元Xbox幹部Ed Fries氏が語った日本パブリッシャーの立場──ソニー独走は避けたいがXbox支持は見せられなかった

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初代Xboxでゲーム開発部門のトップを務めたEd Fries氏が、当時の日本メーカーとの交渉について語った。GamesRadar+が伝えている。同氏の証言から浮かび上がるのは、当時の国内メーカーが置かれていた複雑な立場だ。「ソニーの独走は食い止めたいが、かといってXboxを支持しているとも思われたくない」――そんなジレンマが現場には漂っていた。

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スクウェアとの交渉が難航した背景

Fries氏はポッドキャスト「Expansion Pass」のインタビュー内で、「獲得できず後悔しているタイトル」を問われ、『ファイナルファンタジー』シリーズを「かなり上位」に挙げた。しかし話は単なる後悔にとどまらず、交渉がいかに一筋縄ではいかなかったか、という点に及んでいる。

「私が退社した後、[Xbox側は]スクウェアといくつか話をまとめることができた。だが、交渉は常に難航した。彼らはソニーに競合相手がいてほしいと願ってはいたが、Xboxへの支持をあからさまに見せるわけにはいかなかった。Xboxを応援していると明確に周囲に悟られるような振る舞いは、当時の彼らにはできなかったんだ」 ――Ed Fries氏 / GamesRadar+(Expansion Pass)より

Fries氏の証言に沿ってみると、スクウェア側はソニーの独走を必ずしも望んでいなかった可能性がある。健全な競争相手の存在を求めてはいたものの、一方でXboxを公然とバックアップすれば、ソニーとの盤石な関係にヒビが入りかねない。競争相手の存在は望んでいた一方で、Xbox支持を公然とは示せない――Fries氏の発言からは、そうした微妙な立場がうかがえる。

テクモも同じ背景を抱えていた

こうした動きはスクウェア一社に限った話ではない。Fries氏はテクモの事例として、『デッド オア アライブ 3』と続編『4』を挙げている。これらは当時、Xbox独占タイトルとして投入された。現在もXbox公式ストアでは『デッド オア アライブ 3』について「available exclusively for Xbox(Xbox限定)」と記されている。

「あれはソニーを少し牽制する意図もあった。彼ら(テクモ)はソニーにライバルがいてほしかったんだ。さもないと独占状態になってしまう。独占企業というのは、得てして好き勝手な振る舞いをするものだからね」 ――Ed Fries氏 / GamesRadar+(Expansion Pass)より

Fries氏の分析によれば、テクモの独占投入はソニーに対する一種のメッセージだった。独占を許せばプラットフォーマーの力が強まりすぎる。だからこそ競合を生かしておく――Fries氏は、テクモの事例にもスクウェアと似た構図を見ていたようだ。

もっとも、こうした戦略には相応のリスクも伴った。Fries氏によれば、ソニー側がその気になればパブリッシャーを冷遇することも可能だったという。GamesRadar+は、開発キットの配布や販促面での優先順位が下げられるといった可能性に触れている。これらは具体的な被害報告があったわけではなく、あくまで当時の緊張感を示すFries氏の見解だ。

その後、Xboxは何を手にしたか

Fries氏の退社後、Xboxは実際にスクウェア・エニックス作品をいくつかラインナップに加えている。GamesRadar+が挙げたのは『インフィニット アンディスカバリー』『ラスト レムナント』『ファイナルファンタジー11』『ファイナルファンタジー13』などだ。このうち『FF11』については、2005年5月にXbox 360向け展開が正式発表されている。現在もXbox公式ストアには『インフィニット アンディスカバリー』の商品ページが存在し、パブリッシャーとしてスクウェア・エニックスの名が刻まれている。

こうした膠着状態は、次世代機の登場とともに変化していった。時間とともにXbox上にも日本メーカーのタイトルが並び始める。ただ、Fries氏の証言が改めて光を当てたのは、その前夜にあった「応援はしたいが、表立って手は振れない」という、日本メーカー特有の切実な距離感だった。

※本記事はGamesRadar+の報道をもとに、関連情報を加えて再構成しています

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