元『ウィッチャー3』監督が語るCDPR退社と過去の疑惑。「ボスではなくリーダーに」

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2021年、職場でのいじめ疑惑を背景にCD Projekt Redを退社した元『ウィッチャー3』ゲームディレクターのKonrad Tomaszkiewicz氏。現在は新スタジオ「Rebel Wolves」で新作RPG『The Blood of Dawnwalker』を開発中で、2026年中にPC、PlayStation 5、Xbox Series X|S向けに発売予定です。

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昼は人間、夜は吸血鬼 ― 主人公「コーエン」の物語

『The Blood of Dawnwalker』は、14世紀ヨーロッパを舞台にしたオープンワールドのダークファンタジーアクションRPGです。プレイヤーは昼は人間、夜は吸血鬼として生きる主人公「コーエン」となり、家族を救うために戦います。自身の行動や解き明かされる秘密によって物語が変化していく点も特徴です。

架空の世界を描いた『ウィッチャー』シリーズに対し、本作は実在の時代を舞台にしている点や、主人公が半人半吸血鬼であるという設定など、明確な違いが見られます。では、なぜTomaszkiewicz氏はこの新作を「155人」という規模で作ることを選んだのでしょうか。

CDPR退社と過去の疑惑、その後に選んだ「155人体制」

Tomaszkiewicz氏が新スタジオで選んだのは「155人規模」の開発体制でした。その背景には、CDPRが『ウィッチャー3』の成功後に急激に組織を拡大していった経験があります。

『ウィッチャー3』開発時の平均人員が約160人だったのに対し、同氏が退社した2021年時点では1000人を超える巨大な組織になっていたと指摘。組織が大きくなりすぎるとスタッフ間の匿名性が高まり、一体感を保つことが難しくなると分析しています。

また、同氏の退社の背景には職場でのいじめ疑惑がありました。4ヶ月に及ぶ外部調査では不正行為の証拠は見つからなかったものの、本人は当時「多くの人が私との仕事に恐怖やストレスを感じていた」と認め謝罪しました。組織の急拡大と、こうした経験を踏まえ、新たな開発体制を模索するようになったといいます。

海外メディアのインタビューで同氏は、過去の疑惑について「そうじゃなかったと証明するのは本当に難しい。人は決めつけたがるから」と率直に語りました。それでも、自らの行動を振り返り、新たな環境で「リーダー」として再出発する道を選んだといいます。

「ボスではなくリーダーに」― 理想のチームと『ウィッチャー3』の熱気

Rebel Wolvesで『The Blood of Dawnwalker』の開発に携わるスタッフは現在155人。これは、Tomaszkiewicz氏が「全員の姓名を把握していた」と語る『ウィッチャー3』開発時とほぼ同じ規模です。この規模感こそが、同氏が目指す理想のチームの核となっています。

インタビューの中で、同氏は「ボスではなくリーダーになりたい」と強調。自らもクエストの実装や戦闘のスクリプティングに携わることで、チームと一体となって開発を進める現在のスタイルを明かしました。

そして、この開発体制の最終的な目標は、かつて『ウィッチャー』シリーズの開発で感じた「クレイジーな火(crazy fire)」を取り戻すことだと語ります。巨大な組織の中で失われかけた開発の原動力を、再びその手に取り戻そうとしています。『The Blood of Dawnwalker』が2026年にどのような形で世に出るのか、続報に注目です。

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