Switch 2、84%が旧機種から移行。任天堂が”Switchを捨てない”戦略を仕掛ける理由

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任天堂が2025年11月5日に開催した経営方針説明会にて、新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」の驚異的な販売状況が明らかになりました。発売からわずか4か月で販売台数は1,000万台を突破し、その購入者の84%が既存のNintendo Switchユーザーであることが判明。理想的な世代交代を実現する一方で、同社は旧機種の販売継続も明言しており、独自の『並行戦略』を明らかにしました。

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発売4か月で1000万台突破、任天堂史上最速の滑り出し

任天堂は、2025年6月に発売した「Nintendo Switch 2」の販売が好調に推移していることを発表しました。9月末時点での世界累計販売台数は1,036万台に達しており、これは同社のゲーム専用機の歴史において、発売後約4か月間の販売台数として過去最高の記録となります。世界中で多くのユーザーが手に取っていることが示されました。

この記録的なスタートダッシュは、同社の業績にも大きく貢献しています。好調な販売状況などを踏まえ、2026年3月期の通期連結業績予想を売上高2兆2,500億円へと上方修正。Switch 2が年末商戦を前に、ビジネス全体を力強く牽引していることがうかがえます。

成功の鍵は「84%の移行率」、円滑に進む世代交代

この驚異的な販売ペースの背景には、極めて円滑な世代交代があります。説明会資料によると、Switch 2を現在プレイしているユーザーの実に84%が、旧機種であるNintendo Switchからの移行ユーザーであることが明らかになりました。これは、長年にわたりSwitchプラットフォームで築き上げてきた顧客との関係が、スムーズに次世代機へと引き継がれていることを示す重要なデータです。

発売初期のユーザーも最近のユーザーも満遍なく移行

特筆すべきは、移行ユーザーの属性に偏りが見られない点です。2017年の発売初期にSwitchを購入した長年のファンから、Switch 2発売の直前に購入した新しいユーザーまで、幅広い層が満遍なくSwitch 2へ移行していると報告されました。これは、Switchが8年以上にわたり、特定の時期だけでなく継続的にユーザーを惹きつけ、その体験価値を維持してきたことの証明と言えるでしょう。

旧Switchは切り捨てない、任天堂の巧みな「並行戦略」

 一般的には、後継機が登場すると旧機種の役目は終わることが多いですが、任天堂は異なる戦略を選択しました。同社は今後のビジネスの主軸をSwitch 2へ移していくとしながらも、旧Switchハードについて「可能な限り販売を継続していく」と明確に方針を示しました。これは、新旧2つのプラットフォームを並行して展開する、任天堂独自の戦略です。

なぜ任天堂は、主軸を移しながらも旧機種の販売を続けるのでしょうか。資料では理由は明示されていませんが、発表された事実から推測すると、大きく2つの要因が考えられます。

第一に、旧Switchの市場が依然として巨大であることです。ソフトウェアの通期販売予想が2,000万本増の1億2,500万本へと上方修正されており、このプラットフォームが今なお大きなビジネスチャンスであることを示しています。

第二に、旧Switchの膨大なソフト資産が、新機種であるSwitch 2と関連していることです。資料では「Switch 2 ハードでは多くのSwitchソフトが遊ばれている」と触れられており、旧機種の存在が新機種の価値をも高める可能性があります。この相互に関連し合う仕組みが、旧機種の販売継続という戦略の合理性を裏付けています。

「器の大きいハード」で未来を拓く

任天堂の古川社長は、Switch 2の開発思想を「ソフト開発者がつくりたいと思ったものを受け止めることができる『器の大きいハードウェア』」と表現しました。これは単なる性能向上を意味するだけでなく、開発者の創造性を最大限に引き出し、これまでにない新しい遊びを実現するための基盤であるという強い意志の表れです。

購入者の84%がスムーズに移行し、旧機種の資産も活かしながら未来へ進む。この理想的な世代交代は、ユーザーとクリエイター双方を尊重する「器の大きい」開発思想に支えられているのかもしれません。任天堂が示す独自のプラットフォーム戦略は、変化の激しいエンターテインメント業界において、新たな成功モデルを提示しています。

出典

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