カプコン辻本社長「PS5の障壁が思いのほか大きい」──『モンハンワイルズ』1000万本の先にある課題

ps5-barrior_250902

『モンスターハンターワイルズ』は発売から1カ月で1000万本を売り上げ、カプコンが設定した目標を達成しました。その一方で、同社の辻本春弘社長は「PS5の障壁が思いのほか大きいことも分かりました」と述べ、今後の販売拡大に向けた課題を指摘しています。PS5を購入する際の費用が、特に若い世代にとって想定以上に大きな負担となっているのです。

スポンサーリンク

本体価格だけでは済まないPS5の購入コスト

辻本社長は、PS5本体の価格が約8万円であることに触れ、「ゲームを楽しむにはソフトや月額課金も必要なため、実際には購入時に10万円ほどかかる」と説明しました。

この10万円という初期費用について、社長は「特に若年層にとって、簡単に手が届く金額ではありません」とし、「この傾向は日本に限らず、海外でも同様です」と指摘しています。

この初期費用には、PS5本体(約8万円)に加え、新作ソフトやPlayStation Plusの月額料金などが含まれており、高額な初期費用が、特に若い世代にとって大きな障壁となっていることが示唆されました。

Nintendo Switch 2の好調な売れ行きが示すもの

消費者の価格に対する反応を示す例として、辻本社長は2025年6月に発売されたNintendo Switch 2について言及しました。本体価格は税込み4万9,980円で、「我々が想像していた以上に反応が良かった」と述べています。この好調な反応を受けて、「一般消費者のコスト意識の高さを再確認しました」と語りました。

ただし、PS5の場合は本体価格にソフトや月額料金を含めた総額で10万円という話であり、Switch 2は本体価格のみの話です。そのため単純に比較はできませんが、価格の違いが消費者の購買行動に大きく影響することを、カプコンの経営陣が重視していることは明らかです。

前作ユーザーをどう新作に呼び込むか

『モンスターハンターワイルズ』が1000万本を達成できた理由について、辻本社長は前作『モンスターハンター:ワールド』の存在を挙げています。『ワールド』は累計で2850万本を売り上げており、この大きなユーザー層に効果的にアプローチできたことが成功につながったと説明しています。

しかし、価格面では大きな違いがあります。発売から約7年が経った『ワールド』は現在9.9ドルで販売されているのに対し、『ワイルズ』は新作として70ドルで販売されています。発売時期と価格戦略の違いを考慮すると、既存ユーザーを新作にスムーズに移行させることは重要な課題となっています。

カプコンは今後1年でどう対応するのか

こうした費用面の課題に対して、辻本社長は具体的な対応策を示しています。「今年1年間をかけて販売本数を押し上げる」方針を掲げ、「今後はセールなども始まりますから」と価格を下げる施策の活用を明言しました。

カプコンの戦略は、まず『ワールド』の2850万人のユーザーに継続的にアプローチを続けることです。そして適切なタイミングでセールを実施し、価格面でのハードルを下げることで、より多くの人に『ワイルズ』を届けようとしています。

高額なゲーム機時代の販売戦略

辻本社長の「思いのほか大きい」という発言は、PS5本体、ソフト、継続サービスを合わせた総費用が、ゲーム会社の販売戦略に新たな課題をもたらしていることを示しています。

カプコンは1000万本という初動の成功を基盤として、セールの実施やユーザーへの働きかけを工夫することで、購入をためらっている層にもアプローチしていく方針です。高額な初期費用が必要な時代において、消費者の購買意欲を継続的に刺激する戦略の重要性が高まっていることがうかがえます。


出典:日経Gaming

タイトルとURLをコピーしました