Rockstar Gamesが、待望の超大作『Grand Theft Auto VI』(GTA 6)の発売時期を2026年11月19日へ変更するという2度目の延期を発表し、コミュニティに衝撃が走りました。この決定に対し、『サイバーパンク2077』の開発元であるCD PROJEKT RED(CDPR)が、自社の過去の失敗を引用するという異例の形で反応。開発者ならではの“自虐”に満ちたエールが注目を集めています。
『GTA 6』延期にCDPRが異例の反応
Rockstar Gamesは公式Xアカウントを通じて『GTA 6』の発売延期を発表しました。この投稿には、ファンからの失望や怒り、あるいは「品質向上のためなら待つ」といった支持の声まで、数万件もの多様な反応が寄せられ、世界中の注目度の高さを改めて示しました。
そんな中、ひときわ異彩を放ったのが『サイバーパンク2077』の公式Xアカウントからの反応です。同アカウントはRockstarの投稿に対し、新たな文章は一切加えず、自らが2020年当時に投稿したツイートを引用して返信しました。この沈黙のメッセージは、多くの言葉よりも雄弁にその意図を物語るものでした。この沈黙のメッセージは、多くの言葉よりも力強くその意図を物語るものでした。
「延期なし」宣言の自虐的引用、その真意とは
CDPRが引用したのは、2020年10月に投稿された「これ以上の延期はない(No more delays are happening.)」という、かつての自らの宣言でした。ご存知の通り、『サイバーパンク2077』はこの宣言のわずか2ヶ月後に発売されましたが、特に家庭用ゲーム機版で数多くの技術的な問題を抱え、歴史的とも言われた厳しいローンチを経験することになります。
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— Cyberpunk 2077 (@CyberpunkGame) November 6, 2025
この行動は、一部ではRockstarへの皮肉と受け取られかけましたが、SNS上では「Rockstarに向けた自虐的なエールだ」と解釈する声も目立ちました。「私たちのように発売を急いでファンを失望させる過ちを繰り返してほしくない。品質を最優先するという判断は正しい」という、失敗を経験したスタジオだからこそ送れる敬意と支援のメッセージとして受け止めるユーザーもいます。
2020年の宣言から現在までの道のり
CDPRのメッセージが持つ重みは、その後の道のりを振り返ることでより鮮明になります。2020年12月のローンチ失敗から、大型アップデート「2.0」や拡張パック「仮初めの自由」の配信などを経て、現在の高い評価を得るまでには数年の歳月を要しました。この経験が、今回の行動の背景にあることは間違いないでしょう。
なぜCDPRは反応したか?2大タイトルに共通する「極めて高い期待」
CDPRがRockstarに強く共感し、行動を起こした背景には、両タイトルが置かれた状況の類似性があります。海外メディアPC Gamerが「これまでに見たどんなゲームよりも巨大な期待」と評するように、2020年当時、『サイバーパンク2077』は極めて高い期待を背負っていました。そして現在、『GTA 6』はまさにその立場にあります。
この非常に高い期待という共通点が、今回の反応の核心と言えるでしょう。CDPRにとって、『GTA 6』の状況は決して他人事ではありません。ローンチの失敗がどれほど大きな代償を伴うかを痛感しているからこそ、同じ轍を踏んでほしくないという、開発スタジオとしての切実な願いがこの自虐的なエールに込められていると見られています。
親会社も支持する延期判断とゲーム業界の“警句”
今回の延期の判断は、開発現場だけでなく、経営層からも支持されています。Rockstarの親会社であるTake-Two Interactiveの幹部は、過去の事例を振り返り「我々はゲームの発売を延期したことを後悔したことは一度もない」と発言。品質確保のためには、延期も辞さないという姿勢を明確にしています。
この一連の動きは、ゲーム業界のある有名な警句を象徴しています。それは「遅れているゲームは、やがては良いものになる。しかし、急いで作られたゲームは、永遠に悪いままだ」という言葉です。
この警句は、長年任天堂の宮本茂氏の発言として伝えられてきましたが、近年の調査によりこれは誤りである可能性が高いことが指摘されています。現在確認されている最も古い記録は1996年、開発者のシヴォーン・ビーマン氏によるもので、その原型は「ゲームの遅れは発売されるまで。だが、出来の悪さは永遠」という、彼女がかつて在籍したスタジオ「Origin Systems」で培われた精神だったとされています。
発言者は違えど、この言葉が示す哲学は今回のCDPRの行動やTake-Twoの判断にも通底しています。それは、ゲーム開発における普遍的な教訓として、今なお業界に強く根付いていることの証拠と言えるでしょう。





