スクウェア・エニックスが9月30日に発売予定の『ファイナルファンタジータクティクス イヴァリース クロニクルズ』について、開発陣への大規模インタビューから、28年の時を経て蘇る名作タクティカルRPGの全貌が明らかになりました。完全なマスターデータが存在しなかった中での開発苦労話や、ファン待望の源氏装備が盗める仕様への変更など、注目すべき情報が次々と判明しています。
完全なマスターデータが存在せず「目コピ・耳コピ」で開発
ディレクターの前廣和豊氏によると、開発最大の困難はオリジナル版の完全なマスターデータが存在しなかったことでした。「当時はリビジョン管理ツールもなく、日本語版を作ったら、それを潰して英語版を作るといったやり方だった」と前廣氏は説明します。
アートディレクターの皆川裕史氏は「以前アーケードゲームをコンシューマーに移植する際、実際にプレイして見ながらコピーをするのがわりとふつうでした」と振り返り、今回も同様の手法を採用。現存する様々なバージョンを解析し、実機プレイしながら確認する作業を繰り返したといいます。
特にSE(効果音)については、当時のPlayStation内蔵音源のデータがあっても同じ音にならないため、サウンドチームが耳コピで当時の音を完全に再現したことも明かされました。
Co.ディレクターの横山文子氏は「フラットな感覚で関わることができたことが、結果的によかった」と語り、オリジナル版を知らない立場から「こうしたほうがいまのユーザーは遊びやすい」という提案ができたことが良いシナジーを生んだと明かしました。
フルボイス化とキャスティングのこだわり
本作の大きな特徴であるフルボイス化について、前廣氏は「できるだけ多くの方のイメージと食い違わないようなキャスティングを実現するために、松野さんとも話し合って決めていきました」と説明。音声収録は松野泰己氏がディレクションを担当し、声優陣の中には当時プレイヤーとして『FFT』を楽しんでいた人も多く、作品への理解度が非常に高かったといいます。
特に印象的だったエピソードとして、横山氏はディリータ役の内山昂輝氏について「序盤の節目でとにかくずっと叫ぶシーンが続くんです。喉がガラガラになってしまわれるくらい、熱を入れて演じてくださった」と語りました。
源氏装備が盗める仕様変更が決定
ファンにとって最大のサプライズは、エンハンスドバージョンで源氏装備が盗めるようになることです。前廣氏は「国内外のファンの皆さんのお声の中で、『源氏装備を盗めるようにしてほしかった』とのご要望を非常に多く頂戴して、オリジナル版のディレクターである松野さんもそのようにおっしゃっていたので、調整を行うことにしました」と明かし、発売日当日のパッチで反映されることを発表しました。
現代に合わせた利便性向上
エンハンスドバージョンでは、移動のキャンセル機能や早送り機能、コンバットタイムラインなど、現代のゲームプレイに必要な機能を多数実装。横山氏は「敵との任意エンカウントは、私がどうしても実装したかった機能」と語り、ワンボタンの「敵を探す」でプレイヤーがいつでも自由に敵と戦闘できるようになりました。
また、オリジナル版で詰む可能性があったウィーグラフ戦などの連戦ステージでも、途中でワールドマップに戻れるようになり、育成不足による進行不能を回避できるようになっています。
2つのバージョンで異なる体験を提供
本作には「クラシック」と「エンハンスド」の2バージョンが収録されています。皆川氏は「当時のグラフィックのデータを見たときに、あの時のハードウェア制約の中で本当によく作っているなと改めて感じました。現代のハードウェア上で彼らが作ったものをなるべく手をくわえずに出したい」と、クラシック版への思いを語りました。
先行プレイ動画も公開
各メディアより先行プレイ動画が公開されました。ここでは、ファミ通.comが公開したものをご紹介します。
発売情報
前廣氏は開発について「基本的には終わっていて、現在はSteam版の最終調整を行っています」と説明し、9月30日の発売に問題がないことを確認しています。
本作は、PlayStation 5、PlayStation 4、Xbox Series X|S、Nintendo Switch 2、Nintendo Switchで9月30日に発売予定です。PC(Steam)版のみ10月1日の発売予定となっています。
出典一覧: 電撃オンライン、ファミ通、Game Watch、4Gamer、電ファミニコゲーマー




