元スクウェア・エニックスの青木和彦氏は、ファミ通.comのインタビューにおいて、『ファイナルファンタジーIX(FF9)』開発当時のハワイでのエピソードを語りました。
同氏によると、当時発売前だったプレイステーション2(PS2)のテスト機材の輸送に関して、CPUが高性能すぎて「軍事転用できてしまう可能性」があるとして、輸出制限の影響を受けたといいます。機材がなかなか現場に届かないという困難な状況や、日本とハワイ間でのデータ転送にまつわる苦労話を明かしています。
「軍事転用の可能性」で機材が届かず
ファミ通.comが2025年12月29日に公開したインタビュー記事で、イベントデザイン担当の青木和彦氏が、ハワイでの開発当時に直面したトラブルを振り返りました。青木氏によると、ハワイ滞在の後半、『FF9』が次世代機であるPS2でも動作するか確認するため、テスト機材を送ってもらう計画があったといいます。
しかし、当時のPS2はCPUが非常に高性能であったため、機材の輸送に関して思わぬ事態が発生しました。青木氏はインタビューの中で次のように述べています。
「でも当時、PS2のCPUが高性能すぎて軍事転用できてしまう可能性があるということで、輸出が制限されてしまう出来事があって。なかなか現場に届かなかったんですよね。あれはたいへんでした。」
この発言からは、当時懸念された「軍事転用の可能性」が、実際の開発現場における機材調達の遅れという形で影響を及ぼしていたことがうかがえます。
電話回線と時差を利用した開発体制
また、日本とハワイという遠隔地での開発ならではの苦労も語られています。当時は現在のような高速ネットワーク環境がなく、データのやり取りには電話回線を使用していました。
青木氏は開発中盤以降、午前3時頃にデータをまとめてメインプログラマーに渡し、ディスクへの書き込みが終わる午前7時に再び出社してチェックを行っていたと回顧しました。
あわせて、時差のある環境下での納品サイクルについても語られています。青木氏によると、ハワイの夕方が日本の昼にあたるという時差がある中で、ハワイ時間の朝にデータを送信すると、日本時間の昼頃に現場へデータが行き渡るという、ギリギリの時間で動いていたといいます。青木氏は、ハワイというリラックスした環境にありながらも、結局は日本にいるときと変わらないハードな開発生活だったと述懐しています。
25周年を迎えた『FF9』
『FF9』は2025年7月7日に発売25周年を迎えました。今回のインタビューはこれを記念して行われたもので、青木氏のほか、キャラクターデザインの板鼻利幸氏や作曲家の植松伸夫氏の話も公開されています。
青木氏は2025年6月にスクウェア・エニックスを退社しフリーランスとなりましたが、25年経っても作品が愛されていることに対し、感謝を述べています。





