『朧村正』や『ドラゴンズクラウン』、『オーディンスフィア レイヴスラシル』などで知られ、明日には最新作『十三機兵防衛圏』の発売が控えるヴァニラウェア。そんな同社の代表取締役である神谷盛治氏、そしてプログラマー大西憲太郎氏と野間崇史氏のお三方による、“ヴァニラウェアと神谷盛治氏の歴史を振り返る座談会”がファミ通主催で実施。その内容の一部が明らかとなりました。
ヴァニラウェア座談会より
- (食べ物に力が入っているのは)気持ちいいものを入れようと思った。僕は食べるのもHも好き。Hはコンシューマでは売りにくいので食べ物を美味しそうに表現しようとしたのが始まり。
- 『ブリンセスクラウン 』 はアクションゲームの予定だったが、セガへプレゼンの途中「RPGがほしい」と言われ「RPGです」と言ってしまった。一緒にいたプログラマーともども後で「どうしよう…」となった(笑)。
- 『プリンセスクラウン』開発中にトラブル(※補足:所属会社の倒産)が発生。セガに助けを求めたところ、アトラスを紹介してもらった(※補足:その後、セガ×アトラス共同プロジェクトとして『プリンセスクラウン』が再始動)。
- 補足:神谷盛治氏はアトラス社員として、通称「アトラス関西」( 豪血寺一族などを開発 )に配属。この頃にプリクラ開発チームと共に『ドラゴンズクラウン』の企画を考えた。しかし「アトラス関西」も解散に。その後は、ラクジンを経てSCEへ。
- SCEには2年くらい企画にいたが、体制変更もあり次の企画まで待機する状態に。それを心配してくれた方に紹介してもらったのが『ファンタジーアース 』 の元になるエニックスのネットゲーム(※補足:『 FANTASY EARTH 〜THE RING OF DOMINION〜 』)。
- ゲームをうまく作れる方法論はないが、やってはいけないことはある。『プリクラ』の反省を全部入れたのが『オーデンスフィア 』 。
- (やってはいけないこととは)コンセプトを途中で曲げること。そうするなら一から作り直すほうがいい。迷走が始まると着地点が分からなくなる。あとは、外注を使ってはいけない。なぜなら命を懸けてくれないので。人によっては命を懸けてくれる方もいるが、基本的にビジネス。パブリッシャーも外注会社も予算は絞られていて、できれば最低限で対応したいと思うのも仕方ない。予算に関係なく良いものを…とはなかなか思わない。(クオリティーを考えたときは自分で。)いいものです、と胸を張るにはそれかと。
『朧村正 』 について
- セガにもアトラスにも企画が通らなかった。冷静に考えると『ファンタジーアース 』 はサービス前、『グリムグリモア 』 も『オーディンスフィア』 も発売前で、『プリンセスクラウン』の神谷です、としか言えなかった。
- 『オーディンスフィア』 発売する頃は会社がなくなりそうだったが、マーベラスから企画が好きだと言ってくださり実現した。
『ドラゴンズクラウン』について
- カプコンの先輩にプレゼンしたら好評だったが、どうやらもっと上の人が「モンハンみたいに売れるの?」となったらしく企画は通らなかった。
- そこで出会ったのがイグニッション。即決でOKが出た。
- イグニッションさんからの注文はなし。唯一、世界で展開できるようにターゲットはXBOXみたいな。
- 『ドラゴンズクラウン』は、あんなに売れてはいけないタイトル。パブリッシャーからは“次も打て”と売り上げ先行に。僕らの目的はゲームを作り続けることで売れることは結果、それが先に出てしまうと…。売れたのは嬉しいが僕の戦略としてはだいぶマズイなと。
- 仕事は取りやすくなった一方でハードルが高くなるし、4・5年コースが失敗したら…どうなるんでしょうね。
死ぬまで前線にいるつもり
- 大西氏「“適当にやれ”と言われたほうがやる気が出る」
- 神谷氏「ビッチリ書いてもその通り作ってくれないから書かなくなった(笑)」
- 大西氏「だって仕様が穴だらけですやんか(笑)」
- 野間氏「社長は優しい。僕は今でも信者」
- 神谷氏「やった!ちょっと仕事増やそう(笑)」
- 神谷氏「ゲームを作るのは本当に楽しい。死ぬまで前線にいるつもりですから命を懸けてゲームを作らないと」
Source: ゲームよりどりサブカルみどりパーク