スクウェア・エニックスより2026年2月5日に発売予定(Steam版のみ2月6日)の『ドラゴンクエストVII Reimagined』(以下、DQVIIR)。PlayStation用ソフト『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』を、“ドールルック”と呼ばれる温かみのある3DCGで再構築したフルリメイク作品です。
ファミ通、電撃オンライン、4Gamer、Vジャンプといった各メディアより、プレイステーション5版の先行試遊レポートが公開されました。本記事では、各メディアのレポートで共通して語られている「職業かけもち」「バースト」「UI刷新」「強モンスター」といった新要素を中心に、その変化と手触りを整理して紹介します。
なお、試遊範囲は序盤の「エンゴウの村~炎の山」と、中盤の「ハーメリアの町~グラコスの間」の2パート。本記事内の情報はこれら開発中ビルドに基づくものです。
職業かけもちとバーストで変わる戦闘体験
最大の変更点は、職業システムの再構築です。本作では2つの職業を「かけもち」することが可能になりました。メインとサブといった区別はなく、かけもちした2職分のステータス補正、習得呪文・特技、そして職業とくせいをすべて得られる仕様となっています。

たとえば「魔法使い」と「僧侶」を組み合わせれば、攻撃呪文と回復呪文を両立する賢者のような立ち回りが序盤から可能です。また、「戦士」と「武闘家」なら物理特化のキャラクターにするなど、実質的に“2つのジョブを組み合わせたビルド”でキャラクターを育成できることになります。
この職業システムと連動するのが、新要素「バースト」です。戦闘中に攻撃やダメージを受けることで感情が高まると「バーストチャージ状態」になり、職業ごとの必殺技にあたる「職業とくせい」を任意で発動できます。

2職をかけもちしている場合、バースト発動時にどちらの職業とくせいを使うか選択可能です。各レポートでは、炎の巨人戦やグラコス戦といったボス戦での活用例が挙げられています。
- 主人公(ひよっこ漁師)「海の加護」:仲間全員へのすべての攻撃を一度だけ無効化。全体攻撃へのカウンターとして機能します。
- キーファ(ひよっこ王子)「燃えてきたぜ」:守備力が下がる代わりに攻撃力と会心率が大幅アップ。一気に攻めたい場面で有効です。
- 武闘家「会心必中のかまえ」:以後の攻撃が会心の一撃に。「さみだれ斬り」などの多段攻撃と組み合わせることで大ダメージが狙えます。
また、ボスや強モンスター側もバーストを発動してきます。耐性を変化させたり攻撃を激化させたりするため、敵のバーストに合わせて防御を固めるか、こちらのバーストで対抗するかといった読み合いが、新たなバトルの醍醐味となりそうです。
テンポと視認性を高める機能群
戦闘システム自体もテンポアップのための配慮が充実しています。バトルスピードは「ふつう」「はやい」「超はやい」の3段階からいつでも切り替え可能。さらに「オートバトル」も搭載されており、AIが賢く行動してくれるため、ザコ戦は非常にサクサク進行します。
視認性の面でも改善が見られます。敵の弱点となる呪文・特技には「ばつぐん」アイコンが表示されるほか、デバフ(状態異常)の効きやすさまで事前に確認可能です。ダメージを受けている敵は名前の色が変わるなど、地味ながらも状況把握を助ける工夫が凝らされています。

モンスターの攻撃力自体は高めに設定されているようですが、こうしたサポート機能とプレイヤー側の戦力向上により、理不尽さを感じさせない軽快なプレイ感が実現されているようです。
UI刷新と難易度カスタムで“遊びやすさ”を再構築
探索や準備の面でも、原作の“とっつきにくさ”を解消するための徹底的な刷新が行われています。各メディアが特に評価しているポイントを整理すると、以下の4点が挙げられます。
- どうぐの共通化:キャラクターごとの個別所持を廃止し、パーティ共通の「どうぐぶくろ」で管理。戦闘中も共通在庫からアイテムを使えるため、事前の受け渡しが不要になりました。
- ガイドとルーラ:ミニマップに目的地が表示される「冒険ガイド」を搭載。さらに、マップ上の施設アイコンから直接ルーラで移動でき、ダンジョン内や石板世界(同一エリア内限定)でもルーラが可能です。
- 女神像と自動復活:ダンジョン入り口やボス前には、HP・MP全回復とセーブができる「女神像」を配置。戦闘不能になった仲間も、戦闘終了後にHP1で自動復活するため、探索を継続しやすくなっています。
- 難易度カスタム:「楽ちんプレイ」から「いばらの道だぜ」までのプリセットに加え、「自由にせってい」では与えるダメージ、獲得経験値、獲得ゴールドなどを個別に調整可能。詰まった時だけ設定を緩めるといった遊び方も想定されています。

また、転職も「ダーマの水晶」というアイテムを通じて、移動中やダンジョン内でも行えるようになりました。ボス戦前の回復ポイントで転職し、HP・MPを回復してから挑むことも可能です。
強モンスターとモンスターのこころが育成ループを拡張
フィールド探索における新要素として、「強モンスター」と「モンスターのこころ」が登場します。強モンスターはフィールドやダンジョンの特定場所に固定配置されており、体が輝き目が赤く光っているのが特徴です。
周囲の雑魚モンスターより格段に強い相手ですが、倒すと一度きりで復活せず、「モンスターのこころ」を確定でドロップします。モンスターのこころはアクセサリー枠(2つ装備可能)に装備するアイテムで、ステータス上昇や特殊効果を得られます。

職業2つによるベース能力に、モンスターのこころ2つによる特殊効果を組み合わせることで、キャラクタービルドの幅はさらに広がります。強敵を倒してこころを集め、それを装備してさらに強い敵に挑むという、中長期的な育成ループが設計されているようです。
まとめ:尖り方を変えたドラクエVIIリメイク
原作『ドラゴンクエストVII』は、石板探索の重厚さや転職解禁までの長さなど、探索・アドベンチャー要素に独特の“尖り”がありました。対して今回の『ドラクエVII リイマジンド』は、探索のストレスをガイド機能やルーラで極限まで減らしつつ、職業かけもちやバースト、こころといったシステムで、戦闘と育成のカスタマイズ性に新たな尖りを持たせています。
探索で迷いにくく、難易度も細かく調整できる一方で、ビルドや戦術の工夫次第でやり込みも深められる。そうした点から、4Gamerなどのレポートでは「はじめてのドラクエ」としても勧めやすい作品になりそうだと評価されています。シリーズ経験者はもちろん、新規プレイヤーにとっても遊びやすいRPGとして再構築されていると言えそうです。




