英調査会社Ampere Analysisは2025年11月17日、世界のゲーマーを対象としたプレイスタイルに関する意識調査の結果を発表しました。22の市場で3万4000人以上から回答を得たこのデータは、オンラインマルチプレイや運営型タイトルが市場動向を席巻している現状においても、多くのプレイヤーが依然としてシングルプレイを好んでいる実態を浮き彫りにしています。
主要国で「ソロプレイ」支持が堅調
調査は、過去1年間にゲームをプレイしたユーザーに対し、「マルチプレイよりもシングルプレイを好むか」を尋ねる形式で行われました。その結果、多くの国で過半数が「好む」と回答しています。
特に支持率が高かったのは米国と日本で、具体的な数値は以下の通りです。
- 米国:65%(調査対象国で最多)
- 日本:63%
- タイ:62%
- ドイツ:60%
- 英国:58%
このように主要なゲーム市場では、自分のペースで遊べるソロプレイへの需要が根強く残っています。一方で、地域による文化差も見られました。中国ではシングルプレイ選好が47%にとどまり、シングルプレイ派は少数派となりました。スウェーデンも49%と、ソロ派は半数を割っています。

年齢層で分かれるプレイスタイル
国別の違いに加え、今回の調査では「年齢」がプレイスタイルを分ける大きな要因であることも判明しました。
性別による選好差はほとんど見られなかった(男女とも55%がシングル派)のに対し、年代別では明確な傾向が表れています。
- 16歳〜24歳:49%
- 25歳〜34歳:56%
- 55歳以上:64%
10代から20代前半のいわゆるZ世代では、シングルプレイ派が半数を割り込んでいます。これは『Roblox』や『Fortnite』といったソーシャル要素の強い無料タイトルが若年層のスタンダードになっていることや、高価な新作ソフトに手が届きにくい経済的事情、さらに学生時代は友人とプレイ時間を合わせやすい環境にあることが背景だと考えられます。
対照的に、年齢が上がるにつれてシングルプレイへの回帰が進みます。30代以降になると仕事や家庭の事情で友人と時間を合わせる「スケジュールの同期」が難しくなることも、一人で完結するゲーム体験が好まれる一因として推測されています。
ライブサービス全盛でも「需要は高い」
近年のゲーム市場は、継続的な収益が見込めるライブサービス型やマルチプレイタイトルへの投資が集中する傾向にあります。しかしAmpere Analysisのシニアリサーチマネージャー、Louise Wooldridge氏は、このデータが「シングルプレイゲームが依然として市場で求められていることの再確認になる」と指摘しています。
企業側にとっては、開発費が高騰し失敗リスクのあるシングルプレイ大作を作るよりも、一つのゲームで長期的に小刻みな収益を得やすいマルチプレイ主体やライブサービス型のタイトルの方がビジネスとして魅力的であるという現実もあります。
しかし、ユーザーの実態としては「一人で遊びたい」という層が最大勢力であることは無視できません。マルチプレイ偏重になりがちな市場トレンドと、ユーザーが求める体験の間には依然としてギャップがあり、高品質なシングルプレイゲームには巨大な潜在需要が眠っていると言えそうです。




