole Quintaine, GamersRD, Meristation, Vandal, Atomix, Gamesurf, SpazioGames, GameOver.gr
- 80点以上: 4P.de, GamesRadar+, Eurogamer, Everyeye.it, IGN Japan, Multiplayer.it, Hardcore Gamer, GamePro Germany, BaziCenter, Gamer.no, Jeuxvideo.com, Gamekult, Metro GameCentral
- 70点台: GAMES.CH (73点), Gamereactor UK (70点), Push Square (70点), IGN (70点)
- 60点: TechRadar Gaming
- 結論: メディア評価を見る限り、シリーズファンはもちろん、多くのホラーゲームファンが楽しめるクオリティの作品に仕上がっていそうです。ただし、アクションよりも雰囲気を重視するプレイヤーは、戦闘システムに慣れが必要かもしれません。
高評価レビューの声:「シリーズ復活を告げる傑作」
本作を絶賛するレビューの多くは、その物語と雰囲気がシリーズの新たな金字塔を打ち立てたと評価しています。長年の沈黙を破ったシリーズの「完全な復活」を宣言する声が後を絶ちません。
満点を付けたDexertoは、「『サイレントヒル2』と同等か、それ以上かもしれない」と最大級の賛辞を送り、「この品質が今後のサイレントヒルの基準となるなら、霧に満ちた未来にこれほど興奮したことはない」と締めくくっています。同じく100点を付けたInverseも、「シリーズの遺産を尊重しつつ、同時に新たな方向へと押し上げることに成功した。シリーズ最高傑作かもしれない」と評価しました。
95点を付けたDualShockersは、本作が「Team Silent(初期開発チーム)のビジョンに忠実」であると指摘し、「ホラーの傑作であるだけでなく、サイレントヒルの傑作でもある。ベテランファンが渇望していた安堵をついに与えてくれた」と、ファン目線からの熱い想いを語っています。GameSpot (90点)もまた、「単なる原点回帰ではなく、驚くべき進化だ。ビジュアルのスペクタクル、心理的ホラーの熟練、物語の輝き、そしてサイレントヒルシリーズの新たなベンチマークである」と、本作が達成した高みを称賛しています。
これらのレビューに共通するのは、本作が単なる良作にとどまらず、シリーズの歴史を塗り替えるほどのインパクトを持った作品であるという認識です。
革新的な新要素:舞台は1960年代の日本へ、竜騎士07が描く新たな恐怖

『サイレントヒルf』が最も高く評価されている点の一つが、アメリカの架空都市というお馴染みの舞台から離れ、1960年代の日本の田舎町「恵比寿岡」へと舵を切った大胆な決断です。GRYOnline.pl (95点)は「アメリカの町から離れたことで、新鮮さと深みが物語にもたらされた」と述べ、この変更が功を奏したと分析しています。
この新たな舞台で描かれる物語を手掛けたのが、『ひぐらしのなく頃に』や『うみねこのなく頃に』で知られるシナリオライター、竜騎士07氏です。彼の参加は、発売前から大きな注目を集めていましたが、レビューではその手腕が絶賛されています。Retcon (100点)は、「日本の神話や民間伝承の要素を巧みに織り交ぜ、真に不穏な背景を作り出している」と評価。Digital Trends (90点)は、「社会という計り知れない怪物。私たちがそうでありながら、そうでないふりをする怪物。それこそが私に突き刺さる恐怖だ」と述べ、物語が持つ社会的なテーマの深さに言及しています。
美しい風景が、次の瞬間には血と肉にまみれた悪夢へと変貌するアートスタイルも、本作の恐怖を際立たせる重要な要素です。多くのレビューが、その「不快なほど美しい」ビジュアルが、主人公ヒナコの心理状態と物語のテーマを完璧に表現していると指摘しています。
懸念点:アクション重視の戦闘と技術的課題

絶賛の嵐が吹く一方で、ほぼ全てのレビューが共通して指摘する懸念点が存在します。それは、本作の戦闘システムです。
TechRadar Gaming (60点)は、「私が今まで経験した中で最も悲惨な戦闘の一つ」と厳しく批判。GamesRadar+ (80点)も、「過剰に設計されたシステムのおかげで、厳しい戦闘は怖いというよりイライラするものになりがちだ」と述べています。アクションへの比重が大きくなっているにもかかわらず、操作性が重く、敵の攻撃によるスタンロック(連続攻撃で身動きが取れなくなる状態)が多発するなど、ストレスを感じる場面が多いようです。
ただし、GameSpew (90点)のように「エンゲージングな戦闘」と肯定的に評価する声も少数ながら存在するため、この点はプレイヤーの好みによって評価が大きく分かれるポイントと言えるでしょう。
また、技術的な問題も散見されます。PSX Brasil (95点)は「PS5 Proでもパフォーマンスの問題がある」と報告しており、一部のメディアはグリッチの存在にも触れています。Eurogamer (80点)は「イライラするゲーム前半は、素晴らしい後半によって相殺される」と指摘しており、序盤の展開の遅さがプレイヤーを試す可能性も示唆されています。
なぜ高評価?停滞を打ち破った「大胆な挑戦」が評価された理由
数々の懸念点を抱えながらも、なぜ『サイレントヒルf』はこれほどまでに高い評価を得られたのでしょうか。その答えは、シリーズが長年抱えていた停滞を打ち破る「大胆な挑戦」と、その挑戦が「サイレントヒルらしさ」の本質を決して見失わなかった点にあります。
TheGamer (90点)は、「『サイレントヒルf』は、コナミがこのサバイバルホラーの象徴の復活をついに確固たるものにしたように感じる」と述べ、本作がシリーズ再生の決定打であると位置づけています。アメリカを離れるという大きなリスクを取りながらも、心理的恐怖、トラウマを抱えた登場人物、息苦しい雰囲気といったシリーズの根幹は、より洗練された形で継承されています。
LevelUp (88点)は、「本作は境界を押し広げることを敢行したが、フランチャイズの柱への敬意は維持した」と分析。この絶妙なバランス感覚こそが、古参ファンと新規プレイヤーの双方から支持を集めた最大の要因でしょう。本作は、過去の名作をただ模倣するのではなく、その魂を受け継ぎながら、2025年の現代にふさわしいホラー体験へと昇華させることに成功したのです。
総括:シリーズ復活を告げる、新たな金字塔

『サイレントヒルf』は、単なるシリーズの新作ではありません。それは、長い霧の時代を終え、シリーズの完全復活を世界に宣言する狼煙(のろし)です。竜騎士07氏による深く心をえぐる物語、美と醜が混淆する唯一無二の雰囲気は、多くのプレイヤーにとって忘れられない体験となるでしょう。
賛否両論の戦闘システムという無視できない欠点はありますが、それを補って余りあるほどの魅力が本作には詰まっています。
- シリーズの長年のファンへ: 変化を受け入れる心構えがあるならば、本作は『サイレントヒル2』以来の最高の体験となるかもしれません。
- 初めてシリーズに触れるプレイヤーへ: 現代最高峰の心理的サバイバルホラーとして、これ以上ない入門作です。
- 物語を重視するゲーマーへ: 間違いなくプレイすべき傑作です。その結末と道程は、あなたの心に深く刻まれるでしょう。
『サイレントヒルf』は、シリーズが今後も多様な恐怖の形を模索していくであろう、明るい未来を照らし出しました。この恐ろしくも美しい悪夢に、足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。





