80%完成していた『ラスアスOnline』はなぜ消えたか——ディレクターが中止の経緯を語った

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キャンセルされた『The Last of Us Online』のゲームディレクター、Vinit Agarwal(ヴィニット・アガルワル)氏が、自身の武装強盗被害をもとにPvPの中核を設計していたことを明かした。IGNがポッドキャスト「Lance E. Lee Podcast」での発言として伝えている。ゲームは約80%まで完成していたが、Naughty Dog内部の二択で中止された。アガルワル氏が知らされたのは公表のわずか24時間前だった。

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「マクドナルド1食分」の暴力がPvPの原型になった

アガルワル氏は2012年、テキサス州オースティンで武装強盗に遭っている。犯人が手にしたのはマクドナルド1食分ほどの物品だった。

「あの一件で犯人が手にしたものは何だったか? せいぜいマクドナルド1食分だ。本当にそれだけのために、おそらく追い詰められてやったのだと思う」 ——ヴィニット・アガルワル氏 / IGN(Lance E. Lee Podcast発言)より

わずかな物のために人が暴力に走る絶望感——アガルワル氏はこの構造をゲームに持ち込んだ。『The Last of Us Online』では、物資の有力な入手先の一つが他プレイヤーの殺害だった。動物のように人を狩るような状況を意図的に作り出し、生存のための暴力がプレイヤー間で連鎖する設計だったという。アガルワル氏自身は初期ビルドをプレイした感覚をtherapy(セラピー)と表現している。

「スタジオの本業」か「実験的なゲーム」か——二択で消えた80%

開発は2016年に始まり、約7年をかけて80%の完成度に達していた。完成間近だったとアガルワル氏は語っている。しかしNaughty Dogは、Neil Druckmann(ニール・ドラックマン)氏が指揮する『Intergalactic: The Heretic Prophet』との二択を迫られた。

「スタジオにとっての魂であり本業であるゲームを選ばなければならなかった。私が手がけていた実験的なゲームではなく。大きくなると信じていたが、残念ながら日の目を見ることはなかった」 ——ヴィニット・アガルワル氏 / IGN(Lance E. Lee Podcast発言)より

Naughty Dogは2023年12月、公式ブログで『The Last of Us Online』の開発中止を発表している。アガルワル氏がキャンセルを知らされたのは、その公表のわずか24時間前だった。7年間の開発を率いたディレクターへの通知はdevastating(壊滅的)、soul crushing(魂を砕かれる思い)だったという。

COVID特需の反動とBungieの助言

アガルワル氏によると、2020年のCOVID期にゲーム業界全体が急成長し、それが『The Last of Us Online』への投資を後押しした。一方で2022年から2023年にかけてこの勢いは失われ、Sonyの支出削減につながったとみている。

吉田修平氏は2025年2月のポッドキャスト「Sacred Symbols+」で、キャンセルに触れている。BungieがNaughty Dogにライブサービス開発の実情を伝え、中止の一因になったとの趣旨だ。IGNやForbesが報じている。

なおアガルワル氏はNaughty Dogを2025年7月に退社し、日本に移住して新たなゲームスタジオを設立した。マルチプレイゲームに注力する方針だという。

※本記事はIGNの報道をもとに、関連情報を加えて再構成しています

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