NEOWIZは2025年11月、2025年第3四半期決算のInvestor Presentation資料を公表しました。K-IFRSに基づく業績のほか、2026年に向けた新作ラインナップと、中長期のプロジェクトがまとめて掲載されています。本記事では、新作タイトルを中心に見ていき、その後にBrowndust2や決算の概要を簡単に振り返ります。
2026年に予定されている4本の新作(Phase 1)
まず、2026年内に名前が挙がっているのは次の4タイトルです。
- Cats & Soup: Magic Recipe(モバイル/シミュレーション)
- Kill the Shadow(PC・Steam/推理アドベンチャー)
- Goodbye Seoul: Itaewon(PC・Steam/パズルプラットフォーマー)
- Kingdom 2(モバイル/MMORPG)
資料では、この4本を含む最初のフェーズを「Phase 1」と呼び、「Focusing on live services of main titles, discovering high potential INDIE titles」と説明しています。サービス中の主力タイトルを運営しながら、伸びしろのあるインディー系タイトルも拾っていく段階という位置付けです。
2026年上半期(1st Half FY2026)には2本が載っています。
『Cats & Soup: Magic Recipe』は、スマホ向けのシミュレーションゲームとして世界展開を狙うタイトルです。NEOWIZの自社開発とパブリッシング、両方の枠にまたがる扱いになっています。
『Kill the Shadow』は、PC(Steam)向けにグローバル配信される推理アドベンチャーです。こちらは自社開発タイトルとして扱われており、PCゲーム市場向けの新作としてIRに名前が挙がっています。
2026年下半期(2nd Half FY2026)には、さらに2本が続きます。
『Goodbye Seoul: Itaewon』は、PC(Steam)向けのパズルプラットフォーマーで、NEOWIZがパブリッシャーとして世界展開するタイトルです。
『Kingdom 2』はスマホ向けのMMORPGで、グローバル市場向けの自社開発作品として記載されています。2026年はモバイルとPCの両方で4本の新作を投入する計画が、IR資料の段階で示されている形です。
中長期の7プロジェクト一覧(Phase 2)
次に、中長期のプロジェクトとして名前が挙がっているのが以下の7本です。
- Wolfeye Studios New Project(PC/コンソール/レトロSF一人称RPG/外部スタジオ)
- Zakazane Studio New Project(PC/コンソール/ノワール・ウエスタンCRPG/外部スタジオ)
- Life Simulation New Project(PC/コンソール/ライフシミュレーション/自社開発)
- Survival Action Adventure New Project(PC/コンソール/サバイバルアクションアドベンチャー/自社+パブリッシング)
- Lies of P Sequel(PC/コンソール/ソウルライクRPG/自社開発)
- New Project by Seungho Jin(PC/コンソール/物語重視RPG/自社開発)
Seungho Jin氏が手がける物語重視のRPGで、グローバル展開を前提とした自社開発プロジェクト。 - New Project by Kay Lee(PC/コンソール/ソウルライクRPG/自社開発)
Seungho Jin氏が手がける物語重視のRPGで、グローバル展開を前提とした自社開発プロジェクトです。
これらは資料上「Phase 2」としてまとめられており、「Ready for expansion of global IPs」と説明されています。グローバル展開可能なIPをさらに広げるためのラインナップという扱いです。
外部スタジオとの協業は2本です。
『Wolfeye Studios New Project』は、レトロなSF世界観の一人称視点RPGで、PCとコンソール向けのグローバルパブリッシングタイトルとなっています。Zakazane Studio New Projectは“ノワール・ウエスタン”を題材にしたCRPGで、こちらもPC/コンソール向けに世界展開するパブリッシング作品として名前が挙がっています。
社内スタジオによるプロジェクトは5本あります。
『Life Simulation New Project』は、PC/コンソール向けのライフシミュレーションゲームとしてグローバル展開を前提にした自社開発タイトルです。『Survival Action Adventure New Project』は、PC/コンソール向けのサバイバルアクションアドベンチャーで、自社開発とパブリッシングの両枠に置かれています。『Lies of P Sequel』は、PC/コンソール向けのソウルライクRPGとして、前作に続く自社開発タイトルと明記されています。さらに、『New Project by Seungho Jin』は物語重視のRPG、『New Project by Kay Lee』はソウルライクRPGとして、それぞれPC/コンソール向けのグローバル向け自社開発プロジェクトとして列挙されています。
『ブラウンダスト2』は7四半期連続で売上成長
既存タイトルの中では、『ブラウンダスト2』の数字も資料で大きく取り上げられています。NEOWIZは、Browndust2が7四半期連続で売上を伸ばし、2025年第3四半期の売上がこれまでで最も高い水準になったと報告しています。あわせて、2026年度は「fan-focused services」、つまりファン向けの施策を軸に成長を狙う方針も示しました。
資料のタイムラインでは、2025年のイベントや施策が時系列で整理されています。6〜8月の欄には、2周年に合わせた施策として、Prestige SkinやSwimsuitといったスキン系の課金要素、Story QuestやStory Pack 18などのストーリー追加が並んでいます。このタイミングで、Web Shopの展開もプラットフォーム欄に記載されています。
9〜12月には、各地域でのオフラインイベントとゲーム内施策がまとめられています。韓国での2周年イベント、台湾・中国でのBW25やFancy Frontier、日本でのComic Market、KYOMAF、TGS 2025、Pop-up Cafe、米国でのComic-ConやAnime NYCといった出展が一覧で確認できます。さらに、2.5周年やハロウィン衣装、Story Pack 19に加え、Steamを通じたファンイベント、AGFでのファンイベントなども記載されており、オンラインとオフラインを組み合わせた展開が整理されています。
新作パイプラインに関する注意書き
新作パイプラインのスライド下部には、これらのタイトルに関する前提もあわせて記載されています。NEOWIZは、今回挙げた新作について「グローバルでの展開とフランチャイズ拡大に重点を置いて開発を進めている」と説明しています。また、「発売スケジュールは、マーケティング戦略や開発の進捗に応じて今後開示する」としており、具体的な発売時期は現時点では未公表であることが示されています。
資料冒頭の免責条項では、このプレゼンテーションには将来の見通しに関する記述が含まれており、実際の結果は予想と異なる可能性があること、すべての情報が2025年11月時点のものでNEOWIZは更新義務を負わないことが明記されています。本記事で取り上げた新作パイプラインの内容も、この前提に基づく将来計画として示されたものです。
Q3 2025決算のざっくり概要
最後に、こうしたパイプラインの前提となる足元の数字を簡単にまとめます。NEOWIZの2025年第3四半期の売上高は1,274億ウォン、営業利益は265億ウォン、当期純利益は250億ウォンでした。売上高は前年同期比で36.8%増、前期比で15.8%増と、増収増益の決算です。
プラットフォーム別に見ると、PC/コンソールゲームの売上は587億ウォン、モバイルゲームの売上は585億ウォンとなっています。前年同期比ではPC/コンソールが59.0%増、モバイルが28.1%増、前期比ではPC/コンソールが2.2%増、モバイルが32.8%増でした。売上全体の構成比はPC/コンソール46%、モバイル46%、その他8%という内訳です。
資料ではPC/コンソール部門の増収要因として、『Lies of P』の堅調な売れ行きと、『Shape of dreams』の正式ローンチが挙げられています。モバイル部門では、『ブラウンダスト2』の2周年イベントや関連施策に加え、同タイトルの繰延収益の認識が売上押し上げ要因として説明されています。




